4KプロジェクターでもHDRは楽しめる! JVC「DLA-X750R」が見せた映像設定の妙技:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(3/3 ページ)
昨年発売の4K対応プロジェクターでHDR (ハイダイナミックレンジ)の魅力をきちんと引き出せるモデルは存在していなかった。しかし、JVCは6月までに最適画質設定や新ファームウェアを発表。画質が著しく向上していることが確認できて大いに驚かされた。
HDRでスクリーンの選び方も変わる?
このプロジェクターの画質をいくつかのスクリーンでチェックしてみたが、いちばんHDRらしいハイコントラスト感を実感させてくれたのは、ゲイン1.3のスチュワート「HD130」だった。筆者は自室で「何も足さない、何も引かない」を標榜したゲイン1.0のオーエス「ピュアマットIII Cinema」を使っているが、明るさが1800lm程度のプロジェクターでHDRコンテンツを観る場合は、やはり「美味しく足す」魅力を持ったスクリーンを使用するほうが好ましいようだ。
ハイファイ映像を指向する筆者は、ゲイン1.0のマット・スクリーンに強い信頼感を抱いていたが、HDR時代を迎えてスクリーン・ゲインの考え方を改めたほうがいいのかもしれない。ゲイン1.7前後のビーズ・スクリーンなどでぜひHDRコンテンツの画質検証をやってみたいと思う。
なお、ソニー「VPL-VW515」はJVCほど過激なHDR対応チューニングを行っていない。入力されるHDRコンテンツの最大輝度を1000nits に想定した画質設定で、色再現についてもRGBの色度点をBT.2020の相似形に近づけるというチューニング。JVCに比べて実にオーソドックスなアプローチだ。しかし、実際にUltra HD Blu-rayを観てどちらの画質にインパクトがあるかというと、やはりJVCということになる。
付け加えると、エプソンからもHDR対応をうたった透過型液晶パネル採用の新製品「EH-TW8300」が発表された。あいにくまだこのモデルの画質チェックはできていないが、資料を読むと、HDRコンテンツに対して500nits、1000nits、4000nits、1万nitsという4種類のHDRモードを用意しているようだ(デフォルトは1000nits)。
JVCやソニーの反射型液晶タイプに比べて、明るさが2500lmとやや余裕があり、1000nits設定でガンマ調整機能でハイライトの階調を追い込んでいけば、HDRらしいハイコントラスト映像が楽しめそうだ。ちなみに本機の映像モードを「デジタルシネマ」に設定しておけば、色域を広げる光学フィルターが機能し、デジタルシネマで定められた色域のDCI-P3をフルカバーできるようになる。
そんなわけで、Ultra HD Blu-rayならではのHDRの魅力が堪能できるプロジェクターがこの秋には出そろいそうな雰囲気。ホームシアターの醍醐味はスクリーン大画面にありとお考えの映画ファン&AVマニアは、ぜひこれらのモデルにご注目いただきたいと思う。
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