Mobile:NEWS 2002年8月27日 07:23 PM 更新

JBlend搭載携帯が1000万台突破

アプリックスの携帯向けJavaVM「microJBlend」を搭載した端末が1000万台を突破した。Java搭載携帯電話の約半数に当たる。年末には携帯向けJBlendのメジャーバージョンアップを行うことも明らかにした

 アプリックスは8月27日、JavaVM「microJBlend」を搭載した携帯電話が、7月末に1000万台を突破したことを明らかにした。現在国内のJava搭載携帯電話は2000万台程度稼働しており、ほぼ半数がmicroJBlend搭載機となる。

キャリアJava対応機台数
NTTドコモ1490万
au(KDDI)未公表(GPS機能付き端末台数228万5400)
J-フォン388万2500
ドコモは8月25日時点、au、J-フォンは7月末時点。auのGPS機能付き端末はすべてJavaに対応しており、ほかにJavaのみ対応の機種が2機種販売されている

 microJBlendは、2001年3月にドコモのソニー製端末「SO503i」への搭載を皮切りに約17カ月間で1000万台に達した。アプリックスによると、43機種中26機種がmicroJBlendを採用。auとJ-フォンのJava対応端末はすべてmicroJBlendを搭載しており、ドコモ向けではソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製端末3機種と、シャープ製の「SH2101V」に採用されている。

 海外への展開も成果が見えてきた。米通信キャリアのSprint PCSが8月に発売したJava対応端末「SCP4900」(三洋電機製)、もうじき投入する「SH-P300」(日立製作所製)にはJBlendが搭載される。7月には米国現地法人に続き、パリに支店を設立しており、「ヨーロッパに期待している」(アプリックス営業本部長の児島昭夫氏)。国内メーカーが海外キャリアに提供する端末だけでなく、海外の端末メーカーにもJBlendの採用を働きかけていく。

来年にはMIDP2.0対応の「microJBlend ver2.0」

 アプリックスは今年末のタイミングで、microJBlendをメジャーバージョンアップする。「microJBlend ver2.0」と呼ばれる新バージョンでは、CLDCバージョン1.1および、MIDP2.0へ対応する予定だ。

 MIDP2.0は、現在J-フォンやauが採用しているMIDP1.0の後継仕様。この秋に仕様が固まると見られている(7月4日の記事参照)。

 またCLDC Hotspotやハードウェアアクセラレータへの対応も進め、モジュラー構造を取り、さまざまなプロファイルや拡張機能を組み込むことができるようにする。

 家電やセットトップボックス向けにCDC仕様のJBlend、「MetaJBlend」(仮称)も投入する。将来的にはスマートフォンやPDAも視野に入れている。「Symbian OS搭載のNokia端末には、CDC仕様のJavaVMが動作しているものがある。現在のARM9系のプロセッサでも動作する」(アプリックス研究開発本部 ES研究開発部の辻邦彦部長)。

 2004年以降の計画として、JBlendを半導体回路として1チップ化した「silicon JBlend」も想定していることも明らかにされた。「マイクロコントローラを置き換え、Javaの実行を手伝うもの」(辻氏)という位置づけ。
JBlendのロードマップ

ディスプレイのあるものすべてにmicroJBlendを

 “携帯電話向けのJavaVM”として有名なJBlendだが、同社会長の郡山龍氏は「携帯電話に特化しているわけではない」ことを強調。家電など、組み込みソフトウェアを必要とする機器すべてに向けてJBlendの搭載を進めていく。


各種Javaの位置づけ。Javaはサーバ向けのJ2EE、PC向けのJ2SE、組み込み向けのJ2MEの3種に大きく分かれる。J2ME(Micro Edition)には、CLDC(Connected Limited Device Configuration)と呼ばれる現在携帯電話に搭載されている仕様のほか、フルスペックのCDC(Connected Device Configuration)と呼ばれる仕様などが策定されている

 アプリックスによると家電がJavaを必要としている理由は、ユーザーインタフェース開発の難度向上のためだ。「(現在の組み込みソフトウェアは)組み込みマイコンの限界を超えている。機能が複雑になるために、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)の進化が必要になる。そのGUIをJavaで開発する」(ES研究開発本部の辻部長)。

 まだ数は少ないながら、ソニーのミニディスクAVレコーダー、フォトプリンタ、三洋電機のフォトアルバムやデジタルテレビなどがJBlendを採用し、ブラウザなどGUI関連のプラットフォームとして使われている。

 今後、ターゲットとしていく機器は“3インチ以下のディスプレイを備えた家電”だ。同社会長の郡山氏はディスプレイを搭載する機器にはユーザーインタフェースがあり、そこにはJBlendが採用される余地があるのではないかと見ている。郡山氏によると、3インチ未満のディスプレイを使った製品の市場規模は現在、5億8000万台であり、今後それが8億台規模に伸びる見込みだ。


郡山氏は、JBlendを腕時計で使うという構想も披露した。「腕時計にJava……というと、普通は多機能ウォッチを想像する。しかし、時計に求められるのは機能ではなくファッションだろう。(JBlendの搭載は)時計をPC化することではなくて、盤面のデザインを動的に変えることを実現する」。さらに「腕時計そのものに、(持っている携帯電話の)背面液晶の表示を飛ばしてしまおう」という考えも持っている



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関連リンク
▼ アプリックス

[斎藤健二, ITmedia]

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