Palm Bluetooth Card──著名Palmware作者の意見を聞く
プログラマー,甲田浩 (しゃぁみん) 氏TapStepMusicやCLIE Paintの作者。ユニークなアイデアで斬新なソフトを生み出している Bluetooth Card対応ソフトの創作意欲について:実物を触っていないので,まだ何とも言えませんが,通信レスポンスや異機種 (異メーカー) 間での互換性などが気になりますね。意識した誰かと通信するんじゃなくて,通りすがりのユーザと気が付いたらなにがしかのデータを交換している……というようなことができると面白いのですが。例えば,MACWORLD Expoなどのイベント会場で,一日会場を歩き回ると知らない人の自己紹介が集まってるとか。でも,現時点ではBluetooth CardからPalmデバイス本体を起動させられないという問題があって実現できません。とにかく,今後のことは実物を手にしてから,ですね。 甲田氏のWebサイト:http://www.d2.dion.ne.jp/~sharming/ (休止中)
プログラマー,福本修仁氏定番お小遣い管理ソフト・PEMや,Macユーザーにおなじみのメールコンジット・ARENA Sync! など,数多くの名作ソフトを開発
正直に言ってBluetoothにはあまり興味を持っていません。なぜなら, (私の印象では) いつまでたっても標準化が進まず,使える製品が出てこないからです。以前,PHS用のBluetoothアダプタが発売されたのですが,結局CLIEのBluetoothアダプタとは通信できない事を知り,「何のための規格なのか」と大変がっかりしました。また,私の場合周りにPalmを使っている人が少ないこともあって,Palm同士で通信ができたとしても,メリットがないのです。 しかし,Bluetoothで無線LAN環境を構築できるようなハブなんかが出てきたら面白いなと思っています。あとは,家電製品をコントロールできるとか。 「複数台のPalmデバイスでデータがシェアできたり……」というのは,頭にありませんでした。確かに複数台で同時に情報のやり取りができるようになると,いろいろと面白いことができそうですね。イベント会場での情報の配付や,オフ会でのゲーム大会など,用途は無限にあるように思います。何か面白いものが作れそうか,考えるきっかけになりました。 しかし,結局はBluetoothがどれだけ普及するかにかかっていると思うので,今後のPalmデバイスには標準で内蔵するくらいのことをやってほしいと思います。また開発者は最低2台のデバイスとカードがないとテストができないので,このあたりも何らかの対応をしてもらえたらと思います。
とりあえず私のリリースしている製品の中から,PocketGammonをBluetooth対応にしてみようとは考えています。以前Palmに赤外線ポートが付いた時に赤外線対応も考えたのですが,到達距離&範囲が限られるため,あまり意味がないと思い対応していませんでした。しかし,今思えば「あの時に対応していたら今回のBluetoothへの対応も簡単だったのに」とちょっと後悔しています。 福本氏のWebサイト:http://www.umap.net/
プログラマー,山田達司氏J-OS,J-DOC Readerをはじめとするベストセラーソフトの生みの親で,日本のPalmデバイス文化の父的存在
私の場合,Bluetoothに非常に興味がありますが,人と人とをつなげるというところにはあまり関心がないです。それこそ10メートルしか飛ばないのですから,Face to faceでやればいいわけですし。現在の仕様で価値があるのは,それこそゲームをやるくらいでしょうか。 一番興味があるのはPalmデバイスに情報を自動的に送り込む仕組みです。PUSH型ということもありますね。身近にあるPCなどがサーバとなって,手元にあるPalmデバイスに常に最新の情報を送り込むわけです。その情報とはメールかもしれないし,Web情報のクリッピングかもしれないし,もしくはもっと生のデータかもしれません (ニュース,スケジュール,株価,天気予報,為替相場,電車の運転状況など) 。このように,常にPalmデバイス内の情報が最新に保たれることで,現在のPDAとしての機能を,より拡張することができると思っています。 これらのことは,今のHotSyncでもできることかもしれませんが,BluetoothはHotSyncからさらに物理的なケーブルの制約やクレードルに置いてボタンを押さなくてはいけないという制約をなくすものであってほしいです。またその際に,バッテリーライフや通信にかかる時間といった点で,従来のPalmデバイスの使い勝手を損ねて欲しくないですね。
現在あるソフトを対応させる計画はないです。私はこれまでにコミュニケーション系のソフトって,あまり作ってないんですよね。ハードウェアが手に入ったら先ほどお話したように情報を自動的に送り込むようなアプリケーションを作ってみたいです。 山田氏のWebサイト:http://simpe-palm.com/
今回インタビューした開発者の中には,まだ実物のPalm Bluetooth Cardに触れていない人も多い。いずれにしても,実物を手にとって初めてアイデアが膨らむという感じだろうか。現在の仕様では,ゲームなどの娯楽向けソフトのアイデアが比較的多く出てきている。なかには,Palm OS 4.xでは対応が予定されていないPIMデータの送受信対応を考えているという,Palm Bluetooth Cardの購入を考えているユーザーにとって心強い意見もあった。 また,何人かの開発者からは,Bluetoothの将来性に期待する意見が寄せられた。日本国内ではBluetooth対応機器がまだ少ないこともありこれからの技術だ。Palm Bluetooth Cardは,その入り口に立った製品だといえるだろう。CLIE用BluetoothアダプタにはなかったPalmデバイス同士での通信機能のサポートで,Palmware開発者の創造力はいろいろな意味で刺激されているようだ。 Palmデバイスでこの技術がどう生かされるかは,単なるPalm Bluetooth CardへのPalmwareの対応だけではなく,Bluetooth対応ソフトの開発環境の整備,Palm OSやPalmデバイスの今後の対応,Bluetooth規格の標準化などの課題がある。 Palm Bluetooth Cardは,Bluetooth技術の可能性の一部を体験できる製品。購入を検討している人も,今後のソフトの対応状況やBluetooth技術の動向などを見定めた上で購入することをお勧めしたい。
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