PHSの可能性を広げる「P-link」搭載のPaldio 632P

Bluetoothを先取り? ノートPCやPDAが,ケータイと無線でやりとりをできるようにする「P-link」機能とは何か?

【国内記事】 日付更新
 「503i」シリーズの話題の影の隠れるように,昨年11月ひっそり登場したのがドコモの最新PHS端末「Paldio 632P」。P-linkと呼ぶあまり聞きなれない機能を備えたこの製品は,実はPHSの活躍の場を一気に広げる可能性を秘めている。

 Paldio 632P(以下632P)は一見するとこれまでの製品と変わらない。電子メール機能を含めほとんどの機能をPaldio 62xシリーズから継承している。632Pの特徴といえるのは「P-link」機能のみだ。

PHS版コードレスフォンを実現するP-link

 ではこのP-linkとは一体何だろう? P-linkは家庭用に普及しているコードレスフォンのシステムとまったく同じだ。コードレスフォンでは親機に回線を接続しておけば,親機でも,コードレスの子機でも通話ができる。ただし通話は親機か子機のいずれか1台でしか行えない。通話は親機に接続された回線で行われるからだ。

 632PはP-link機能においてコードレスフォンの親機の役目を果たす。子機はドコモのPHS端末(32/64Kデータ通信対応)を632Pに登録して使用する。632Pでも,632Pからの電波が届く範囲にあれば,子機として登録したPHS端末でも通話やデータ通信が可能となる。

 注意点としては,全ての通話や通信は632Pの契約回線を利用するため,同時に1台でしか行えないことくらいだ。コードレスフォンと異なるのは,親機に電話回線を接続しておく代わりに,632Pは基地局からの電波が届く範囲にある必要がある事だ。

NTTドコモによる,P-link機能の利用イメージ

通話可能エリアが拡大

 では632PでP-linkを活用すると何が便利なのだろうか? まずPHSの通話エリアを補完できる。都市部ではかなり密なPHSの通話エリアだが,ちょっと建物の奥に入り込むとあっさり通話エリア外になる場合も多い。

 P-linkを利用すれば,632Pを建物の出入口付近や窓際の通話エリア内に置いておくことで,子機に登録したPHS端末で通話やデータ通信が行える。“もうちょっとで通話が可能”という場所での通話エリアの補完ができるわけだ。もっとも通話エリアの補完だけならホームアンテナでも可能ではある。

 P-link機能が本領を発揮するのは,「P-in」や「P-in Comp@ct」といったコンパクトなPCカード一体型PHS端末を子機として利用する場合だ。通話は632P,データ通信はPCカード一体型PHS端末で行える。

 P-linkでは最大8台を子機登録できるから,PCにもPDAにも専用のPCカード一体型PHS端末を差しっぱなしにできる(PCやPDAの台数分だけPCカード一体型PHS端末が必要になるが)。もちろんドコモとの契約が必要なのは632Pだけだから,コスト的にもリーズナブルにデータ通信が可能だ。また632Pはほかの最新PHS端末とサイズ,重量ともに変わらないから,通話利用もスマートに行える。

PCカード一体型PHS端末の弱点もカバー

 とはいえ,PHSはデータ通信専用でも構わないという人はあまり魅力を感じないかもしれない。P-inやP-in Comp@ctだけで十分だからだ。

 P-inやP-in Comp@ctといったPCカード一体型PHS端末は,アンテナなども小型化してしまっている関係からいまひとつ感度が悪い。実際,筆者は「Paldio 611S」(通話機能も備えたPCカード一体型端末)からP-in Comp@ctに乗り換えたが,Paldio 611Sなら安定してデータ通信が可能だったいくつかの場所でも,P-in Comp@ctではデータ通信が不安定になったり,不可能になってしまった。

 632PとP-in Comp@ctをP-linkで組み合わせて使用すれば,基地局と電波を送受信するのは632Pだから,“PCカード一体型PHS端末だから感度が悪い”という問題に悩まされることはない。

 もちろん632Pをより電波状態の良い所に置いてしまえば,さらに安定したデータ通信環境を得ることもできる。喫茶店などならちょっとお願いして出入り口付近に632Pを置かしてもらえれば,電波状態の良い席を選ぶといったつまらない事を気にする必要もなくなるのだ。

もちろんいい事尽くめではない

 通話にもデータ通信にも,PHSを利用する人にはいい事尽くめに見えるP-linkだが,問題点もある。632Pがバッテリー切れを起こすと,本来バッテリーが不要のPCカード一体型PHS端末でもデータ通信が不可能になってしまうのだ。

 P-link機能を利用しての64Kデータ通信は,連続約2.5時間と,一般のPHSを単体で通話やデータ通信に利用する場合よりぐっと短い。日々632Pを充電する前提ならともかく,数日に渡る出張などで利用したい場合は不安になるスペックだ。携帯電話のように乾電池を利用した簡易充電器などが利用できればいいのだが,ほかのPHS端末同様これも現状では存在しない。

 632PとP-in,またはP-in Comp@ctとのセットが実売で3〜4万円台(新規,機種変更共)と高価なのも,導入を厳しくしている(関東・甲信越)。「PHS=低価格」がしみついてしまった多くの人にとって,なかなか導入に踏み切れないのも事実だろう。端末の本来の価格からすれば当然の価格なのかもしれないが。

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[坪山博貴,ITmedia]

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