携帯電話のデータが消える日携帯電話の情報が消えたらショックですか? 端末にさまざまな情報を入れられるようにし,情報を有料で販売している通信キャリアにとっては,あなたの情報は消えて当然のもののようだ。
昨今の“ブラウザフォン”と呼ばれる携帯電話には,さまざまなデータが蓄積される。「メモリダイヤル」と呼ばれるアドレス帳に代表される個人情報と,iモードなどで取得できる着信メロディや待ち受け画面などの有料情報がそうだ。 ユーザーにとっては重要なこれらのデータも,通信キャリアには軽視されているようだ。 移行できない有料情報不具合のあった「P503i」の回収,交換が3月1日より始まった(2月28日の記事参照)。手元の端末を交換したところ,当然のように蓄積されたデータは消去された。データの移行具合は以下の通りだ。
このように,アドレス帳の情報を除いてほとんどのデータ消去される。通常の機種変更でも,データの移行状況はほとんど同じだ。 情報端末になりきれない携帯電話最近では,Palmに代表されるようなPDA(携帯情報端末)が人気だ。しかし,友人の名前や電話番号などの個人情報を入力するのはPDAではなく携帯電話のほうが一般的。ある意味,紙のアドレス帳を駆逐しようとしているのはPDAではなく,高機能になった携帯電話のほうかもしれない。 しかし,名前,電話番号,メールアドレス以外のデータは,新端末に移行できない場合がほとんどだ。移行できるはずの情報も,NTTドコモでは,“メモリダイヤルの情報に関しても移行がうまくいかない場合がある”として,別途メモを取っておくことを推奨している。 人によっては,アドレス帳には100件以上の登録があるはず。これを“紙に書き写せ”と言われても,普通は実行する気にはなれない。別のキャリア──たとえばドコモからauに乗り換えようと思っても,アドレス帳をすべて打ち直すことを考えると気後れする。 スケジュール帳やToDoリスト,メモ帳なども,必ずといっていいほど最新端末には装備されているが,「どうせ機種変更時には消えてなくなってしまうデータだから」という意識も働き,大事な情報を入力する気にならない。 ある高校では,授業中に携帯電話を使用すると,罰として携帯電話のアドレス帳を消去するという。これがいかに効果的な罰なのかは,携帯電話を利用している人なら分かるだろう。 300円なりの料金を払って購入したはずの有料情報も移行できないことにには,納得いかない人も多いだろう。ドコモでは「著作権上移行できない」と説明しているが,ユーザーからしてみればおかしな話だ。例えば,古い端末のメモリ自体を新しい端末に乗せ換えたら,著作権上は問題ないはず。技術的な可否はともかく,“端末そのものを交換する”というのはドコモが決めたことだ。 情報を有料で販売する仕組みを作ったのはドコモであり,問題が起こったときにデータを移行できる仕組みを考えておかなかったのは怠慢であろう。お金を払って購入したものを,販売者側の都合で消してしまうという矛盾がここにある。 あまりに軽視される携帯内の情報携帯電話はビジネスシーンにも進出しようとしている。「ソフトウェアにバグがありましたので,交換します。つきましては本ソフトウェアで作成したデータは新しいものには移行できません」こんなソフトウェアがあったら,ビジネスで使いたいだろうか? これまでのように携帯電話がローカルストレージを持たない単なる端末ならば,それでも許されるかもしれない。しかし携帯電話のメモリ容量は増大し,端末内に蓄えられる情報は多岐に渡っている。そしてiアプリの登場により,携帯電話は真に汎用的なローカルストレージを備えてしまった。 今後,携帯電話が情報端末になるにせよ,ビジネスツールになるにせよ,内部に持っている情報をどう保護していくかは重要な課題になっていくだろう。 関連記事 [斎藤健二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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