Mobile:NEWS 2003年5月27日 02:03 PM 更新

ケータイカメラ画質研究ラボ
「D505i」はメガピクセルデジカメとして使えるか(2/2)


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肝心の画質はどのレベルまでいっているか

 では実際に撮影してみよう。カメラの設定は1280×960ピクセルのスーパーファインに設定、閉じた状態で横位置で撮影している。

 この状態でのカメラの起動は側面(撮影時はこちらが上になる)のカメラボタンの長押し。これですぐカメラが起動するので本当に閉じたままで問題ない。

 ちなみにカメラの終了も長押し。暗いところで手ぶれを防ぐためにシャッターを押しきってほっておくと、カメラが終了するので注意が必要だ。手ぶれを防ぐにはシャッターをポンと押して離すのではなく、撮影終了まで押し切ったままにするのがいいのだが、D505iの場合、それを意識しすぎるとカメラが終了してしまう。

 当初は「ケータイの裏側を他人に見せてシャッターを切る」というスタイルが奇妙に思えるかもしれないが、使ってみるとなんてことない。確かに撮りやすいし、その気になればしっかりグリップできる。ケータイということを忘れてぎゅっとグリップしちゃうのがいいだろう。

 シャッターを押すとまずシャッター音がして、しばらくするともう1度鳴る。実際に撮影されるのは最初のシャッター音のあとになるので、特に暗いときはあわてて動かすとブレた写真になるので注意。

 撮影自体は気楽だが、記録には時間がかかる。もちろん撮影サイズによって大きく変わるが、1280×960ピクセルだと記録するのに10秒以上かかるのは知っておいた方がいいだろう。

 では肝心の画質。

 比較対象があったほうが分かりやすいのでEXILIM「EX-S1」で撮ったものと両方を用意してみた。どちらも画質は最も良いものに設定してあるがファイルサイズはEXILIMのほうが倍くらいでかい。これはJPEGの圧縮率の違いだ。

左がEXILIMで撮影、右がD505iで撮影(クリックで生データへ)

 一目瞭然の結果となってしまった。D505iのほうが全体に青っぽくて寒々しい感じ。色のノリもあまりよくない。斜めの線もけっこう凸凹しているし、背景の木々の緑もカメラ側がディテールの判別をできずにぼやけている。EXILIMも小型レンズを搭載したパンフォーカスデジカメで画質がいいわけではないので、D505iの画質レベルはまだ本格的なデジカメと比べると劣るということか。

 特に気になったのはダイナミックレンジ。一度に処理できる輝度差が狭いことだ。もうひとつの例を見よう。

左がEXILIMで撮影、右がD505iで撮影(クリックで生データへ)

 背景の建物の上部を見ると、D505iの方がちょっと明るいところがあっさりトんで真っ白になっているのが分かる。こういう日陰と日向の両方が入ったキツいシチュエーションだと露骨に出てしまうのだ。

 もちろん今までのカメラ付きケータイに比べると画質は格段によくなっている。以前撮影した「D251iS」(2月14日の記事参照)とVGAサイズで撮影して比べると一目瞭然だ。

 D251iSのVGA撮影は細部がぼやけていて斜めの線も凸凹しているが(撮影した季節や天候が違うので発色に関してはなんともいえないが)、D505iのVGA撮影はいったん高解像度で撮ったモノを縮小処理しているのでディテールは非常にきれいに出ているのだ。

左がD251iSで撮影、右がD505iで撮影(クリックで生データへ)

 続いて室内での撮影をしてみる。まず蛍光灯下での撮影。

左がEXILIMで撮影、右がD505iで撮影(クリックで生データへ)

 EXILIMの場合、1メートルより遠くにしかピントが合わないため、近距離でのこういう撮影はとても不得手。これは50センチちょっとくらいの距離で撮っているが、ちょっとぼけている。また、オートホワイトバランスの補正がうまく働かず、緑かぶりを起こしてしまった。

 D505iは近くてもピントは合っているし、オートホワイトバランスもかなりうまく働いている。

 パンフォーカスの場合、被写界深度といってピントの合う範囲が重要なのだが、その範囲はCCDが小さいほど広く、絞り値が大きいほど広い。よって同じ画素数でもCCDが小さなD505iの方がピントの合う範囲は広いのだ。  D505iもディテールのつぶれは気になるものの、なかなかいい出来。VGAモードで撮ればそこそこ使えそうだ。室内のほうがコントラストが低いのでダイナミックレンジの狭さが目立たないのである。

