Mobile:NEWS 2002年9月12日 02:58 AM 更新

モバイルキーボードの進化はまだまだ続く

モバイルキーボードでは革新的な研究が進んでいる。「机に投影されるバーチャルキーボード」「時計のリストバンドにも実装可」「名刺サイズ」──。研究成果のいつかを紹介しよう

 モバイル機器の入力インタフェースに満足している人は、おそらく少ないだろう。PCのキーボードが「QWERTY」配列に落ち着き、“打鍵感”などが話題の中心になってきているのに対し、モバイル向けのキーボードは新機軸が続々登場してきている。

 キーボード&HMI2002研究会が9月11日、都内で開催され、キーボードとヒューマンインタフェースに関わる研究成果が多数発表された。

バーチャルキーボードでタイピング

 キーボードの画像を机などに投影し、その画像をタイプすることで文字を入力できるデバイスがいくつか発表されている(5月15日の記事参照)。中でも、実際の製品の登場が近いと見られるのが、実物も披露された「Canesta Keyboard」だ。他社の製品とは異なり、PDAなどに組み込むのが前提。

 米Canestaの日本法人であるカネスタアジア社長の森本作也氏によると、もともとキーボード用途ではなく「光の角度や(遮られる)時間から、位置や奥行きを認識する技術」として開発されたのだという。

 同社が提供するのは、基本的に3つのデバイスだ。それぞれがキーボードパターンの投影、走査用の光の照射、センサの役割を持つ。森本氏によると、来年の1月から2月には本格量産に入り、3つのデバイスはセットで20-30ドルの卸価格となるという。


実際は3つのデバイス(写真左)をPDAなどに組み込む。照射されたパターンをタイプすると、文字が入力される(右)。タイピングは基本的に指を浮かせておき、入力したい文字に触れていく。タッチタイプはさすがに難しく、打鍵感はまったくないが、見た目よりも入力はやりやすい。携帯のような10キーによる入力や、手書き文字認識などに比べ、かなり速く入力できる。課題は平らな場所でないと使えない点だ

小型で高速な入力ができる携帯向けキーボード

 携帯電話向けの新型入力装置も発表された。名古屋工業大学の米谷昭彦博士が開発した「yankee」だ。携帯背面に18個のセンサーを搭載し、2本の指を滑らせて入力を行う。

 1秒間に2〜3文字の高速入力が可能なことと、小さなスペースにも実装できるところに特徴がある。「時計のリストバンドにも実装可能な方式だ」(米谷氏)。


2本の指で母音と子音を同時に指定する方式。指を離したときに入力が完了するため、指を滑らせながら目的の文字を探していける。底面のコネクタに接続する形で、既に携帯電話への実装もできている


「yankee」を実装したプロトタイプ。キーは背面にある。キー位置は当然見えないため、画面で文字を確認しつつ入力する

予測変換をさらに改良

 東京工業大学でユーザーインタフェースを研究する小松弘幸氏が発表したのが、文脈を捉えて予測する入力方式「Nanashiki」(七色)だ。最近の携帯電話では、文字入力時に候補を予測する機能が当たり前になっているが、まだ改良の余地は残っている。小松氏が目をつけたのは、編集中の文章に含まれる単語を優先的に予測候補に加えるという手法だ。

 従来の予測変換では、辞書と学習の結果を元に候補を予測する。しかし、「初めて使う単語だが、文脈からしたら(予測候補の)最初に表示したい」ということも多い。特にメールの利用が多い携帯電話では、返信時に効果が期待できる。

 ただし現在の処理はかなり重い。キーの入力時に入力済みの文章をスキャンし、文節を切り分け、逆引き辞書で漢字から読みを取り出して、予測候補に加えている。これにはハイパフォーマンスなCPUと、2M-3Mバイトにおよぶ逆引き辞書を搭載する必要がある。しかし小松氏は逆引き辞書を通常辞書に組み込むことなどで、軽量化も図れると語っていた。


Nanashikiの利用例。メールに返信するとき、そこに含まれる単語は優先的に予測候補として現れる。例えば、受け取ったメールの中に「本駒込」という単語が含まれていたら、これまで「本駒込」という単語を入力したことが一度もなくとも、「h」と打っただけで「本駒込」が登場する。デモを行ったシステムはPOBoxにNanashikiを組み込んだもの

PDAサイズから名刺サイズのキーボード

 エコエルグ研究所が、「薄型PDAサイズのタッチタイピングキーボード」として開発中なのが「ポケッタブルキーボード」。携帯時は薄型PDAサイズだが、2つ折を開くとキーピッチ19.05ミリのフルサイズキーボードになるというものだ。

 「タッチタイプができるのが、キーボードの前提条件」というコンセプトの元、スイッチにはメタルパンタグラフを使うという凝りよう。現在はさらに小さな名刺サイズの折りたたみ型フルキーボードの開発に取りかかっているという。


ポケッタブルキーボードを開いたところ。サイズは80×120×13ミリ(折りたたみ時)ながら、USBインタフェースを備え、キーストロークも2.7ミリを確保している


名刺サイズのキーボードのレイアウト図。縦列を3列にすることで小型ながらキーピッチを確保している



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新興企業のVirtual Devicesが、キーボードの画像を投影して、その画像の上でタイピングできるデバイス「Virtual Keyboard」を発表した


関連リンク
▼ Canesta
▼ エコエルグ研究所

[斎藤健二, ITmedia]

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