疑問:「自分に自信がありそう。私も、自分に自信があっておっぱいあったらやってみたかった」
まずはこちらの意見。「コスプレをやっている人って、自分に自信があるのでは?」という意見です。意見をくれた方は、「ちょっと嫉妬込みです」とこっそり教えてくれました。
N子さん (もともと自信があるというよりは)私のまわりは、自分に自信をつけたいからやっている人が多いです。あと、おっぱいは作れる! コスプレやってみよう! おっぱいは作るものだって、AAカップで巨乳キャラをやるレイヤーさんが言ってました。胸は、シリコンや発泡スチロール、タオル、靴下とかで作れるらしいです。
ちぷたそ おっぱいは作れる……。パワーワードすぎる。何故かすごく勇気をもらいました。
N子さん コスプレは自己肯定と、頑張りたいからっていうのと、コスプレすると別人になれるからっていう変身願望でやってます。変身しているときは自分の意識とかじゃなくて、そのキャラになることができるんです。
だから、コスプレ中は初対面の人に抱きついたりとか、お尻を触り合ったりとか、普段自分がしないような大胆な行動をとることができます。そして、メイクが取れて魔法が解けた瞬間、「申し訳ないです」とか敬語になる。その後、みんな自分の顔を鏡で見て「クソブサイクやな」「本当に死にてえ」って言い始めます。
ちぷたそ 全然違うかもしれないけど、お酒の席みたいな感じですかね。酔っぱらっているときのような状態……?
N子さん コスプレ中は、確かに少しテンションが上がってます(笑)。コスプレイヤーって、やたら謙遜する人が多くて、自己否定から入る人が多い。Twitterとか見てるとすごくよく分かる。自分もそうなんだけど、「私なんて」って言いがちで、自分にコンプレックスを持っている人がすごく多い。でも、自分に自信があるコスプレイヤーさんも、確かに存在します。
N子さん 自分に自信があるコスプレイヤーさんの中には、目的が「作品のコスプレ」というより、「コスプレすることで芸能事務所に声を掛けられるのを待っていて、あわよくばデビューしたい」という人もいます。だから、コスプレイヤーというかタレントのようなものだと思ってます。コスプレは、人によって目的や楽しみ方が全く異なる趣味なんです。私はコスプレを「作品愛を発表する場」と捉えています。
ちぷたそ 作品愛発表の場かぁ……!
N子さん 絵は描けないし、小説が書けるわけでもない、語彙(ごい)力がないから140文字で感想すら言えない。どうしてもこのあふれ出る作品愛を表現する手段が、自分の身体を使うしかなかった……っていう感じですね。あと、もっと(作品が)評価されてほしいから、「見て!」みたいな理由でコスします。作品の世界観とか、そういう魅力的なところをコスプレで表現するんです。
ちぷたそ やっぱり、コスプレって作品の魅力を伝える表現方法の1つなんだなぁ。さっき、自分に自信がない人が多いと言ってましたが、画面越しに見ていると皆さん2次元キャラのように完璧に見えるから、人間らしい面が見えてなんだか安心しました。
N子さん 自信があって、リアルの三次元ライフが充実していたら、自分はコスプレしてなかったと思うんです。あと、「対人面に難がありそう」という意見もありましたが……あるかも。皆さん本当は人見知りで、昔引きこもりでしたみたいな子が多いんだけど、コスプレをすると気持ちが大胆になるから、コミュ障が治ります!
カメラの前に立つことも多いから、自分の見せ方やセルフプロデュース力を学ぶことができる。それで私もちょっとずつ初対面の人と話すのが怖くなくなりました。
ちぷたそ コスプレはコミュ障に効く!
