シャープ，ネットワーク経由でPIM情報の同期を可能とする「ホッとPIM」サービスを発表

シャープは，プーマテックが12月12日に発表したネットワークを介した同期を可能とするサービス「Sync-it」を利用した新サービスを開始する。

【国内記事】

2001年12月12日更新

　シャープは，個人情報をインターネット上に集約して管理，ネットワークを介してPCやPDAとの同期を可能とする「ホッとPIM」サービスを12月19日より「シャープスペースタウン」にて提供開始すると発表した。このサービスは，同日発表されたプーマテックのネットワーク同期サービス「Sync-it」を利用した世界最初の有料サービスとなる（12月12日の記事参照）。

　「ホッとPIM」は，ネットワーク上に置かれたスケジューラやアドレス帳などのPIMサービス。シャープスペースタウンの会員登録を行い (会員登録は無料) ，月額500円を支払うことで利用できる。2002年2月までは無料で提供される。

　サービスの大きな特徴は，会社や自宅のPC，ザウルスに分散している情報をネットワーク上に置かれた「ホッとPIM」に集約でき，それらをネットワーク経由で各デバイスと同期できる点。各デバイス側にシャープが提供する同期用のソフトを入れ，Web上の「Syncスタート」ボタンを押せば最新のデータと同期できる。デバイス側で変更された情報は，デバイス内の同期用ソフトを起動しボタンを押せば，ホッとPIMに反映させられる。

「ホッとPIM」インタフェース。左下の「HotSyncスタート」ボタンを押すとザウルスとの同期が行える

ネット上のさまざまな情報をボタン1つでPIMに集約

　サービス開始時に提供されるサービスは，会社や自宅のPC内にあるOutlook 98/2000/2002のデータをザウルスのスケジュール帳，アクションリスト，アドレス帳などに同期可能な「シンクロナイズ機能」，「ホッとPIM」の情報をWeb閲覧可能なiモードやJ-スカイなどの携帯電話や，Web閲覧機能を持ったPDAからデータの確認，登録が行える「ネットPIM機能」，インターネット上のイベント情報，レストラン情報，旅行情報などのサイトに「Sync-itボタン」が設置されている場合に，そのサイト内の情報をボタンを押すだけで，ホッとPIMに情報を送り込むことが可能な「Sync-itボタン対応」，スケジュールに入れた予定時刻になるとザウルスや携帯電話に自動的にメールを送信する「メール通知機能」，スケジュールを共有するメンバーをグループ化可能な「グループ機能」が用意される。

Outlookと同期が可能。データはザウルス内のスケジューラやメモ帳に反映される

「ホッとPIM」から同期されたデータがザウルスのスケジュールに入る

同期中のザウルスのインタフェース

データ同期中の「ホッとPIM」インタフェース

Sync-itボタンの付いた映画紹介ページ

PDAに取り込まれるのはタグで指定されたテキスト部分

　「Sync-itボタン」は，誰でも無料で自分のサイトに設置することが可能。サイトのHTML内にタグを埋め込みボタンを付けるだけで対応させることができる。当初ホッとPIMに送り込むことが可能なデータはテキストのみとなるが「将来的には画像などの取り込みも可能にする予定」 (シャープ国内営業本部SST推進センター副参事山本氏)

　また，PIM情報シンクロナイズ機能は，PCやPDAのデバイス乗り換えの際にも役立つとシャープ国内営業本部SST推進センター所長谷口氏はいう。「新しいデバイスを購入したときに，面倒なのがデータの移し替え作業。ホッとPIMにすべてのデータを置いておけば，同期用のソフトを入れるだけでデータの移し替えが簡単に行える」

　対応するPDAについては，サービス開始時にはザウルスMI-E21/L1/E1/C1/P10/EX1と，ザウルスシリーズのみとなっているが，Palmデバイス版の同期用ソフトが来春に，Pocket PC版が来年3月に提供される予定。同期の際に利用可能なPCはWindows XP/2000/Me/98SEが搭載されたWindowsマシン。「Macへの対応も視野に入っているが，時期は未定」 (プーマテック荒井代表取締役社長)

シャープが参入第一号になった理由

　今回，世界初のサービスインとなるシャープ。参入の理由は，ザウルスユーザーがあまりPCとの同期を行っておらず，それを推進するためでもあるという。「社内で調査したところ，PCのデータとザウルスとの間でデータを同期しているユーザーは10％程度。これまでザウルスは同期に関する部分が弱いという面があった。これからデータの同期を推進するにあたって，PCとの同期は当たり前のこと。シャープはそれを飛び越えてインターネット上のデータとの同期を推進することにした」 (シャープ国内営業本部SST推進センター所長谷口氏)

　また，ザウルスだけでなく，Pocket PCやPalmデバイス用の同期モジュールを提供することに関しては，コンシューマーに向けて携帯情報端末の裾野を広げたいという思いがあるようだ。「これまでシャープスペースタウンは，ザウルスやメビウス，携帯電話といった自社製品の利用価値を高めるためのサービスを行ってきたが，今後はさまざまなデバイス間で連動できるサービスを提供するサイトに進化させる」 (シャープ谷口氏)

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[後藤祥子，ITmedia]

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