OPENBLOCKS

骨までしゃぶれるブロックを持ち運べ。今やサーバもモバイルの時代!?

【国内記事】 2001年1月31日更新

サーバでおしゃれにモバイル

 喫茶店でノートPCを広げる光景は街では珍しくなくなったが,さすがにサーバを持ち運んだりする人は(滅多に)いないだろう。ところが,筆者のトートバックにはサーバが入っている。大きさは,ちょうど厚めの単行本を3〜4冊重ねたくらいで,外観はまさにブロック。真っ赤な筐体のこれがサーバかと思うと,見知らぬ人に自慢したくなる。今まさに,これを持って喫茶店の隅っこに座り,IPマスカレードの設定をいろいろ試しているところだ。

正体はこうだ

 このサーバの正体は,モトローラのCPU,PowerPCを搭載したLinuxサーバである。PC-UNIXベンダーとして評価の高い,秋葉原の「ぷらっとホーム」が開発,販売をしている。スペックは以下の通り。

画像

OPENBLOCKS -Open Micro Server -
定価:4万9800円
CPU Motorola PowerPC 860T
メモリ 16Mバイト(SDRAM)
フラッシュROM 4Mバイト
ネットワーク 100/10BASE-T×1,10BASE-T×1
シリアルポート (RS-232C)
電源 5ボルト(ACアダプタ)
インタフェース コンパクトフラッシュ×1,IDE2.5インタフェース×1(最大1台まで)
ソフトウェア フラッシュROMに導入済み
カーネル Linuxカーネル2.2.13
実行時ライブラリ glibc 2.1.2
ファイルシステム ext2ファイルシステム

*コンパクトフラッシュカードは64Mバイトより対応している
*DOSファイルシステムは未サポート

 メモリ,ハード,ソフト共に,実用的なLinuxサーバが動作する最小限の構成といってもいいだろう。HDDもなく,設定もPCなどからイーサネットやシリアルポートを介して行うしかない。機能は,記憶容量の制限から「NAT機能」「スタックルーティング」「IPフィルター」「DHCPサーバ」のみになる。

 しかし侮ってはいけない。中小規模のネットワークのサーバとして運用することも十分可能だ。筆者は実際に,20人規模のLAN上でDHCPサーバ,IPフィルターとして導入していて,十分に満足している。

 また,コンパクトフラッシュや2.5インチのHDDを組み込めば,メールサーバやウェブサーバといった機能も動作可能となる。PCで構築したLinuxとほぼ同等の機能を実現できるのである。

 一家に一台。オフィスなら一部屋に一台。まずはDCHPサーバとして,また常時接続&ブロードバンド時代のファイアウォール(IPフィルター)として導入してはいかがだろうか。

手の届く身近な存在として

 OPENBLOCKSがタイニーであることの最大のメリットは,ハードウェアからソフトウェアまで存分に手を付けられることだろう。ときにはスペックの限界に挑戦し,ときには蓋を開けてハードの改造を試みたり。

 もちろんどこにでも持ち運ぶことができることと併せて,まさに骨の髄までしゃぶり尽くせる,いろいろ試せる環境なのである。またOPENBLOCKSはRS-232C端子を持っているので,リレースイッチと接続して,エアコンなどの電子機器のスイッチをオン/オフするなどの工作もできるだろう。可能性は広がるばかりだ。

 OPENBLOCKSは,単なる廉価版のサーバとしてだけではなく,手の届く,よりパーソナルなサーバの存在という新しい価値を提言している。何より,どこにでも持ち運べるというのは大きいだろう。

 ……え,ACアダプタじゃ外では使えない? 電源コネクタのある喫茶店を探しましょう。

[増田真樹,ITmedia]

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