“早すぎた”VR機「バーチャルボーイ」の思い出をレトロゲームマニアが語る(2/2 ページ)
任天堂の「早すぎたマシン」は、1995年当時、どのような扱いを受けていたのだろうか。
コレクションの一部を紹介
榎戸さんの自宅には、これまで収集してきたレトロゲームがびっしりと並んでおり、ゲーマーなら寝食を忘れて遊べる夢のような空間になっている。収集にかかった金額を尋ねると、「怖いのもあり、ちゃんと数えてなかったですね(笑)。軽く500万円くらいはいくんじゃないでしょうか。アーケード版ダライアス2を設置するだけで約20万円ですし、ショーケースの中にあるファミコンやスーパーファミコンのソフトだけで50万円以上はするかと思います」と答えてくれた。バンダイの「光速船」(元は米GCEのVectrex)、ファミコン用コントローラーの「パワーグローブ」(パックスコーポレーション)、「スーパーカセットビジョン」(エポック)など、なかなかお目にかかれないマシンも多い。ちなみに、今あるバーチャルボーイは新しく購入した2台目。ソフトも14本そろえている。
「みんなでわいわいゲームをするのが好き」だと話す榎戸さんは、時折、集めたコレクションで仲間たちとゲームを楽しむのだという。今はオンラインゲームやスマホゲームが普及し、昔のように誰かの家に集まってにぎやかにゲームを楽しむ機会は減ってしまったからこそ、「こういった空間を大事にしたい」という思いが強い。「世間ではVRが話題ですが、技術が追いついて、ようやくバーチャルボーイが目指したかったものが実現できる時代になったのかな」と笑顔で締めくくった。
VRは、基本的には1人で楽しむものだ。だが、先日バーチャルボーイを編集部に持っていくと、「なんだこれは?」と人だかりができた。リアルタイム世代の上司は懐かしさを、平成世代は物珍しさを感じ、挑戦的な真っ赤なボディーに引き寄せられてきたのだ。みんなで1つのゲームを楽しんだ、あの頃の記憶がよみがえる。
だが、みんなすぐに気付いた。画面を共有できないから、これはプレイしている人しか楽しくないぞ、と。1人、また1人と業務に戻っていく。当時バーチャルボーイを持っていた人はこんな気持ちだったのかな。そう思いながら、1人自席で赤いゴーグルをのぞき込む。
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