Mobile:NEWS 2002年8月1日 04:24 PM 更新

2スロット+Bluetoothの意欲作〜「Pocket LOOX」インプレッション(1/3)

8月2日、ついに富士通製Pocket PC「Pocket LOOX」が発売される。Bluetooth内蔵、XScale搭載PDAの実力を検証した

 3月に発表され登場が待たれていた富士通のPocket LOOXが8月2日、ついに発売される(7月16日の記事参照)。国内製品では初のBluetooth内蔵Pocket PCとなるが、PANやHeadsetプロファイルをサポートするなど、これまでの発表で表に出なかった部分でも新しさが見られる。

 同社は以前、「Intertop」というA5サイズのWindows CE搭載機を販売していた。だが、A5サイズ市場自体が振るわなかったこともあり、1999年を最後に新モデルは投入されていない。もちろん今回のPocket LOOXはIntertopの延長上にある製品ではないが、同社にとっては約3年ぶりのWindows CE搭載機となる。

PXA250/400MHzプロセッサのパフォーマンス

 Pocket LOOXは、PXA250プロセッサ搭載Pocket PCとしては、GENIO e550Gに続く2製品目の国内投入になる。CPUの動作クロックは2段階で、高速モードでは400MHz、省電力モードでは200MHzで動作する。ただし、GENIO e550Gのような自動切り換えモードは備えていない。


CPUの動作クロックは2段階の設定が可能。動画再生以外なら省電力モード(200MHz)で十分だ

 パフォーマンスはGENIO e550Gと同じような印象だ。高速モードと省電力モードがあるが、PIMやアプリケーションを使っている限りでは、両者の違いをほとんど感じない。例えば地図ソフト「モバイルアトラス」でスクロール速度を比較してみたが、差はほとんどなかった。

 高速モードが必要になるのは、動画再生の場合だ。テスト用にWindows Media Encoder 7を使い、PDA向けとされる150Kbps、250Kbpsの2つのプロファイルで動画ファイルを作成。これをPocket LOOXで再生してみた。結果から言うと、150Kbpsならば、高速/省電力のどちらのモードでも問題なく再生できたが、250Kbpsのほうは400MHzでないと、まともに再生できなかった。200MHzでは紙芝居のようになってしまうのだ。

 もっとも、この結果からPXA250の400MHz動作をパワフルと呼んでいいかというと、これにはちょっと疑問が残る。同じ250Kbpsの動画を、筆者のiPAQ Pocket PC(StrongARM/206MHz)でも問題なく再生できてしまうからだ。

 両モードの違いをより詳しく見るため、次に動画を連続再生させてみた。テストはフロントライトを最小で点灯したままの状態にし、音量を最大にして150Kbpsの動画ファイルをリピート再生させた。

 結果は200MHzで約4時間半、400MHzで約3時間半の再生が可能だった。クロック比通りとはいかなかったが、150Kbps程度の画質でよければ、省電力モードを使うことで、確実に動画再生時のバッテリー駆動時間が伸ばせるわけだ。

 こうしたテスト結果から考えると、現状のPXA250プロセッサは、400MHzという高速でプロセッサが動作するということよりも、StrongARM/206MHzよりさらに低速な200MHz動作でも、十分実用的という点に、そのメリットがあるようだ。

Bluetoothでできること

 ハードウェア面でのもう1つの特徴が、Bluetoothの内蔵だ。BlutoothはV1.1に準拠しており、通信速度は非対称通信で受信723.2Kbps/送信47.6Kbps、対称通信で送受信433.9Kbps。プロファイル(用語参照)は以下のものをサポートする。

Generic Access汎用アクセスプロファイル
Serivce Discovery Aplicationサービスディスカバリーアプリケーションプロファイル
Serial Portシリアルポートプロファイル
Personal Area Network個人ネットワークエリア
Headsetヘッドセットプロファイル
Dial-Up Networkingダイヤルアップ接続プロファイル
Generic Object Exchange汎用オブジェクト交換プロファイル
File Transferファイル転送プロファイル
LAN AccessLANアクセスプ
Object Pushオブジェクトプッシュプロファイル

 これらのプロファイルを利用してできることには、「指定したフォルダでのファイル共有」「名刺の送受信(“連絡先”に反映)」「ワイヤレスインターネット接続」「シリアルポートエミュレーション」「ヘッドセットの利用」「カレンダー/メモ/電子メールの送受信」などがある。

 ヘッドセットのサポートは珍しいが、現時点ではBluetoothヘッドセットがほとんど入手できないため、あまり利用価値がない。もしちゃんと利用できれば、ワイヤレス音楽プレイヤーとして面白いだろう。ただし、モノラルだが……。

 こうしたことを考えると、Pocket LOOXのBluetooth機能の利用法として、現時点で実用的なのは、Bluetooth対応の携帯電話やPHSを利用したワイヤレスインターネット接続だろう。NTTドコモのPHS「パルディオ633S」やauの「C413S」などのBluetooth対応端末が利用できる。

 また、PCがBluetoothを装備していれば、ワイヤレスでファイル交換やActive Syncを行うことも可能だ。ただし本製品ではPANプロファイルを利用してActive Syncを実行する。このため、PC側のBluetoothもこれに対応している必要がある。

 ところが市販のBluetoothアダプタは、まだほとんどが未対応だ。現時点でPCと本製品をBluetoothで接続したいなら、富士通が販売するBluetoothアダプタを購入するのが一番間違いがないだろう。

 なお、Bluetoothの各機能は「LX Plugfree」というソフトで一括管理する。ファイル共有で共有フォルダを設定し、パスワードで、「読み書き可能」にするか「読み出しのみ」にするかといったことも管理できる。


Bluetoothアダプタを取り付けた筆者のPCをブラウズしたところ。残念ながらPC側がPANに対応していなかったので、ワイヤレスでのActive Syncは実行できなかった(左)。LX Plugfreeがサポートする機能は非常に幅広い。Bluetoothヘッドセットなどの登場が待ち遠しい(右)

[坪山博貴, ITmedia]

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