Mobile:NEWS 2002年11月26日 03:09 AM 更新

N504iSの“飛び道具”、赤外線リモコンを試す

携帯の赤外線通信機能は、実は使ったことがない……人が多いかもしれない。しかし「N504iS」の赤外線は一味違う。テレビやビデオ、さらにはカラオケのリモコンとしても使えてしまうのだ

 NTTドコモ端末でトップシェアのNECが満を持して投入した「N504iS」。「カメラ機能にフォーカスした」というだけあって、31万画素のCMOSセンサ、携帯初となるOCR機能などが注目を集めているが、もう1つ無視できない「携帯初」がある。それが赤外線ポートを利用したコンシューマーIR。つまり、リモコン機能だ。


ビール腹の携帯電話こと「N504iS」。ご丁寧に老眼鏡(ムーバ用レンズのこと)まで付き、その完成度は熟年の域に達した。赤外線ポートは頭頂部(液晶画面の上面)にある

 N504iSのリモコン機能には、あらかじめ松下製、ソニー製、シャープ製のテレビ、そして第一興商のカラオケ(DAM)のリモコンデータが内蔵されており、切り替えて利用できる。とくにハードやソフトを加えることなく、標準搭載の赤外線ポートとアプリケーションだけで使えるのが便利だ。そのほかのメーカーのデータも、NECのサイト「みんなNらんど」から、最大18件までダウンロードして追加できる(下記)。

 リモコンを利用するには、「MENU」ボタン→「ツールBOX」選択→「リモコン」選択。まず、ここでテレビやビデオのメーカーを登録する。


TVリモコンの画面(左)とリモコンデータリスト(右)。決定キーは、TV/ビデオの切り替えだが、長押しするとリモコンデータ選択画面にいける

 登録は、「TVリモコン」の画面で「SET」ボタン(決定キー)を長押ししたあと、データ一覧から該当するメーカーを選択。別のメーカーを加えるときも、ダウンロード時の「登録」だけでは、リモコンとして使うための「登録」(SET)になっていないので注意したい。ちょっと紛らわしい。

ダウンロード可能なメーカー(11月22日現在)
テレビリモコン
アイワ、NEC、三洋電機、東芝、パイオニア、ビクター、日立製作所、富士通ゼネラル、船井電機、三菱電機
ビデオリモコン
アイワ、NEC、三洋電機、シャープ、ソニー、東芝、パイオニア、ビクター、日立製作所、富士通ゼネラル、松下電器産業、船井電機、三菱電機
シャープ、松下、ソニーのテレビは内蔵。機種によってはミュート(音声消去)など一部の機能には対応していない場合もある

 とりあえず、自宅にあるソニー製テレビと東芝製ビデオ、そして三洋電機製ビデオの3つを登録(SET)してみたのだが、戸惑ったのが画面表示だ。テレビ、ビデオはボタン1つで切り替え可能だが、ビデオの機種(メーカー)を変更する場合には、その都度、SETし直さなければならない。また、画面表示は「テレビリモコン」あるいは「ビデオリモコン」だけで、使用中のメーカー名を表示してくれない。

 普通の家庭ならテレビとビデオは1台ずつだろうが、複数のビデオデッキなどを所有している人は少し面倒だろう。


繁雑な作業が必要になるご家庭の一例。赤外線の伝達距離は約3メートルで、6畳間であれば端から端まで届く

 赤外線の伝達距離は約3メートルで、障害物のない場所であれば実測3メートル以上の距離でも使えるようだ。ただ、(携帯電話画面の)画面を見ながら操作すると、発光部が前方斜め上を向いてしまい、テレビやビデオが反応してくれない場合がある。

 普段のリモコン操作を想像してほしい。赤外線には指向性があるため、何気なくリモコンの先端をテレビに向けるようにしてボタンを押しているだろう。しかしN504iSは折りたたみ式で、画面は180度開かない。何も考えずに普段通りの操作をしようとすると、手のなかにある操作部をテレビに向けてしまう。つまり、発光部は上を向くわけだ。

