ソニーの薄型テレビを進化させる3つのトピック:CES 2018
CESのソニーブースは、新しい有機ELテレビなど見所が多いが、画質面で2018年の“BRVIA”(ブラビア)を占う3つのトピックを紹介しよう。
米国ラスベガスで開幕した世界最大級の家電見本市「CES 2018」。ソニーブースは、北米市場向けの有機ELテレビや液晶テレビの新製品に加え、次世代の映像エンジン「X1 Ultimate」のデモンストレーションなど見所が多い。今回は2018年の“BRVIA”(ブラビア)を占う3つのトピックを紹介しよう。
有機ELテレビのラインアップが拡充
ソニーは、米国で4K/HDR対応の有機ELテレビ新製品「A8Fシリーズ」を5月頃に発売する。現行フラグシップの「A1シリーズ」のエッセンスを受け継ぎながら価格を抑え、デザインもブラッシュアップしたモデルだ。65V型が3500ドル程度(約39万5000円)、55V型が2500ドル程度(約28万円)を想定しているが、日本での発売日と価格は「未定」となっている。
テレビの画質を決定する4K対応の映像処理プロセッサー「X1 Extreme」や有機ELパネルなどの中核的なデバイスはA1シリーズを踏襲。画面を振動させて音を出す「アコースティック サーフェス」も継承したが、外観はA1シリーズから大きく変化した。卓上カレンダーのようにスタンドを開いて設置するA1シリーズに対し、A8Fシリーズは極薄のスタンドを画面の足もとに添えたようなデザインだ。視聴時に映像が浮いて見えるというコンセプトは維持しながら、省スペース化を図った。これに伴い、内蔵スピーカーのレイアウトも見直したという。
スマートOSは、Android TVを引き続き採用した。北米ではソフトウェアアップデートによるGoogleアシスタントの追加が始まっており、A1シリーズでも本体に付属するリモコンに「OK、Google」と話しかけていくつかの機能が音声操作できるというが、「使える機能の内容をモデルごとで段階的に増やしている状況」(ソニーのスタッフ)。本格的な対応はもう少し先になりそうだ。
進化した“黒挿入”の液晶テレビ
液晶テレビの4K/HDR対応新製品「X90Fシリーズ」も3月頃に米国で発売を予定している。6000ドル(約68万円)の85V型を筆頭に、75/65/55/49V型の5サイズ展開で、49V型の予価は1000ドル(約11万円)。
X90Fシリーズも搭載する映像エンジンは「X1 Extreme」だ。ただし、4K/HDR対応液晶ブラビアのフラグシップである「Z9Dシリーズ」に搭載されたバックライト駆動技術のアルゴリズムを見直し、“黒挿入”を一定間隔で行うのではなく、映像を判別しながら必要なタイミングで挿入していくことで、動画ボケを改善しながら映像の明るさを向上させる「X-Motion Clarity」が新しい。日本での発売は「未定」として紹介されたモデルだが、同等の高画質化機能は2018年の液晶ブラビアのプレミアム機に間違いなく採用されるだろう。
新映像エンジン「X1 Ultimate」の実力
8K液晶ディスプレイのプロトタイプによる映像のデモンストレーションについては既報の通りだが、その4K映像処理プロセッサー「X1 Ultimate」の画質を紹介する比較展示も行われていた。
X1 Ultimateは、2018年のブラビア上位機種に搭載される見込みの新しい“映像エンジン”。現行「X1 Extreme」に比べてリアルタイム画像処理能力を約2倍に向上させたというもので、有機EL、液晶それぞれのデバイスが持つ性能をフルに発揮できるようにチューニングが可能。搭載した場合にどれほどの性能を発揮するか、映像をデモンストレーションで比較してみると明かな違いが表れた。鮮やかな色のりや被写体の輪郭の精彩感、映像への没入感は有機EL、液晶ともに桁違いのレベルだ。なおHDR映像については「HDR 10」フォーマットの最高値である1万nitsの超高ピーク輝度まで再現できるという。
X1 Ultimateを搭載するブラビアの商品化時期についてはその提供地域とともに未定。暗室でデモンストレーションを行った試作機のみで、商品に近い形に仕上げた実機の展示はなかった。しかし、こちらもきっと2018年に国内で発売されるブラビア“最上位機”に搭載されるとみて間違いないだろう。
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