N子さん 一見華やかに見えるかもしれないけど、コスプレ界隈の闇が深いのも事実で、「レイヤーの闇」って言葉もあります。実際に会うとみんなノリが良くて楽しい人ばっかりで、ツンとした人はあまりいません。
でも、Twitter上で闇を吐いている人が多いから、そこは気を付けてほしい。レイヤーは、仕事の愚痴と自己嫌悪ツイートが多いんだけど、アニメを見ながら「しんどいしんどい」「殺す気かよ」(どちらもニュアンス的には「萌えすぎて辛い」に近い)って実況してタイムラインを埋めることもあります。もしかしたら驚かせてしまうかもしれませんが、レイヤーってなんかそういう感じなのかもしれないって思っていただけると……。
ちぷたそ コスプレイヤーの分かりやすいトリセツ……!
コスプレイヤーが思う「有名コスプレイヤー」
N子さん そういえば、この間テレビにすごく稼いでいるという「プロのコスプレイヤーさん」が出ていたんだけど、私の界隈でそのレイヤーさんを知っている人が全然いなくて。その人がテレビに映った瞬間、タイムラインが「誰?」ってなりました。
ちぷたそ えっ! 私でさえ知ってるレイヤーさんでした! ちょっと前からコミケのまとめとかで必ず掲載されるような有名人だったから知っています。むしろ誰もが知る「有名コスプレイヤー」なのかと。
N子さん 世間が考える有名レイヤーと、レイヤーが思う有名レイヤーは全然違うのかも……。たいていちまたで「有名レイヤー」って言われている人はほぼタレント。コスプレしてお金をもらっている人は芸能事務所に所属して、マネージャーがついている人も多いと聞くから、単純に「私とは住む世界が違うな」って思ってます。
ちぷたそ では、N子さん界隈でいう「有名レイヤーさん」の基準って何でしょうか? アーカイブ(コスプレイヤーズアーカイブ)のランキングとか? それともCure(世界各国で活躍するコスプレイヤーが利用するコスプレ画像投稿サイト)とか?
N子さん アーカイブは、最近では専らカメラマンさんを探すために使うことが多いですね……。カメラマンさんを募集するっていうのも、近年出てきたムーブメントなんですけど。Cureは海外の人が圧倒的。コスプレイヤーに、何を使って作品を投稿してますかって聞くと、大体Twitterですね。
ちぷたそ それでは、重要になってくるのはTwitterのフォロワー数?
N子さん 有名レイヤーの基準として、Twitterのフォロワー数はやっぱり重要ですね。大体1000人越え以上は……。
ちぷたそ コスプレイヤーさんのアカウントは普段から見ているんですが、「フォロワー200ぐらいでもすごい人はいっぱいいるなぁ」と感じていました。
N子さん そうなんです! 私の中で有名というか尊敬している、クオリティーが高くて憧れているレイヤーさんに限ってフォロワーさんが多くないこともあって。だから「有名レイヤーさん」の基準っていうのは、レイヤーをやっててもよく分からないんです。とりあえず有名カメラマンさんに撮られると、そのカメラマンさんにファンがいっぱいいるから、一時的に有名になることはあります。
私たちがいう「有名カメラマンさん」の基準は、Twitterのフォロワー数か、アーカイブのランキングで撮影何位っていう順位があるんだけど、それを総合的に見た感じだと思っています。だいたいアーカイブで撮影50位のカメラマンさんってなると、「やべー」ってなります。その人に撮ってもらえるってなると、「やべ―人に声かけられたやべー」って。最近はありがたいことにそんな機会が多くて、うれしいけど恐れ多くて「怖っ」てなってます。
ちぷたそ ほう。カメラマンとレイヤーの関係も、どういうものなんだろうって私も前から不思議だったんですよね。そもそもカメラマンは募集しているものなんだっていうところにも驚いたし……というわけで、次回に続きます!
今回は「女性キャラより男装が多い」「コスプレイヤーはコンプレックスがある人が多い」「おっぱいは作れる」「コスプレイヤー内の“有名レイヤー”は世間とは違う」といった実態が見えてきました。次回は、一緒に作品を作り上げるカメラマンとコスプレイヤーの関係からスタートします。
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