Mobile:NEWS 2002年8月21日 08:48 PM 更新

「N504i」の日本語入力を解剖する(1/3)

人気のiモード端末「N504i」には、「T9」と呼ばれる日本語入力環境が用意されている。使いこなせば大きな効果を発揮するT9のメリットとデメリットを詳細にチェックした

 人気のiモード端末「N504i」には、画期的な日本語入力方法が用意されていることをご存じだろうか。「T9」と呼ばれるこの入力法を、詳細にチェックしていこう。

 N504iには文字入力方式として、かな入力、2タッチ入力、T9入力(用語)の3種類が用意されている。かな入力はいわゆるマルチタップ、2タッチはかつてのポケベル入力だ。T9は少ないキータッチで読みを入力する新しい入力手段である。

ユーザーは3種類の入力方式のうち2つをあらかじめ選んでおき、その一方を主に利用する。文字入力中はサブメニューの[入力モード切替]でもう一方の入力方式に切り替えられる。初期状態ではかな入力とT9入力が選択され、かな入力が優先入力方式となっている

「あかさたな」で入力する日本語T9

 T9はテジックコミュニケーションズが開発した文字入力システムで、少ないキーで各種の文字を入力できるところに特徴がある。もともとは英字入力のためのものだが、現在では欧米各国語や中国語など、さまざまな言語に対応したバージョンがある。このT9を日本語に対応させたのが日本語T9だ(2001年2月の記事参照)。

 最大の特徴は、キーの入力回数を大幅に減らせることだ。T9は読み辞書を持っていて、入力されたボタンの並びにマッチする読み候補を候補表示画面に表示する。T9が担当するのはかな入力だけであり、かな文字列の決定後にかな漢字変換エンジンで実際の変換を行う。

 例えば「携帯」と入力したいときは、読みを[2][1][4][1]、すなわち「かあたあ」と入力する。すると読み候補表示画面に「こうつう」「けいたい」などの候補が現れ、先頭の候補が入力位置に置かれる。目的の読みが先頭候補ならそのまま[決定]ボタンを押し、そうでないときは[下]ボタンを押して候補表示画面からカーソルボタンで目的の読みを選ぶ。読みが決定したら[下]ボタンでかな漢字変換を行う。


左から、「かあたあ」を入力する。「けいたい」を選ぶ。「けいたい」を変換する。「携帯」に変換できた

 手順としては、読みを入力して選択・決定し、次にかな漢字変換を行って選択・決定するという2段階の操作が必要になる。その代わりマルチタップと違って1文字が1キーで入力できるため、全体の入力キー数を減らせるわけだ。

 いったん入力した読みは学習されるため、次に同じ読みを入力したときは先頭候補として表示される。

同音語の多さがネックの日本語入力

 T9は一見画期的な入力方式だが、良いことづくめではない。メリットの裏には必ずデメリットがある。それは同音語の問題だ。

 日本語には同じ読みを持つ言葉が多い。例えば大型国語辞典の1つである大辞泉で、4文字の読みを持つ単語を探すと、「高校」をはじめとして「こうこう」が36個もある。次に多いのが「しょうか」(33)、「しょうし」(31)で、以下「かんこう」(29)、「こうそう」(29)と続く。

 T9で「こうこう」を入力するには「かあかあ」と入力し、表示される「こうかい」「くうこう」などの読み候補の中から「こうこう」を選ばなければならない。大辞泉で「かあかあ」に一致する読みは18通り、単語は144個もある。これは単語数としては3位で、トップは「さあさあ」(読み27/単語数166、『再生』『そうそう』など)、その次が「かあさあ」(読み21/単語数149、『掲載』『構想』)だ。

 読みの多さで並べると「ばわばわ」(読み32/単語数36)がトップとなり、以下「かわばわ」(読み30/単語数54)、「さわばわ」(読み28/単語数60)となる。擬音語や外来語で多く使われる「ん」「ー」がすべて「わ」になるからだ。例えば「ぺーぱー」「ぶんぶん」が「ばわばわ」になる。

 このように見てくると同音語の多さに閉口させられるが、これらの数値はすべて大辞泉のもので、しかも単語ベースだ。T9の読み辞書ではまた事情が違ってくる。この辞書には大辞泉ほどの単語は含まれていない代わりに、さまざまな“言い回し”が登録されているからだ。

[太田純, ITmedia]

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