Mobile:NEWS 2002年6月10日 11:05 PM 更新

XScale搭載Pocket PC「GENIO e550G」ファーストインプレッション(1/3)

東芝製「GENIO e550G」がついに発売された。Pocket PCとしては最大の4インチディスプレイを採用、XScaleプロセッサを搭載するなど現時点で最もハイスペック製品だ。XScale PXA250の性能や、大画面の使い勝手などを中心にインプレッションをお伝えする

 東芝GENIO e550Gは、現在Pocket PCで主流のStrong ARMの後継となるXScale PXA250プロセッサ(2月12日の記事参照)を搭載した。また、Pocket PC最大の4インチディスプレイを採用し、CF Type IIスロットとSDスロット(SD I/O対応)を備える。OSはPocket PC 2002で、この点は競合製品と特に変化はない。

XScale PXA250プロセッサの実力は?

 PXA250プロセッサの処理能力は、従来のStrong ARMと比較してどうなのだろうか。本製品では400MHz、200MHzの2段階の動作スピードを選択できるほか、負荷に応じてクロックを自動制御するモードも選べる。


CPU動作クロックは任意に設定可能。なお切り換え時にはソフトリセットがかかったような状態になり、ソフトの動作状態などは保持されるがActiveSyncなどは1度切断されるので注意が必要

 アーキテクチャが変更されているとはいえ、多くのPocket PCが採用しているStrong ARM/206MHzに対して最大でほぼ倍のクロック。処理高速化への期待は大きい。だが実際に使ってみたところでは、400MHz動作に設定しても、従来のStrong ARM/206MHz搭載機に比べて特に速いという感じは受けない。

 つまり、従来のソフトがすぐGENIO e550Gで高速に動くというわけではないのだ。PXA250プロセッサ搭載機は、従来のStrong ARM搭載機向けソフトが動くよう互換性が保たれている。しかし、アーキテクチャが変わっているため、PXA250プロセッサに最適化させるためにはソフトウェア側の対応が必要になるのだ。

 PXA250プロセッサが強みを発揮するというWindows Media Encoderでいくつかのビットレートで動画ファイル(Windows Media Video)を作成してWindows Media Playerで再生させてみたところ、400MHzでどうにか視聴に耐えると判断したのは240×180ピクセル、15fps、100Kbpsの動画ファイル。これを200MHzで再生させるとコマ落ちが激しく発生し、視聴に耐えなくなり、オートに設定した場合は400MHz設定に近い感じの再生となった。

 しかし、比較的負荷の大きいと思われる処理として、地図ソフト「モバイルアトラス」でのスクロール処理なども比較してみたが、「400MHzと200MHzでは前者が少し速いかな」という程度。倍も動作クロックが違うということは体感できない。

 GENIO e550Gが採用したPXA250プロセッサは、PIM利用を中心とした場合にはオーバースペックのように見える。しかし、同クロックならStrong ARMよりは消費電力が低いとされておりアプリケーションによってはARM相当の200MHzで十分。つまり200MHzに固定して、よりバッテリー駆動時間を延ばすという使い方ができるという利点がある。

 また現時点ではほとんどのアプリケーションソフトがPXA250プロセッサに最適化されていない状態だが、今後登場するPocket PCの多くがPXA250プロセッサを搭載することが予想され、ソフトウェア側の対応も徐々に進むはずだ。PXA250プロセッサが真価を発揮するのはそれからになる。

使い方次第で魅力が増す大型ディスプレイ

 GENIO e550Gのもう1つの大きな特徴は4インチディスプレイだ。Pocket PCの場合、表示解像度が240×320ピクセルと共通なため、PIMを利用している限りでは、多くのPocket PCが備えている3.5〜3.8インチのディスプレイと比較して格段に見やすいというわけでもない。


iPAQ Pocket PC(初代)との比較。ディスプレイ周囲のフレームの狭さが本製品は印象的だ。Pocket PCのスタンダードサイズに収めるにはぎりぎりのディスプレイサイズだろう

 しかしフォントサイズを変更できるWebブラウジングとなると、また印象は変わる。iPAQ Pocket PC(初代)との比較だが、フォントサイズを小、最小にした場合の文字の視認性はGENIO e550Gの方が確実によい。「サイズが一回り大きい」が非常に有効なのだ。


フォントサイズを小にし、同条件(同一フレームで)で撮影した画面の一部。上がGENIO e550G、下がiPAQ Pocket PC。4インチと3.8インチはこのくらいの違いだ

 少々変則的な使い方になるが、「JS Landscape」のような擬似解像度変更ツールを利用した場合も「一回り大きい」が有効に働く。筆者はiPAQ Pocket PCで以前から360×480ピクセル(つまり画面全体を3分の2に間引きして表示)の仮想解像度をよく利用していたが、その場合もGENIO e550Gのほうが文字の視認性は高い。

 なおJS Landscapeの2.xは550/550Xでは動作しなかったが、JS Landscape 3.xは550Gで動作した。また擬似解像度変更ツールとしては「Handheld Handler」も特に問題なく利用できた。

[坪山博貴, ITmedia]

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