日本でも復活するイリジウム──Stratosが本格参入イリジウム衛星携帯電話サービスで唯一のグローバルサービスプロバイダである,加Stratosが日本オフィスを立ち上げる。日本の政府機関,メディア,防衛および海運業界への導入を目指す。
「世界中どこでも使える」という触れ込みでスタートした衛星電話イリジウムを覚えているだろうか。いったんは経営が破綻したイリジウムだが,新しいオーナーの下で昨年サービスを再開。特定業種向けに音声やデータサービスを提供している。 3月7日,「イリジウムのナンバーワンディーラー」と自称するカナダのStratos Global Corporationが日本の衛星通信市場への本格参入を発表した。新たに日本オフィスを立ち上げ,インマルサットやイリジウムを使った衛星通信サービスを,海運業界,政府,防衛向けに導入を目指す。
イリジウム端末を持つ,StratosのMichael Smith氏。カナダ大使館内で行われたデモでは,屋内でもイリジウムの電波を受信できていた
見直し始まるイリジウム66基の低軌道周回衛星を使い,1999年にサービスを開始した米Iridiumだが,利用者を5万人しか集めることができず,経営が破綻。2000年3月にはサービスを終了した。 55億ドル相当といわれるそのネットワーク資産を「わずか2500万ドル」(Stratos)で買い取った投資家グループは,旧Iridiumと異なり,海運,防衛などのニッチ市場にターゲットを絞った。 「(イリジウムは現在)ニッチ市場では非常に人気のあるサービスだ。米軍とも2万契約を交わした」(Stratosアジア地域担当副社長のMichael Smith氏) Stratosは,イリジウムやインマルサットなどの衛星ネットワークのサービスプロバイダ。各種衛星ネットワークを組み合わせて,政府機関,防衛,航空,海運業界に提供している。今回日本オフィスを設立すると共に,日本デジコム,ドットワンシステムズ,マリックスと代理店契約を締結。政府機関やメディア,防衛,海運業界に売り込みを図る。 ただし,現在日本ではイリジウムサービスが認可されておらず,電波は入るものの利用はできない。「オーストラリア,アメリカなどでは対応しているが,まだイリジウムを使えない国がある。日本でも世界各国でも交渉中だ」(Smith氏) もっとも,Stratosも日本のコンシューマ相手に衛星通信サービスを売り込むつもりはない。「イリジウムは,ネットワークがなく固定網も貧弱なところに最適なサービスだ。しかし日本は世界でも最もネットワークが整備された国。荒野や海上など,日本を離れた人にサービスを提供する」(Smith氏)
これからはインマルサットとイリジウム船舶が標準的に備えているインマルサットは,4つの静止衛星を利用した通信サービスを提供している。しかし「アンテナをセットする必要があり,緊急通話には向かない。イリジウムのほうが早い」と,Stratos日本オフィスのカントリーマネジャーMark Waddell氏。航空機内でも利用できるなど,イリジウムのメリットを語る。 「これからはインマルサットとイリジウム」(Waddell氏) エグゼクティブコンシューマをターゲットとして大失敗したIridium。しかしそのネットワークは,ニッチ向けに有効活用されていくかもしれない。「自衛隊も規制が解ければ可能性があるだろう」(Waddell氏)
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