“GPSケータイ”にキラーアプリ登場──ナビタイム

「人はふつう,地図を持ち歩かないモンネ。」とは,KDDIのGPSケータイのキャッチコピー。しかし,単にGPS機能が付いたからといって,携帯が地図代わりになるわけではない。ナビタイムジャパンのトータルナビは,GPSケータイを地図代わり,いや地図以上のものに変えてくれる。

【国内記事】 2002年3月15日更新

 目的地にたどり着くまでに,どの電車を乗り継いでいったらいいか──。電車の乗り換え方法を案内してくれるサービスはすっかり一般的になった。しかし,不満はないだろうか。

 例えばZDNetのあるビルは,3つの地下鉄駅のちょうど中間地点にある。電車の乗り換え経路を探すときは,“どの駅を出発点にするか”を先に選ぶ必要がある。

 目的地に関しても融通が利かない。三田線から東京駅に向かうには,大手町から歩いてしまったほうが早い場合が多いが,電車の乗り換え案内サービスでは律儀に丸の内線に乗り換える指示を出すものがほとんどだ。

徒歩も考えたナビゲーション

 そんな不満を見事に解決してくれるサービスが現れた。ナビタイムジャパンがauのEZweb向けに提供する「トータルナビ」だ。

 「車載用と違って,歩行者はいろいろな乗り物に乗る」と,トータルナビのコンセプトを説明するのは同社の大西啓介社長。

 従来の検索で利用するような「最寄り駅が,必ずしも目的地にたどり着くのに最良の駅ではない」(同氏)という観点のもと,徒歩と電車,飛行機を組み合わせた経路探索を可能にした。

 トータルナビは,目的地に移動するために必要になる情報がすべて盛り込まれているシステムだ。GPSで割り出された現在位置から,目的地に向かう最良の駅を判断。乗り換え方法から,地下鉄ではどの出口から出たらいいのかまで示される。

 「5月からは,乗り換えがある場合はどの車両に乗ったらいいのかも表示する」(大西社長)

 徒歩を意識的に活用しているのも面白い。例えば「深夜,始発を待つよりも早ければ,1時間歩いても徒歩のルートを候補として表示する」(大西氏)

 4月からは,自動車を使った場合のルートも表示し,年内には渋滞情報を考慮した情報も提供するという。空港に向かうとき,車で行ったほうがいいのか,それとも電車で向かい,途中からタクシーのほうがいいのか,そんな検索も可能になる。


歩くべき道には線が引かれ,それをたどっていけば目的地に到達する。しかも電子コンパスの向きに合わせて,地図が回転する

徒歩のためのエンジンを,ハードウェアがサポート

 トータルナビは,そもそもが「モバイルに特化して始めた」と言う通り,早くからモバイル機器に照準を合わせてきた。セイコーエプソンのGPS付きPDA「ロカティオ」にも採用されたことでも知られている。

 大西氏は,このトータルナビの利用にあたって「GPSと通信,そして電子コンパスが利用できれば最高だ」と語る。そのすべてを備えた機器が,3月末,KDDIから登場する。

 松下通信工業製の携帯電話「C3003P」は,GPS機能に加え電子コンパスも内蔵。まさにトータルナビを活用するのに必要な機能が揃ったわけだ。さらに高速な地図表示を可能にするため,トータルナビの地図ビューワはJavaよりも高速なプラットフォーム「BREW」のアプリケーションとしてプリインストールされている(3月8日の記事参照)。


「C3003P」。電子コンパスの内蔵やトータルナビの地図ビューワがプリインストールされるなど,GPS機能の活用にフォーカスした端末だ。端末には,GPS機能専用のボタンも用意されている

 「モバイルで地図を見るのは急いでいるとき。Javaの場合は起動時にコーヒーマークが出るが,BREWでは瞬時に立ち上がる」(大西氏)

 米QualcommによるBREWの開発にも,トータルナビは大きく貢献した。KDDIの携帯電話が備えるGPS機能は,Qualcommのチップに搭載されるgpsOneという機能を利用している(2001年4月の記事参照)。このgpsOneをBREWからうまく利用するために,ナビタイムジャパンは早くから開発に協力していたという。「2年くらい前,位置情報に関するBREWのAPIを決めるところから協力した」(大西氏)

最高の武器と最良のアプリケーションの組み合わせ

 第3世代携帯電話としてCDMA2000 1xをサービスインするKDDIだが,同社端末の機能でほかのキャリアが簡単には真似できないのがGPS機能。CDMA2000 1x端末の発売を4月に控え,その陰に隠れがちなC3003Pだが,KDDI端末ならではの機能を最も活用した端末となっている。

 “素早く表示されること”“どの方角に進んだらいいのか分かること”。どちらも道に迷ったときに最もありがたい機能だ。GPS機能のほかに電子コンパス,そしてBREWがもたらす高速なプラットフォームが,それを実現している。

 携帯電話は今後もさまざまな機能を取り込んでいくが,位置情報の活用は必須といえるもの。各社がそれに取り組んでいるが,唯一実用的なサービスに近い位置にあるのがC3003Pとトータルナビの組み合わせだろう。

 大西社長は「海外にも布石を打っている。世界中で歩かない人はいない。国際ローミングが前提だが,世界中すべての人がどこに行ってもナビタイムのサービスを受けられるようにしたい」と展望を語る。

 第3世代携帯電話でも,位置情報の利用が盛んに叫ばれている。しかし単に“現在位置が分かる”だけのGPS機能ではあまり意味がない。トータルナビのようなアプリケーションができて初めて,GPS機能は真価を発揮することになる。

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関連リンク
▼ ナビタイムジャパン
▼ au(KDDI)

[斎藤健二,ITmedia]

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