Mobile：NEWS

2002年5月14日　02:38 AM 更新

PDAの新しい使い方が見えてくる──Windows CEソフトウェアコンテスト2002授賞式

第3回目を迎えたWindows CE Software Contest 2002。回を重ねるごとに増える応募作品の中から選ばれた作品は、いずれも甲乙つけがたい便利なソフトウェアだ

　5月13日、マイクロソフト、Windows CE FAN、カシオ計算機、ZDNet Japanの共催によるソフトウェアコンテスト「Windows CE Software Contest 2002」の授賞式がマイクロソフト新宿オフィスで開催された。

企業部門金賞を受賞したプラムスの前田氏

受賞者と記念撮影。左からマイクロソフト エンベデッドグループ プロダクトマネジャーの吉村透氏、「nPOP」作者のnakka氏、「ポケコン pCON v1.0.1」作者の前田氏、「Tea Pad v0.66」作者のTEEV氏、カシオ計算機 営業本部の三輪亮彦氏

　第3回目となる今回は、カシオ計算機のコンシューマー向け組み込み式Windows CEデバイス「ラジェンダ」向けのソフトウェアが応募対象。主催者の予想を上回る57本のソフトがエントリーされたという。

　カシオ計算機 営業本部の三輪亮彦氏は当初、1メーカーの1モデル向けに、どれだけのソフトが集まるか不安だったというが、「開発キット自体はエントリーされたソフト数の約10倍のリクエストがあり、応募には至らなかったものの開発しようと考えている人が思いのほか多かったことがうれしい」と話す。

Pocket PC版からの移植はそれほど難しくない？

　企業部門の金賞を受賞したのは、「ポケコン pCON v1.0.1」を開発したプラムスの前田氏。ホストとなるPCから複数のラジェンダをコントロールするというPDAの新しい利用法を提案するソフトウェアを開発、審査員の満場一致で金賞に選ばれた。前田氏は、もともと計測用のシステムを開発しており、「PDAに対応させることで、さらにおもしろい仕事に結びつけられるのではないか」という発想からPDA向けに移植したと話す。コンテストに参加した動機は「参加することで、もっといろいろな情報を得られるのではないかと思ったから」（前田氏）。今後はPDAでデータの自動計測を行い、メールでデータを送れるように機能を拡張したいそうだ。

　ユーザ賞の第1位に選ばれたのは、Windows PCおよびPocket PC向け電子メールソフトの名作「nPOP」をラジェンダに対応させたnakka氏。第1回のコンテストから応募していたが、あまりに有名なソフトであるがゆえになかなか受賞できず「苦節2年、3度目ににしてやっと」（nakka氏）入賞を果たした。審査員によれば「有名な電子メールソフトであり、金賞レベルの作品であることは間違いないのだが、従来からあるソフトより、新しい使い方を提案するソフトを求めていた」という理由からユーザ賞の第1位になったという。Pocket PC版からの移植にかかった期間は1週間。本業もプログラマーで、小学校高学年の頃からプログラミングに慣れ親しんできたnakka氏にとってラジェンダ対応はいともたやすいものだったようだ。

　個人部門賞の銅賞に選ばれたのは、ポケベル入力を改良した「はさみ入力」による日本語入力を実現するキーの大きな入力パネル「Tea Pad v0.66」を開発したTEEV氏。受賞した感想は「隙間に入ったんだな、という感じ」（TEEV氏）。TEEV氏も、コンテストの第1回目から参加している常連組だ。開発にあたって苦労したのは日本語変換に関する部分だったといい、「文節切り替えのキーアサインがPocket PCと違っていたため、開発者掲示板に質問を投げていたが間に合わず、ユーザーの協力を得て完成させた」と話す。ラジェンダへの移植にかかった期間は2週間と、こちらも短期間だ。

PDAの新たな可能性を見せてくれたコンテスト

　「前回と比べて多くの人が参加、問い合わせ件数も増えて、回数を重ねるごとに規模が大きくなってきていることを実感する」と話すのはマイクロソフト 製品マーケティング本部エンベデッドグループ プロダクトマネジャーの吉村透氏。エントリー作品のどれもに新しい発想や便利な機能が盛り込まれていて選ぶのが難しかったという。「特に企業部門の金賞を受賞した『ポケコン pCON v1.0.1』は、思いつきそうで思いつかなかった発想のソフトであり、さまざまな応用事例も想定できる」（吉村氏）と高く評価している。

　応募数が回を追うごとに増えていることについて吉村氏は「PDAを何に利用したいのか、そのために何が必要なのかということが明確になってきたのではないか。PDAという枠の中でユーザーが必要とする機能がはっきりしてきたことで、それに対応するソフトを開発しようという気運が高まっているように感じる」と分析している。

関連記事
Windows CEソフトウェアコンテスト2002の入賞作品が決定

関連リンク
カシオ計算機
マイクロソフト
Windows CE FAN

[後藤祥子, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

---