ミクロマンマニアが語る、30年以上“好き”を続けられるワケ:コレクターのお宅拝見(後編)(3/3 ページ)
筋金入りのミクロマンコレクターは、玩具の保存方法にも強いこだわりがあった。ネットの登場でコレクター人生がどのように変化したかも合わせて聞いた。
本当に大事な情報はネットにはない
―― コレクターって情報収集が命なイメージがあるのですが、ネットの登場で変わったことってありますか?
指田さん 情報の速度と密度は劇的に変わりました。昔は図書館で幼年誌を調べたり、コミケで玩具の同人誌を買ったりしてました。96年くらいまではメールも一般的ではなかったので、自分が参加した同人誌の奥付にある電話番号に普通に読者から「同人誌読みました」って電話が掛かってきて、そこで情報交換したことも(笑)。
ニフティサーブのおもちゃフォーラムを知ったときも衝撃でしたね。まさか日本中に自分みたいな趣味の人間がいるのかと驚いた瞬間でした。ネットでは95年ごろにミクロマンを紹介するサイト「ミクロマンマニアクス」を作ったんですけど、そこから交流が一気に広がりました。それまで日本にはミクロマンを扱うサイトが2つあったんですけど、きちんと分類整理して紹介したのは日本初だったと思います。
まだデジタルカメラも普及していない時代で、写真をサイトにアップするだけでもアドバンテージがあったんですよ。
―― エピソードに時代を感じますね(笑)。今もSNSなどで積極的に情報発信されてますけど、逆にネット時代になっても変わらないことはありますか。
指田さん 本当に重要な情報はネットには出ないので、最後は自分の足で探すしかないというのは昔から変わらないですね。そして、玩具はやはり本物を見ないと分からない良さがありますから、今でも何年かに1回公民館を貸し切って、持ち寄った玩具を並べて遊ぶなど、リアルなイベントも大切にしています。
―― それはコレクション以外のことにも当てはまりますね。ネットの情報だけでは本当に知りたい情報にたどりつけない。
指田さん あと、コレクションを体系立てて記録したい人は、他の人も閲覧できるようデジタル環境にアップしておくべきです。なぜなら、死んでしまったらどんな貴重なものもただのゴミになってしまうから(笑)。広く知ってもらうことは、価値を高めることにもつながりますし。
たまにネットオークションに説明書きのない大量の玩具が出品されていることがあるのですが、あっ、これは奥さんが勝手に出しちゃったのかな……とか。ああいうのを見ると、もったいないなぁと。
「普通のサラリーマンだったらやめてたかも」
―― 好きなことを続けるって、実は難しいことだと思います。大人になると、時間や家庭の問題などいろんなしがらみが出てきますし。指田さんの原動力は何ですか。
指田さん 専門学校に通っていたときに雨宮慶太さん(映画監督、イラストレーター、キャラクターデザイナー)のスタジオでバイトしたり、ゲームメーカーにいる先輩の話を聞いたりしたときに、デザイナーとして玩具・ゲーム業界で生きていこうと決心して、それで堂々と玩具を集める言い訳ができたのかなと(笑)。普通のサラリーマンだったら、途中でくじけてたかもしれません。
専門学校のときも、周りから「お前まだ玩具なんか集めてるのか」って言われて、もうこっちの人生で行くと決めたんだからほっといてくれと思いました(笑)。
―― 指田さんは、集める以外の自分だけの楽しみ方を見つけていますよね。先ほどおっしゃった、ネットでのつながりや仲間の存在も大きいのでしょうか。
指田さん そうですね、1人でただ集めてもつまらないですが、コレクター仲間が増えると楽しくて刺激もやりがいもあります。最近は海外のコレクターもすごいですよ。ミクロマンは海外展開もしていたので。コレクションは集中力が大事なんですけど、日本のコレクターよりも集中してミクロマンを集める外国人コレクターもいるくらい。これからも積極的にネットで情報発信していき、交流の輪を広げていきたいですね。
―― 世界中に仲間とライバルがいるんですね。これからもマニアックな玩具情報を楽しみにしています。
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