メモリ搭載カード型PHS「P-in memory」の思わぬ弱点

NTTドコモが発売した16Mバイトメモリ搭載のCF型データ通信カード「P-in memory」は,CFスロットを効率よく使える期待の製品だ。しかし,通信しながらストレージとしても使えるデバイスは現段階で限られているので購入にあたっては注意が必要だ。

【国内記事】 2002年2月1日更新

 NTTドコモの「P-in memory」は,PHS機能とストレージ機能を備えた松下通信工業製CF型データ通信カードだ。2月1日より市場価格5800円で販売開始され,専用のPCカードアダプタは実売1000円。コンパクトフラッシュType Iに対応,本体に16Mバイトのメモリを搭載している (製品の詳細は1月24日の記事参照) 。


P-in memory製品写真。可動式アンテナを備える


P-in memoryはType Iに準拠,P-in Comp@ctより若干大きめ


iPAQ Pocket PCのCFカードジャケットに装着したところ。Air H" Card petitに比べると飛び出し具合は少ない

 拡張スロットがCFカードのみというデバイスの場合,通信カードでスロットが塞がってしまうと,ストレージ用のCFカードが使えなくなってしまう。特にPDAでは容量不足に悩むケースもあり,本製品を待ち望んでいたユーザーは多いだろう。

 しかし,現段階で通信とストレージ機能を同時に利用できる機種は限られている点に注意が必要だ。

P-in memoryに用意される3つのモード

 P-in memoryには,モデムとして利用する「モデムカード」モード,ストレージとして利用する「メモリカード」モード,モデムを利用しながらストレージとしても利用できる「モデムカード+メモリカード」 (マルチファンクション) モードの3種類のモードがある。

 同カードは,Windows 95/Windows 98/ Windows Me/Windows 2000 Professional/Windows XP,Windows CE 2.0以上,Pocket PC/ Pocket PC 2002などで利用できる。ただし標準で使える機能は「モデムカード」モード,ストレージとして利用する「メモリカード」モードの2つ。両モード間は付属するユーティリティソフトで切り替えることになる。


左から,切り替え用ユーティリティ,モデムとメモリの切り替え画面,メモリとして利用時の画面

 一方,このカードが最も真価を発揮する「モデムカード+メモリカード」 (マルチファンクション) モードは,残念ながら現時点で利用できる機種が限られている。

 NTTドコモのサイトにマルチファンクションに対応したデバイスが公開されているが (NTTドコモの動作確認済み機種ページ参照) ,例えば,Pocket PC 2002搭載デバイスで動作が確認されているのは,日本HPのjornada 568のみ。

 動作確認予定と表記されているPDAの場合や,動作確認の項目に入っていないノートPCについては,製品に付属する「PDAChecker」やNTTドコモのサイトで公開されている「PCChecker」をダウンロードして試してみるしかない。

 ところが,いずれのチェックもP-in memoryを挿した状態で行わなければならない。つまり,マルチファンクションモードでの動作が確認されていないPDAやPCのユーザーは,一か八かで購入するか,ドコモやほかのユーザーの動作確認報告を待つしかない。

 ちなみに,編集部保有のコンパック コンピュータ製「iPAQ Pocket PC H3600」 (Pocket PC 2002にアップグレード済み) でチェックしたところ,マルチファンクションモードは利用できないという診断結果が出た。

マルチファンクション対応機種ユーザー以外は一考を

 このカードの発売を知った多くのユーザーは,標準で通信機能とストレージ機能を使えると期待したのではないだろうか? 実は,筆者もその一人だ。だが,現実はここまで紹介した通り。モデムとストレージのモード切り替えはユーティリティで行えるが,両方のカードを既に持っているなら,マルチファンクションモードが使えない,もしくは分からない機種のユーザーだと,買い換えるほどのアドバンテージは小さい。

 もうひとつ苦言を呈すれば,今後のPocket PCデバイスの主流となるであろうPocket PC 2002環境下で,マルチファンクションが動作するかどうかの確認をユーザーの手に委ねるのは,正直なところ厳しいものがある。せめてP-in memory発売時に市場に出ているPocket PC 2002デバイスでの動作確認はサイト上で公開してほしかった。

 付属するユーティリティ類がフロッピーディスクで供給されているのも気になるところだ。最近のモバイル用途のノートPCではフロッピーディスクドライブが省かれているケースも多いからだ。むしろ,CD-ROMで供給したほうが汎用性が高かったのではないか。なお,フロッピーディスクドライブを持っていないユーザーのためにNTTドコモは,同社Webページ上でパッケージに付属するユーティリティ類を公開している。

余談:デジカメやメモリカードリーダに挿してみたら……

 もちろん動作環境の対象外だが,コンパクトフラッシュ Type I対応のメモリカードとして汎用的に利用できるのではないかと,デジタルカメラやメモリカードリーダに挿してみた。結果は残念ながら認識されなかった。「ちょっとメモリが足りなくなったときにストレージとして使う」ということはできないようだ。ちなみに,単にPCに挿すと,メモリとして認識され,PHSとしては認識されなかった。

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[後藤祥子,ITmedia]

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