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2002年8月9日 06:37 PM 更新
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ビジネスiアプリ開発講座
第1回
モバイルアプリケーションの新天地を切り開くiアプリ。本連載では、504iシリーズからの新仕様「待ち受けiアプリ」に触れながら、その実力を探り、ビジネスiアプリとしての有用性を検証する
8月4日現在、NTTドコモのiアプリ対応端末は1479万台と、全iモード契約の43%を占め、その割合は今なお増え続けています。また通信速度とiアプリ容量が3倍、データ保存領域が10倍になった「504iシリーズ」は既に140万台を突破するなど、iアプリ対応端末の普及が進んでいます。
iアプリ対応端末割合(NTTドコモ iモード契約者数他より)
iアプリ対応端末割合推移(NTTドコモ iモード契約者数より)
本講座では、ビジネスにおけるiアプリの有用性について検証し、504iシリーズからの新仕様「待ち受けiアプリ」に触れながら、ビジネスアプリケーション開発について解説します。
モバイルアプリケーションとしてのiアプリ
モバイル端末というと一部の限られた人が使うというイメージがかつてはありました。しかし無線LANの普及、PC不調下でのノートPCの伸び、携帯コンテンツの普及などモバイル市場は急速な拡大を続けていることからも分かるように、現在では多くの人が利用するありふれたものになりました。
このようにモバイルが普及した理由の1つは、ネットワークの発達です。インターネットへの接続が可能になったことで、単体の容量には限界がある小さい端末でも、無限の情報を扱うことができるようになりました。
このモバイル端末は、持ち歩くという性質上、筐体の大きさによって性質・性能が異なります。デスクトップPCなどの固定端末は大きさに余裕があるため、能力が高ければ高いほどいいと単純ですが、モバイル端末では大きさが電池の持続時間や携帯性などに大きく影響するため、すべてのシーンにおいて最適なモバイル端末は存在しません。
モバイル端末における処理能力は、携帯性とのトレードオフの関係が基本となります。iアプリ対応携帯電話登場前は、デスクトップPC、ノートPC、PDA、携帯電話の勢力図は右図のようになっていました。
しかし、携帯電話の急速な普及とコンテンツビジネスの発達により、携帯電話の携帯性はそのままに処理速度が大幅に向上しました。iアプリ対応携帯電話から始まったJava対応携帯電話の登場です。そして、その後の性能向上により、モバイル端末における処理能力と携帯性の勢力図が大きく変化しています。
このように、iアプリは、抜群の携帯性と処理能力によって、今までなかった新しいアプリケーションの可能性を大きく引き出します。そのインパクトの大きさは、爆発的に普及した「メール」や「iモード」からも明らかです。
運用コスト
新しいモバイルアプリケーションとして、大きな可能性を秘めるiアプリですが、その運用コストについては熟慮しなければなりません。
iアプリでネットワークを使用する際にはパケット通信料がかかります。この通信料金(円)は、ドコモのゲートウェイを通過したデータ総量(バイト)を128で割り、0.3を掛けて算出されます。このデータ総量は、実際にプログラム上でやりとりするデータのほかに、HTTPヘッダやプロトコル層による付加データなどのオーバーヘッド分を含みますので、実際に送受信するデータより若干多くなります。
- 通信料金(円) = (実際に送受信したデータ量(バイト) + HTTPヘッダのデータ量(バイト)+そのほかのオーバヘッド(バイト)) / 128×0.3
例えば、情報を入力して送信する日報のようなアプリ(日本語で800文字程度の日報を1通送信)の場合、ヘッダや応答を含め2Kバイト程度の情報のやりとりを行うと、1送信あたり約5円となることが分かります。仮に音声通話によって報告すると、30秒あたり10円程度の通話料がかかりますので、単純に通信料だけでもコストダウンが可能になりそうです。
しかし、このやりとりを連続して20回行うような通信量が必要なシステムだと、パケット通信費は20倍の100円となり、通信コストが目立ってきます。このように、iアプリにおける通信コストは決して安くはないため、アプリ導入によるメリットを運用コストが上回ってしまわないようにすることが必要になります。
iアプリはどのようなビジネスで使えるか?
iアプリを処理能力・携帯性・コスト面で見てきましたが、実際にビジネスにおいてiアプリはどのような使い方が適しているのでしょうか。
まず単純な例として日報について考えましょう。ある会社では、1日の報告を電話で連絡していたとします。これを「定型日報iアプリ」として、一部を置き換えると、入力は定型パターンや前回入力の保存を使えるし、必要な情報のみを送信することで、通信コストも最小化できます。
多くのビジネスにおいて重要なのが情報の送受信です。これにアプリケーションを使うことでコスト削減・効率向上が図れます。会話によるコミュニケーションは幅広い情報伝達が可能ですが、時間の拘束を受けてしまいます。
モバイルアプリケーション開発では、このような問題を解決すべく、「いつでも・どこでも・自動で応答」の実現を基本とし、アプリケーションならでは高い操作性を生かすことがポイントとなります。
次回は待ち受けiアプリについて解説
今後、実際にビジネスアプリケーション開発について、実際にコーディングしながら解説していきます。次回は、前準備も兼ねて504iシリーズの目玉である待ち受けiアプリについて解説する予定です。
著者紹介 福野泰介:UNI-LABO社長。イントラネットと携帯電話を、iアプリを使ったプロキシ認証と圧縮通信によって結びつけ、強固なセキュリティと通信費の削減効果を提供する「パケットセイバー」を開発。「半パケ」という名称でISP向けにも技術を提供、ニフティにも採用されている。 |
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[福野泰介, ITmedia]
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