見逃し配信「TVer」のテレビ対応から見えてきた“本当にスマートなテレビ”(2/2 ページ)
民放5局の“見逃し配信サービス”「TVer」がソニーのAndroid TV搭載ブラビアに対応した。試験的なサービスで簡素な作りだが、大画面テレビで視聴できるのはすごく便利だ。
これまで、見逃してしまったテレビ番組をチェックするのは録画機の役割だったが、いわゆる全録対応のレコーダーでも““見逃し”は発生する。クラウドに見逃し番組のアーカイブがあり、インターネットにつながるスマートテレビから手軽に見られるようになれば、コンテンツへの興味や関心が増し、次回の放送は見逃さないようにと意識も高まるだろう。結果として録画機も買いたくなるかもしれない。
今は一人暮らしなので録画機が買えない、設置スペースがないという方もいるはずだ。仕事が忙しくて見逃してしまったドラマなども、放送後約1週間はキャッチアップできる余裕が生まれてくれば、ネット動画やゲームよりも、テレビを見て過ごす時間が増えることも考えられる。
テレビ版TVerは“スマートなテレビ”の1つの理想形
一方でいま、エレクトロニクス機器の「スマート化」が世界中で脚光を浴びている。ワイヤレススピーカーは音声でコントロールできるようになり、ホームネットワークにつながる冷蔵庫や洗濯機まで動かせる。自動車もAI(人工知能)により自動運転で走り回る時代が来るともいわれている。
そんな時代だからこそ、テレビが向かうべきスマート化の正しい方向について思考を巡らせてみよう。スピーカーと同じように家庭内の様々なコネクテッド家電を音声で操作できるようになれば確かに便利だが、それ以上にやはりユーザーが見たい映像コンテンツをいつでも好きな時に、満足の行く高い画質で見られることが“スマートなテレビ”としてのベストな在り方ではないだろうか。
「CES 2018」ではLGエレクトロニクスとソニーがスマートテレビの上位モデルに「Googleアシスタント」を搭載すると発表。家庭内のスマート家電やIoTデバイスをテレビからコントロールできるという
現在、東芝“レグザ”のタイムシフトマシン録画機能を搭載するテレビが、スマートテレビとして最も理想に近いユーザー体験を実現していると筆者は考えている。だが、これからはテレビ向けのスマートOSやインターネットにつながる機能を搭載する、より幅広いモデルで同じようにスマートな視聴体験が得られる日が来るはずだ。そう考えると放送コンテンツがクラウドに用意されていて、ユーザーが見たいものを好きな時に見られるサービスプラットフォームの誕生がのぞまれる。
コンテンツを制作して視聴者に提供する放送局には、番組表に沿ったリアルタイム放送のほかに、視聴者が可処分時間を使って楽しめるオンデマンド放送を充実させることも強く意識してほしいと思う。リッチなコンテンツがそろう、使いやすいオンデマンド放送のプラットフォームに納得してお金を使うユーザーも増えてくるだろう。今回、試験的に導入されたテレビ版TVerアプリのサービスに対するフィードバックが、これからテレビが向かう進化の方向を決める重要な鍵を握っているかもしれない。この機会に対応機種を持っている人はぜひ一度試してほしい。
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テレビ番組を広告付きで無料動画配信するサービス「TVer」(ティーバー)がスタートする。ドラマやバラエティーを含め各局10コンテンツ程度、合わせて50〜60コンテンツの配信を行う。
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