Mobile:NEWS 2002年10月30日 00:58 AM 更新

業界初の46インチ液晶やプラスチックTFT液晶など――「LCD/PDP International 2002」

パシフィコ横浜でフラットパネルディスプレイ関連の展示会「LCD/PDP International 2002」が始まった

 パシフィコ横浜で10月30日、フラットパネルディスプレイ(FPD)関連の展示会「LCD/PDP International 2002」が開幕した。薄型大画面TV向けの大型LCD/PDPや、携帯電話やPDAなどモバイル向けの高精細LCD、次世代ディスプレイの有機ELなど、国内外メーカーが最先端技術を駆使した最新FPDを紹介している。


パシフィコ横浜で開幕した「LCD/PDP International 2002」

 FPD立国として世界をリードしてきた日本だが、近年は韓国や台湾メーカーの台頭がめざましい。その中でも、意欲的なFPD製品群を数多く展示していたのがSamsungのブースだ。今回の展示会では、46インチのTFT液晶ディスプレイを参考出品していた。「46インチは、TFT液晶ディスプレイでは世界最大」(同社)という。


世界最大の46インチTFT液晶ディスプレイ

 HDTV対応で解像度はWXGA(1280×720ピクセル)。視野角は上下・左右ともに170度と広く、コントラスト比は800対1、最大輝度は500カンデラと明るさも十分だ。液晶TVは応答速度が課題とされており、動画を快適に見るためには15ミリ秒以下が必要といわれているが、今回の46インチLCDは12ミリ秒とその点も問題ない。来年第3四半期に製品化する予定だが、発売当初は家庭向けではなく、空港などのインフォメーションボード用途として訴求していくという。

 Samsungのブースでもう1つ「World Largest」(世界最大)をうたっていたのが、今年1月の米国CESでお披露目した63インチのPDP。すでに韓国と米国では200万円前後で販売されているという。日本での発売は来年3月ぐらいとのこと。「ただ、日本の家屋事情から、63インチは大きすぎるのではとの意見もある。日本での販売はニーズを見極めた上で行いたい」(同社)。


Samsungブースのもう1つの「World Largest」(世界最大)は、63インチのPDP

 Samsungと並ぶ韓国の液晶ディスプレイメーカーといえばLG Philips LCD。両社は今回、隣り同士にブースを構えて火花を散らしていた。LG Philips LCDブースのイチオシは、今年9月に発表した42インチのTFT液晶ディスプレイ。本来、今回の展示会の目玉となるはずだったイワク付きの大型LCDだ。「発表当時は世界最大だったが1週間後にSamsungが46インチを発表し、短命な“World Largest”に終わった」(同社)。


短命な“世界最大LCD”だったLG Philips LCDの42インチ液晶ディスプレイ

 ただし「サイズでは負けたが性能では勝っている」と同社担当者。Super IPS方式と銅配線回路によって、上下左右176度の広視野角と、10ミリ秒の応答速度を実現している。製品化は来年7-8月とこちらもSamsungと同時期だが「当社は家庭用TV向けとして考えており、広視野角やレスポンスの速さもそのための技術。価格も一般ユーザーがなんとか手の届くところを狙いたい」(同社)。ちなみに、Samsungが現在発売している40インチ(実売100万円前後)は、担当者いわく「あれはムチャクチャ高すぎる」とのこと。同社の42インチは、価格面でも期待できそうだ。

シャープが業界初のプラスチック基板TFT液晶

 国内液晶メーカーの雄といえばシャープだが、こちらはCEATECなどでお披露目している37インチの液晶ディスプレイを参考出品。サイズでは韓国メーカーの後塵を拝しているが、2003年に予定されている液晶ディスプレイの新生産ラインが稼動すれば、現在の2倍の大きさの液晶パネルを生産できる。「40インチ以上どころか、サイズ的には50インチの2枚取りも可能。ただし、家庭用として適正なサイズを枚数多く取ることで、液晶TVのコストダウンをはかりたい」(同社)


シャープの大型LCDは37型を参考出品

 今回の展示会では、先端技術で“液晶のシャープ”らしさをアピール。業界初というプラスチック基板を使った4インチ反射型TFTカラー液晶ディスプレイを参考出品していた。従来のLCDは、ガラス基板上にTFTを形成するが、このガラスをプラスチックにすることで、薄く軽量で衝撃に強いというモバイル用途に最適なディスプレイを作れるという。「従来のガラス基板に比べて厚さで1/3、重さで1/4、耐衝撃性は10倍以上になる」(同社)。


プラスチック基板を使った4インチ反射型TFTカラー液晶ディスプレイ

 プラスチック基板化の最大の課題は、耐熱性が低い点。同社が試作したプラスチックTFT液晶は、TFTデバイス層を直接プラスチックに形成する「直接法」という製造プロセスを採用している。この方式のメリットは、デバイス形成温度が150度以下で済む点だが、TFT特性が不安定で、高精細化や小型化に有利な低温ポリシリコンTFTを使いづらいというデメリットもある。同社の試作機も、アモルファスシリコンTFTを採用していた。「将来的には、低温ポリシリコンTFTの採用も検討している」(同社)。

 日立製作所のディスプレイ事業を分社化して今年10月1日に設立した日立ディスプレイズのブースでは、日立製作所が先日発表した20V型液晶TV「Wooo」と、それに使われた同社の新開発液晶ディスプレイ「アドバンスドスーパーピュアカラー液晶」を紹介していた。新製品は、画面表示中に一定の間隔で黒の表示データを書き込む「黒挿入駆動技術」などで残像感の少ないCRT並みの動画表示性能を実現している。


日立ディスプレイズの「アドバンスドスーパーピュアカラー液晶」と、同液晶を採用した20V型「Wooo」

 どれほど応答速度が速いのか担当者に聞いてみると「実は、スペック上では30ミリ秒と液晶ディスプレイとしては遅いレベル。それを新技術で“見た目”上の応答速度を向上させている」とのこと。同社お得意のグレア処理を加えた表面処理で、レスポンスに優れた動画を“つや”のある映像で楽しめるという。

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▼ 40型液晶やPDP、有機ELなどFPDが一堂に――LCD/PDP International 2001

関連リンク
▼ LCD/PDP International 2002

[西坂真人, ITmedia]

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