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梅雨時のイヤな臭いに効く空気清浄機とは? ブルーエア「ニオイフィルター」の謎に迫る(1/2 ページ)

ジメジメと蒸し暑いこの季節。生ゴミのニオイや部屋干しした洗濯物の生乾き臭、そして浴室のカビ臭など、さまざまなニオイがきになってくるものだ。こうしたニオイにも効く空気清浄機の条件とは“物量”だった。

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 ジメジメと蒸し暑いこの季節は、洗濯物の生乾き臭やカビ臭、生ゴミの臭いなど、1年のうちでもっとも臭いが気になる時期でもある。これらのイヤな臭いを効率よく取り除き、快適な生活空間を取り戻すのに役立つのが空気清浄機だ。

 そこでやはり気になるのが、脱臭能力に優れた空気清浄機の選び方。空気清浄機のカタログを見るとき、埃やPM2.5などの有害物質の除去能力に注目しがちだが、臭い対策を重視する場合は、一体どのような点に気をつけて選べば良いのだろうか。スウェーデン発の空気清浄機「ブルーエア」の販売代理店であるセールス・オンデマンドの第二事業本部長を務める小野寺英幸氏に話を聞いた。


セールス・オンデマンドの第二事業本部長を務める小野寺英幸氏とブルーエア「450E」。製品の横にあるのが活性炭入りの「ニオイフィルター」だ

脱臭能力の決め手は活性炭の“量”

 家庭用の空気清浄機の場合、多くの製品で臭いの吸着材料として使われているのが“活性炭”だ。小野寺氏によると、活性炭はほかの材料と比較して、その吸着能力だけでなく、軽量さや安定性、安全性などにおいても「とくに優れている」という。冷蔵庫の脱臭剤として昔から変わらず、ずっと活性炭が使い続けられてきたことを考えれば、それも頷ける話だ。活性炭が脱臭に利用されるようになったのは、紀元前のエジプトまでさかのぼるといわれているほど歴史が長いのだという。

 それでは、空気清浄機の活性炭フィルターを通過する空気は、一体どのような仕組みで除臭されるのだろうか。実は活性炭の表面には無数の微細な穴(細孔)があり、そこに多くの物質を吸着させる性質を持っている。そこを空気が通過することにより、臭いのもとになる物質が物理的に引っかかり、ミクロの穴の中に吸着するというワケだ。当然ながら、穴の中が臭いの粒子で満たされてしまえば、それ以上はもう吸着させることはできなくなる。つまり、活性炭の量が多ければ多いほど表面積も広くなり、脱臭できる空気の量は増えることになる。

 「臭いというのは“粒子”、つまり“物質”です。空気清浄機による脱臭は、臭いの元になる物質が活性炭の表面に吸着することで臭いが除去されるという、とても簡単な原理で成り立っています。だから、肝心なのはフィルターの中に入っている活性炭の“量”なのです。もちろん活性炭の質によってもいくらか脱臭能力に差は出てきますが、大きな決め手になるのはあくまでも“量”です」(小野寺氏)


活性炭の表面には微細な孔が数多くある。ニオイの吸着は単純に微細な穴にニオイ分子が入り込むというものではなく、界面現象によって分子レベルで働く力(ファンデルワールス力)が作用している。このため、表面がニオイ分子で満たされてしまうと、それ以上は吸着できない。量が重要になる理由だ

活性炭の表面積が「東京ドーム41個分」!?

 ブルーエアの定番製品である「クラシックシリーズ」の「270E(SLIM)」「450E」「650E」には、それぞれベーシックな「ダストフィルターモデル」と、脱臭能力を高めた「ニオイフィルターモデル」の2種類が用意されている。ダストフィルターモデルとニオイフィルターモデルの差は、活性炭の有無だ。

 ニオイフィルターモデルに搭載されている活性炭の量は、「650E」が1830g、「450E」が1000g、「270E(SLIM)」が810g。ブルーエアの調査によると、国内大手メーカーの空気清浄機の場合は活性炭の量が300g程度のものが多く、それに比べると活性炭の量がかなり多いことが分かる。

「450E」用(写真=左)と「650E」(写真=右)の交換用ニオイフィルター(Smokestop Filter)

 ちなみに活性炭の表面積を分かりやすく表すと、「650E」に搭載された活性炭の表面積は、「東京ドーム41個分」(約193ha)、「450E」は「東京ディズニーランドとディズニーシーを足した面積」(約100ha)だという。空気清浄機にファンで吸い込まれた空気は、ブルーエア独自のダストフィルター「3ステップHEPAサイレントフィルター」を通過する前に、まずこの活性炭フィルターを通ることで臭いの粒子を吸着させる。活性炭を通過した空気はその後、ダストフィルターも通過するが、ダストフィルターにも臭い粒子を取り除く能力があるため、二重で脱臭を行う仕組みとなる。

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