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2002年10月22日 02:51 PM 更新
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シャープ、ガラス基板上にCPU「Z80」の形成に成功〜CGシリコンで
シャープと半導体エネルギー研究所は世界で初めてガラス基板上の8ビットCPUの形成に成功した。液晶ディスプレイにCPUを組み込む技術が実証されたことで、“シートコンピュータ”などへの道がひらけた。2005年をめどに、商品化する
シャープと半導体エネルギー研究所は10月22日、共同開発したCGシリコン技術を用いて、液晶用ガラス基板上に8ビットCPUを形成することに成功したと発表した。同社によるとガラス基板上でのCPU形成は世界で初めて。
両社では、液晶ディスプレイのガラス基板にCPU、メモリなどを一体形成するめどがついたことから、「“超薄型シートコンピュータ”“シートテレビ”への実現に一歩踏み出した」としている。

ガラス基板上にディスプレイ部とCPU(Z80)を形成した試作サンプルを手にする、シャープの技術開発統括の三坂重雄副社長(左)と半導体エネルギー研究所の山崎舜平社長(右)

シャープの「MZ80C」のCPUを、ガラス基板上のZ80と入れ替えて動作させるデモも行われた。回路としては3MHz動作が可能だが、オリジナルのZ80と同じ2.5MHzで駆動させているという
半導体エネルギー研究所の山崎舜平社長は「ガラス上のCPUは通常の技術の世界では考えられないこと。最終ゴールがCPUだった」としている。形成したCPUはザイログ社が開発した「Z80」。1万3000個のトランジスタを3μmルールで形成した。
CGシリコン(Continuous Grain:連続粒界結晶シリコン)はシャープが押し進める「システム液晶」のコアとなる技術。従来の低温ポリシリコン(多結晶シリコン)に比べ3倍程度高い電子移動度を持ち、液晶のガラス基板上にさまざまな回路の形成が可能となっている。従来、ドライバICや各種LSIを液晶基板上に載せ込めることがメリットとされていたが、CPU回路の形成が実証されたことでコンピュータ自体を液晶と一体化できる可能性がひらけた。
時期 | 2002年 | 2003年 | 2005年 |
世代 | 第1世代 | 第2世代 | 第3世代 |
TFT Characteristics | HighMobility | Small Distribution | Short-Channel TFTs |
Mobility | 200cm2/Vs | 300cm2/Vs | 400cm2/Vs |
デザインルール | 3〜4μm | 1.5μm | 0.8μm |
Metalization | Al wiring | Multi-Layer Wiring | Low-Resistance Wiring |
デザイン環境 | LSIデザインツール | Accurateデザインツール | Effectiveデザインツール |
ロジック周波数 | 3MHz | 5MHz | 20〜30MHz |
集積回路 | ドライバ、メモリ、マルチドライバ | DAC、アンプ、タイミングジェネレータ | コントローラ、 |
システム液晶の技術ロードマップ
製品化は、0.8μmのプロセスルール、30MHz程度の動作速度が実現する2005年の第3世代と想定している。「製品化時に対象となるCPUコアは、ARM7やARM9」とシャープの三坂氏。
シャープのモバイル液晶事業本部の片山幹雄本部長は、「2005年までには、ガラス基板上にディスプレイやCPUを搭載した“ディスプレイカード”のようなデバイスを実現していきたい」と話している。
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[斎藤健二, ITmedia]
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