携帯で110番──まだまだ多い課題(1/2)

携帯電話がイザというときの緊急連絡手段であるという意識は浸透している。実際携帯からの110番通報は年々増加。しかし,そこには課題もたくさんあるようで……。

【国内記事】 2002年1月29日更新

 先日スキーに出かけて驚いた。苗場スキー場で,ゴンドラの中に「スキーパトロールへの連絡はこちらへ携帯電話から電話してください。コース内なら電波が通じます」という趣旨の案内が貼ってあったのだ。

 普通に出勤したり,外出したりするときはもちろん,旅行のときも携帯電話は持っていくが,さすがにスキー場のゲレンデまで携帯電話を持っていくことはない。そう思っていた。ところが想像を超えるスピードで,携帯電話は手放せないインフラになっていたようだ。

 たしかに,スキー場で周りを見渡してみれば,一昔前に流行ったトランシーバは影をひそめ,人々は携帯電話で連絡を取り合っている。電波を遮る大きな建物もないスキー場だけに,携帯電話が緊急時にも役に立つのは,考えてみれば当たり前のことなのかもしれない。

 もちろん,緊急時に携帯電話をライフラインとして役立てようという試みは今に始まったことではない。何か緊急の事件があった場合に,わざわざ公衆電話など固定電話を探す人は今では少数。警視庁のホームページによると,携帯電話からの110番通報は,既に全体の41%に達しているという。

 しかし,その対応が進んでいるかというと,そうとはいえないようだ。神奈川県警のホームページのように「携帯電話からの110番はできるだけ避けてください」と記述されているところさえある。

緊急通報手段としての携帯の弱点は,位置特定?

 昨年の米同時多発テロの際,ビルの下敷きとなった生存者の救助に携帯電話が活躍した話はよく知られている。だがその一方,今後の課題もいろいろ浮かび上がった。

 米国で今,急務になっているのは,911番(日本の110番や119番にあたる緊急番号)に通報した人の位置を特定するE911システムの導入だという(2001年9月の記事参照)。

 日本でも,事情はほぼ同じ。その1つの証拠になるのが,110番通報を受理してから警察官が到着する前の所要時間,いわゆるレスポンスタイムだ。レスポンスタイムは年々悪化しており,警視庁によると,平成11年の平均レスポンスタイムが5分11秒だったのに対し,平成12年は5分27秒と,16秒程度増えている。

 レスポンスタイムの遅れが,すべて携帯電話からの通報増加によるものだとは言い切れないが,少なくとも無関係ではないだろう。実際,携帯電話では,別の県につながってしまうこともあれば,通話の途切れなどにより,通報者の場所の把握に手間取ることが多いからだ。

 3年ほど前のことだが,交通事故で警察のお世話になったときに,こんな体験をしたこともある。携帯電話で110番したところ,「その場所は管轄が違うので,該当地区の警察に連絡してほしい」との返答。しかし,該当地区の警察の電話番号は教えてもらえなかった。

 事故現場が県境に近かったこともあり,隣の県に立つ基地局に携帯がつながってしまったようなのだ。仕方なく,公衆電話を探し,そこから改めて110番にかけた。実際の通報には,レスポンスタイムの悪化以上に,このような無駄な時間がかかっていることもありうるだろう。

 もっとも警視庁のホームページによると,「隣接県の警察につながることがありますが,転送します」と記載されている。少なくとも都内では,こうした状況は改善されているようだ。

 いずれにせよ,携帯電話の発信位置の特定は,110番のような緊急通報では死活問題。通信キャリアと警察,消防などが連携して,“位置特定”の技術を積極的に取り入れてほしいところだが……。

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[九条誠二,ITmedia]

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