Mobile:NEWS 2002年7月8日 08:01 PM 更新

3キャリア共通で使える携帯向けIM「αメッセンジャー」を試す

3キャリア間で利用可能なJava対応携帯電話向けIM「αメッセンジャー Ver.1.0」。機能や使い勝手をチェックした

 相手の状態を確認し、リアルタイムでやりとりができるインスタント・メッセンジャーが携帯電話へ進出を始めた。

 ツーカー端末同士で利用できる「ツーカーメッセンジャー」(2月15日の記事参照)や、EZweb版やiアプリ版の「Yahoo!メッセンジャー」(2月5日の記事参照)がユーザー向けに既に提供済み。また、Javaアプリケーションの携帯電話向けIMを、フレックスファームが開発中だ(2月14日の記事参照)。

 そして、7月1日にはアルファーテクノロジーアンドコミュニケーションズがiモード、EZweb、J-スカイのJava対応端末間で利用できるインスタントメッセンジャー「αメッセンジャー」を公開した(7月1日の記事参照)。

 3キャリア対応のインスタントメッセンジャーとして注目されるこのソフトを試してみた。

PC向けチャットソフトに似たインタフェース

 αメッセンジャーのインタフェースは携帯電話上で使いやすいよう考えられており、基本的にソフトウェアキー2つと決定ボタンで操作できる。チャットはオンライン上にいるユーザーとの1対1で行い、別のオンライン上のユーザーとチャットする場合には、トップ画面に戻りチャットしたいユーザーのアイコンを押して相手を切り替える仕組みだ。

 メッセージは決定キーを押すと現れるフィールドに入力して送信する。ただし、送信したメッセージはPCのチャットのように、すぐ相手の携帯電話上に現れるわけではない。αメッセンジャーはパケット料金などの問題から、携帯電話がサーバにプレゼンスやメッセージを拾いに行く通信設定を最低1分、最大で60分の間隔で設定するようになっているからだ。もし相手のメッセージをすぐに読みたい場合には、「手動更新」する必要がある。

 チャットを行っている間はやりとりのテキストデータが残るため、比較的会話するような感覚でのやりとりができる。同じJavaベースのIMである「iアプリ版Yahoo!メッセンジャー」では1回ごとにログが消えてしまうため、この点ではαメッセンジャーのほうが便利だ。ただし、ログはいったんオフラインにすると消えてしまう。


メイン画面(左)。通信間隔の設定やプレゼンスの変更といった設定項目にはボタン1つでアクセスできる(中)。相手に状況を知らせる「プレゼンス」の設定は「ひま」「食事中」「仕事中」「授業中」など10種類を選べる(右)

 J-フォンの「J-SH51」とドコモの「F504i」との間でチャットを試すと、絵文字の変換や文字色が反映されないといった点以外は同じキャリアの端末同士と変わることなくチャットできた。F504iとSO504iとの間では、文字色も絵文字もきちんと反映される。


J-SH51とF504iでチャットを試す。絵文字は反映されない


同じ通信キャリアの「F504i」「SO504i」との間では絵文字を使える

Javaアプリケーションとしてのインスタントメッセンジャーが抱える問題

 気になるのは、Javaアプリケーションの場合、相手の状況を知るためには自分も相手も携帯電話上でアプリを起動しておかなければならない点。立ち上げておかなければオフラインになってしまい、プレゼンスが機能しないため、自分の状況を定期的に送信できないからだ。

 一方、携帯電話でJavaアプリを起動したままにしておくと、通話の着信は分かるが、メール着信は端末によっては着信音やバイブ設定が利かなくなってしまう。また、常時プレゼンスを送信すると通信料金が高くついてしまうため、利用シーンに合わせたプレゼンス設定が必要になる。

 このαメッセンジャーも、この問題は避けられない。しかし、相手がIMを起動していなかったり、電波が届かない場所にいるといったオフラインの場合でもメッセージの送信は可能。相手がアプリを起動したときに閲覧できる。

 αメッセンジャーで1回のプレゼンス情報を送るのにかかる金額は「約1.2円程度」(アルファーテクノロジーアンドコミュニケーションズの柳瀬勝也氏)。3分おきの通信間隔でプレゼンス情報の送受信のみを1時間行うと、約24円、この条件で1日2時間起動させると1カ月約1440円かかる計算だ。

 平均的な利用をした場合にかかるコストは「プレゼンス情報を送信して、メンバーを1人追加、5〜6回のメッセージのやりとりをした場合で、1回あたりだいたい20〜30円」(柳瀬氏)になる。

PCとの連携で有効利用が可能に

 PCのインスタントメッセンジャーと比較すると、どうしても使いづらさを感じてしまうJava版のインスタントメッセンジャーだが、柳瀬氏によると、αメッセンジャーはPCやPDAと連携して利用するように設計されており、利用シーンに合わせた使い分けで有効だという。

 例えば携帯電話上で登録したメンバー情報は、PC側でαメッセンジャーを立ち上げたときに、いちいち登録し直すことなく表示されるようになる。「デバイスからデバイスへと渡り歩きやすい」(柳瀬氏)。

 このPCおよびPDA版のαメッセンジャーは「年内の提供をめどに開発している」(同氏)という。

 既に「Yahoo!メッセンジャー」はPCと携帯電話間の連携が行え、ユーザー設定も引き継げる仕様になっている。携帯電話同士がオフラインでも、PCのユーザーがオンラインになっていればチャットできるのはやはり便利。αメッセンジャーの早期対応を期待したいところだ。

 また同氏はASPサービスとして提供することが、携帯電話上でJavaアプリを起動させておくことの助けになるだろうと話す。αメッセンジャーを採用した企業は、システム構築や開発を行う必要がなくインスタントメッセンジャーアプリをユーザーに提供できる。ロゴ、アイコン、背景などをカスタマイズしたアプリを通して利用ユーザーに定期的に自社の情報を送信することが可能だ。

 「例えば毎日3時に、ユーザーが必要とする情報を企業が送信すれば、ユーザーがその時間にメッセンジャーを立ち上げておくようになるかもしれない。メールのように遅延もなく、リアルタイムで情報を送信でき、送信された情報を元に仲間同士でチャットして何かを決めるといったことが可能だ」(柳瀬氏)。

 将来的には、採用した企業がαメッセンジャーを通じてメールマガジンの送信などを行えるよう改良することも検討中だという。

 現段階でもJ-フォンの51シリーズでは、タイマー設定しておくことで定時にαメッセンジャーを起動させることは可能。しかし、メールの着信を逃さないよう注意が必要だ。504iシリーズの「待ち受けアプリ」への対応は「今後の課題」(柳瀬氏)としている。

 また、柳瀬氏によれば「各企業が提供するαメッセンジャーとの間でのやりとりも特に制限なく行える」という。ユーザーがほかの企業の提供するメッセンジャーに乗り換える際にも、「IDやパスワード、メンバーの登録情報はそのままに乗り換えられる」(柳瀬氏)。将来的にαメッセンジャーの採用企業が増えたときに、企業が発信する独自情報の好みやデザインによってIMを変更しやすいようにという配慮だ。

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[後藤祥子, ITmedia]

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