 また慣れていないと、ついつい携帯の画面を見ながら操作してしまうので、なおさら発光部は上を向く。テレビを正面よりも上に設置しているときは不便を感じないだろうが、テレビが利用者の正面にある場合は、意識して少し携帯電話を寝かせ気味にするといい。

 N504iSのリモコン機能を、専用リモコンと比較するのは少し可哀想だが、率直に言って操作性はイマイチ。しかし、専用リモコンが見あたらないときの「非常用」としてなら、十分に使えるだろう。

 ただ、難しい話はヌキにしても、携帯の操作でテレビが点くと、物珍しさも手伝ってなんとなく嬉しいから不思議だ。ほかの機能にひかれてN504iSを買った人たちも、ぜひ試してみてほしい。

DAMリモコンは使えるようになった?

 このリモコン機能には、もう1つの目玉がある。通信カラオケ「DAM」(第一興商)のリモコンとして使えるのだ。

 従来の504iでも、IrDAを使ってDAMリモコンの機能を実現していた(5月23日の記事を参照)。しかし、IrDAに対応しているカラオケボックスがまだ少ないうえ、504iのIrDAでは伝達距離が20センチと短い。このため、なかなか「つながらない」経験をしたユーザーも多いはずだ。

 それが、今回は標準的なコンシューマーIRを搭載し、伝達距離も延びた。これでもう、リモコンを巡る醜い争いに巻き込まれることはない。他の人たちがリモコンを奪い合っているうちに、コッソリ自分の曲を予約してしまおう。

 DAMリモコンは、テレビやビデオとは別の「その他のリモコン」に登録する。SETを押して「リモコンデータ」一覧からDAMカラオケを選択すると、「リモコンリスト」として曲目が表示される。これをSETしておけばボタン一発で選曲完了だ。

 内蔵されているのは「アニメソングメドレーおとこのこ編」「アニメソングメドレーおんなのこ編」「ウェディングメドレー男性編」「ウェディングメドレー女性編」の4つ。追加の曲データは、第一興商のiモードサイト「clubDAM」からダウンロードできるようになる予定だ。


DAMリモコンのときも画面表示は「その他のリモコン」(左)。このリストは一体誰の選曲?(右)。えらくマニアック、てゆーかニッチなんですけど

 リスト以外の曲を入力することもできる。「その他のリモコン」は、デフォルトでDAMリモコンとして使えるため、そのまま数字を入力し、送信ボタン(iボタン)を押すだけだ。残念なのは、自分の十八番を登録しておく機能がないこと。一度選曲したものに名前を付けて保存できれば、次回からは曲リストをめくらずに済む。

 事実、504iのIrDAを使う「DAMりもこんアプリ」にはこの機能があり、iモードを使って歌手名や曲名から曲を検索することもできる多機能ぶり。携帯電話をカラオケのリモコンとして使うなら、登録機能は必須といえるだろう。ちなみに私の十八番は……(長くなるので自主規制)。

便利だけど……

 なんだか文句ばかり書いてきたような気がするが、それはN504iSのリモコン機能が「単なるオマケ」にしておくのはもったいないレベルにあると思うからだ。アプリケーションに一工夫あれば、非常に有用な機能になる。と、一応フォローしたところで、もう1つ文句を言っておこう。

 それは、この赤外線リモコン機能がネイティブアプリとして実装されている点。リモコンにはリニアな応答性が必須であり、ネイティブアプリになっている理由もここにあると思われる。が、もし、この機能をJava(iアプリ)から叩くことができれば、面白い展開が期待できるはずだ。対応機器の拡大はもちろん、前述の「曲登録」、さらにプログラマブルリモコンなんかもiアプリとして出てくるに違いない。

 しかし、ネイティブアプリである限り、機能の追加や改善はNEC頼みとなる(ドコモはインタフェース仕様を公開してはいない)。大きな可能性を持ちながら、それがスポイルされているようで非常に残念だ。

 結論。N504iSのリモコン機能は「おまけ」として考えるのはもったいない。ただし、せっかく携帯電話に載せるなら、もう一工夫欲しいところ。……無難な結論で申し訳ない。



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[芹澤隆徳, ITmedia]

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