 さらに白熱灯の下で撮影してみた。


白熱灯下でD505iで撮影

 白熱灯の赤みはきれいに補正されている。ときどき補正しすぎて青くなってしまうこともあるが、概ねバランスはいい。ちなみに、一番近くの赤い瓶がカメラから20センチほどの位置にある。このくらいまでならなんとかピンボケを気にせず撮れるようだ。赤い瓶がぼけているように見えるが、これはレンズの端にあることによる画質の劣化が大きい。

 ダイナミックレンジが狭い分、全体に硬い印象になってしまっており、あまり発色が鮮やかでないのとディテールがつぶれぎみなのは残念だが、悪くない。

 最後に暗所での撮影。

 ほんのわずかだけ横から灯りがさしこむようにして(さすがに真っ暗だと撮影できないので)、コンパクトライトで撮影してみた。クローズ時にはシャッターの横にあるボタンを長押しすると点灯する。

左がライトなしで撮影、右がライト付きで撮影(クリックで生データへ)

 増感されてノイズは増えているものの、思ったよりしっかり撮影できた。光は遠くまで届かないのでカメラのストロボ代わりには使えないが、なかなかいけそうである。

 ちなみに「夜景」モードで撮ると増感が抑えられ、その分シャッタースピードも遅くなってノイズがないきれいな写真が撮れる。ただし、ブレないで撮るのはなかなかむずかしい。

フリップを開くと多彩な機能が使える

 フリップを開くと自分撮りモードに。円形十字キーの上がカメラモードに割り当てられており、カメラモード、カメラ画像、カメラ設定の3つのメニューがあらわれる。カメラモードが撮影、カメラ画像が閲覧、カメラ設定が撮影の設定だ。撮影時の設定はすべてここにまとまっている。

 オープン時とクローズ時で別の設定もできるが、片方の設定を両方に反映させることも可能だ。

 可能な設定は撮影サイズ(iショット(S)、(L)、壁紙(QVGA)、VGA、SXGA)、保存先(本体かメモリースティックか)、圧縮モード(スーパーファイン、ファイン、スタンダード、エコノミー)、コンパクトライトの強さ、音などである。圧縮モードが4つもあるのは多すぎてややこしいだけだと思うが、あとは基本的なものだ。

 保存先は重要。SXGAで撮るときはファイルサイズが大きくなるので保存先として指定できるのはメモリースティックのみ。逆に撮った写真をメールで送るなら本体に保存する必要がある(メモリースティック上の画像を直接メールで送信することはできない)。ここは使い分けが必要だ。

 撮影中に設定変更できるのは明るさ、コントラスト、シャープネス、シャープネス、ホワイトバランス。ほかに撮影モードとしてノーマルと美白、日焼け、夜景、文字、モノクロ、セピア、ネガポジ反転、絵画風と多数用意されている。

 クローズ時に変更した設定で撮るには、いったん開けて設定を変更して、もう一度クローズして撮るという面倒な手順が必要だ。これはちょっと残念である。

メガピクセルデジカメとしてはまだまだだが、面白い試み

 そんなわけで、今回はメガピクセルモードを中心にメガピクセルデジカメとしてどうか、という点を中心に見てみた。クローズ時にカメラっぽいスタイルで撮れるのは面白いが、この方式だと撮影時の設定変更が面倒になるのが難点。アイデアは面白かったが、ちょっと中途半端に終わってしまったなというのが残念なところだ。

 カメラとしてどうだったか。画素数は上がったものの、「画質は画素数じゃない」というのを見せつけられてしまった。デジカメとしては決して高画質ではない初代EXILIMと比べたのだが、ディテールよりも色の深みや鮮やかさ、ダイナミックレンジで差をつけられた形になってしまった。

 もうひとつ、やはり記録時間や画像処理の時間はかかる。本職のデジカメのように1−2秒間隔でパシャパシャというわけにはいかない。

 それでもVGAやQVGAサイズで撮った場合には、これまでの35万画素カメラ付ケータイとはワンランク上の高画質が得られる。

 今までのカメラ付ケータイに比べればきれいだがデジカメレベルに達するにはもうちょっとかかりそうというところか。とはいえ、この調子だと近いうちに初代EXILIMレベルの画質にはなるだろう。



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関連リンク
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▼ NTTドコモ

[荻窪圭, ITmedia]

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