ライセンシーとともにPalmは成長する──PalmSouce CEO,David Nagel氏に聞く

【国内記事】 2002年3月28日更新

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通信ネットワークは,Bluetoothと802.11bに注力

 Nagel氏によれば,Palm OS 5.0ではBluetoothを通信規格でなく接続規格として評価し選択したという。「通信機能はその一端でもある。周辺機器や通信機器を外部接続可能にすることで,Palm本体の省電力化とボディの小型化を維持できる。そこがPalmのPDAとしての優位性だ」(Nagel氏)。

 しかし,Bluetoothには環境の整備が必要であり,周辺機器メーカーとの連携が不可欠だとNagel氏はいう。「Sony EricssonとPalmの“共同マーケティング戦略における提携”(3月20日の記事参照)のような展開が,今後も重要になる」(Nagel氏)

 現在,世界に通用する製品を提供するには,通信インフラが統一されていないという困難を乗り越えなければならず,その点からも統一規格であるBluetoothの可能性に注目しているという。802.11bに注力する理由も,「国ごとに異なる通信ネットワークに左右されない規格であることが大きい」(Nagel氏)

 Nagel氏は次世代携帯電話2.5G/3G方式への対応についても言及。各国間で異なる通信環境という状況は依然として存在するが,「多くの仕様が乱立していた第2世代と比較した場合,第3世代は方式が3つに集約されるため,対応は幾分容易になる」(Nagel氏)といい,第2世代の時のような地域ごとの個別対応ではなく,OSレベルでサポートをする方針だと話す。

ライセンシー各社の独自拡張を推奨。新技術は積極的に取り入れる

 Palm OSのライセンシー各社は,Handspring,ソニーを始め,独自に拡張したOSを実装するメーカーも多い。Palmとしては,こうした独自拡張を“容認する”という消極的な姿勢ではなく,積極的に推奨しているのだという。

 「ライセンシーの独自拡張は,アプリケーションの一貫性を失わないように,Palm OS全体との整合性をとりながら,体系的に取り組んでもらう。こうして実現した機能を選択してPalm OSに取り込むことで,自社だけでの開発では得られない大きな成果を上げることが可能だ」(Nagel氏)

 こうした構造は,PC環境と大きく異なるアプローチであり,Palmはライセンシー各社と共に学び歩むことで成長していく道を選んでいるという。

 Nagel氏によれば,Palm Sourceは高解像度を実現したソニー,中国語版を発表したエイサーのような独自に機能拡張が可能な企業をライセンシーとして選択しているのだという。「ライセンシーの技術を吸収していくことで,今後のPalm OSの開発が加速する」(Nagel氏)

 ライセンシーやユーザーなどの開発者の力を活用する姿勢は,半面ではPalmの開発能力の脆弱さを表しているとも言えるが,多様な技術を吸収するには効果的な方法だ。こうした新しい技術を継続してバランス良く取り込むことができれば,OS開発の面でも大きな成果が得られるだろう。それだけに,PalmSourceの手腕が問われるところだ。

Palm SourceのCEOに就任した理由

 最後に,Nagel氏にPalm SourceのCEOに就任した理由を率直に語ってもらった。

 同氏はまず,PDAがまだ黎明期で,やりかた次第では大きく成長する市場だとし,「無線技術,ディスプレイ,バッテリーなど,次々と新しいテクノロジーが登場している。それらがPDAに搭載されることでパーソナルな生活を大きく変える可能性があるのは興味深い」と,PDA市場の魅力について語った。そしてこのPDAの可能性を追求するためには,「Palmが世界で一番エキサイティングな会社」であったのだという。


 「Palmという製品を作り上げた人々にはゆるぎない哲学があり,それは素晴らしいものだと思っている。使いやすい製品,楽しい製品,面白い製品,実際に人が使いたくなるような製品であるPalmを作った人々と一緒に仕事がしたかったから,この会社を選んだ」(Nagel氏)

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[庄司恒雄,ITmedia]

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