ソニー、微細なLEDを敷き詰めた自発光ディスプレイ「CLEDIS」を商品化――「Crystal LED Display」の技術がベース:次世代の自発光パネル
ソニーは、極めて微細なLEDを用いる独自のディスプレイ技術「CLEDIS」(クレディス)を発表した。2012年のCESで参考展示した「Crystal LED Display」の技術をベースに開発したもの。
ソニーは5月19日、極めて微細なLEDを用いる独自のディスプレイ技術「CLEDIS」(クレディス)を発表した。2012年のCESで参考展示した「Crystal LED Display」の技術をベースに実用化したもの。最初の製品として、2017年に特定用途向けスケーラブルディスプレイシステム「ZRD-1」を発売する。
画面の表面にR(赤)、G(緑)、B(青)の微細なLED素子を配置して1画素を構成し、画素ごとに駆動させる自発光ディスプレイ。1つの画素内にある光源のサイズが0.003mm2と極めて小さく、画面表面の黒(RGB光源以外の部分)が占める割合を99%以上に高めたことで、周囲の明るさを問わず、高いコントラストを実現した。コントラスト比は100万:1。また光源は小さくでも画面輝度は最大約1000cd/m2を実現しているほか、「ほぼ180度」(同社)という広い視野角、sRGB比で約140%の広色域も特徴だ。独自の画素駆動回路により動画応答性も高めており、最大120fpsのフレームレートに対応できる。
ディスプレイシステムの「ZRD-1」は、専用のディスプレイコントローラー「ZRCT-100」とセットで使用する。ディスプレイユニット1つあたりのサイズは403×453mmで、解像度は320×360ピクセル。これを縦横に複数つなぐことができるスケーラビリティの高いシステムだ。例えば144個のユニットを用いれば、横9.7m、縦2.7mの巨大な8K2Kディスプレイを作ることができる。
「Crystal LED Display」は、2012年のCESに参考展示され、話題になった自発光パネル。55V型の画面に600万個のLEDを敷き詰め、フルHD解像度(1920×1080ピクセル)を実現していた
ソニーでは、6月8日から米国ラスペガスで開催されるオーディオビジュアル展示会「InfoComm 2016」にクレディスを展示し、デモンストレーションを披露する予定。なお、クレディスの技術を民生機に展開する可能性については、「ソニーとしては当面、4K液晶テレビに注力する。現状で(クレディスの)民生機への展開は予定していない」(広報)と話している。
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