cdmaOneはモバイルデータ通信の主役をPHSから奪えるか?

cdmaOneのパケット通信料金が大きく見直された。EZwebへのテコ入れという意味が強いが,PCで64Kbpsパケット通信を利用できる可能性も高まった。

【国内記事】 2001年2月1日更新

 auは3月1日からcdmaOneのEZweb,PacketOneで利用するパケット通信の料金体系を変更する(1月30日の記事参照)。基本料金に含まれる無料通話料へのパケット通信料の充当と,パケット通信料が70%引きとなるオプション「ミドルパック」の提供だ。

モバイルデータ通信の主役をPHSから奪えるか

 cdmaOneのパケット通信は最大64Kbps(送信は14.4Kbps)とPHSに並んでケータイ最速。ところがPHSほどモバイルデータ通信手段として利用されていない。通信コストが安いとはいえないからだ。

 現在モバイルデータ通信の主役がPHSであることは間違いない。通話は携帯電話,データ通信はPHSと使い分けるユーザーも多いだろう。cdmaOneは新たな割引サービスの提供でPHSを主役の座から引きずり落とせるのだろうか?

 PHSが効率良くデータを受信,つまり接続時間中無駄なくデータを受信したと仮定する。この場合ミドルパックを利用してもcdmaOneのPacketOneはまったく歯が立たない。それぞれ単純な通信コストは以下のようになる。

通信コスト10円当たりの最大データ受信量
PIAFS 32K PIAFS 64K PacketOne
ミドルパック
214Kバイト 428Kバイト 42Kバイト

(PHSは10円/分,32K=29200bps,64K=58400bpsで計算)

 PIAFS 32Kで約5倍,64Kでは約10倍のコスト差を付けられている。もちろんこのままではあまりにPHSに都合のいい比較だ。PHSは接続しているだけで時間で料金が発生し,PacketOneはどれだけの時間接続していても送受信したデータ量しか料金が発生しない点は考慮すべきだ。

 例えば接続しっぱなしで「データ量が40Kバイトのホームページを1分間見続ける」と仮定すれば,PHSとPacketOneの通信コストはほぼ同等ともいえる。しかし目的の情報を探すために次々とホームページにアクセスする,といった使い方では圧倒的にPHSが有利だ。

cdmaOneのパケット料パックをどう考える?

 では,新しいミドルパックをどう捉えたらいいのだろうか。詳しく見ていこう。

 ミドルパックの定額料2400円はPHSの基本料金とほとんど変わらない。これなら個人でも利用しようと思う人は多いはずだ。データ通信にPHSを利用する代わりにミドルパックを利用してもらおうという狙いが見える。

 ミドルパックを利用すれば,パケット通信料は従来よりずっとリーズナブルになる。2400円の定額料に1万円分のパケット通信料が含まれるのだから,最大76%引きの大バーゲンだ。1万円を超えたパケット料金も70%引きになる。

 データ通信用にPHSを別契約する場合と比較するとどうだろう?

 PacketOneのミドルプランに,通信速度が64KbpsとなるPacketOne64(600円)を契約すると,合計3000円だ。転送できるデータ量は約12.2Mバイトで,これをZDNetの記事を表示する場合に換算すると,170ページ程度となる(1ページ70Kバイトで計算)。NTTドコモのPHSなら,データプラン(1980円/月,1000円分のデータ通信料込み)を利用して3000円で最大202分間データ通信が行える(10円/分と仮定)。

 202分利用できるのと,170ページ表示できるのとどちらがお得か? これはまさに利用スタイルの問題だ。

 たとえばPHSならメールを1通受信するだけでも最低10円だが,cdmaOneなら1円以下で済む可能性もある。cdmaOneならつなぎっ放しでゆっくり電子メールを送受信できるというメリットもある。ホームページへのアクセスでも,閲覧スタイルによって変わってくる。

 だが,ヘビーにWebを利用することを考えると,cdmaOneはミドルパックを利用してもまだまだ割高感が強い。通信料のさらなる改善が進まない限り,PHSほど手軽なモバイルデータ通信手段にはなり得ないだろう。

パケット通信の魅力をどう使いこなすか

 もちろんミドルパックは魅力的だ。接続時間を気にする必要がないのはPHSにない魅力で,利用可能なエリアも広く,通信コストもロケーションに左右されず全国均一。なにより1台の端末で通話もデータ通信も,付け加えるならばEZWebも利用できる点はスタイルとして極めてスマートだ。

 5月にはcdmaOneより高速なパケット通信を実現するNTTドコモのFOMAも登場する。携帯電話最速の座を奪われるcdmaOneだが,モバイルデータ通信では必ずしも通信速度が重要視されるわけではなく,64KbpsというPacketOneのデータ通信速度は多くの場面で必要十分。現状では通信コストの方が問題なのだ。

 auにはユーザー数,インフラ整備で先行しているメリットを生かし,ぜひともさらなるデータ通信コストのリーズナブル化を期待したい。

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[坪山博貴,ITmedia]

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