Mobile:NEWS 2003年8月28日 08:51 PM 更新

着メロ音源はハードからソフトへ

64和音まで達した和音競争はそろそろ打ち止めの感もある着メロ。フェイスは、今後の変化はハード音源チップからソフト音源に。そして世界のトレンドは、これまでのように日本ではなく、GSM圏やCDMA陣営から生まれるのではないかと言う。

 フェイスという会社は、あまり表に出ることは少ないが現在の“着メロダウンロード”という仕組みを最初に考案したところだ。同社によると、現在国内の携帯市場の80%以上のシェアを獲得しているという。

 mobidec 2003の講演で2月28日、フェイスの中西正人専務が、着信メロディの今後の進化、そして海外の動向について話した。

音源はハードからソフトへ

 同時発音数では64和音とほぼ極限まで豪華になった着メロだが、次はスペック以外の面で変化が起こりそうだ。中西氏は「ハードウェアの音源がソフトウェアの音源に非常に押されている状況。ハードのコストを削減するため、音源が変わってきている」と話す。

 携帯電話の着信メロディは、現在ヤマハやローム製の音源チップを使って鳴らしている。こうしたハードウェア音源が、DSPを使ったソフトウェア音源に移っていくというわけだ。


 中西氏は、音源のソフト化の問題点を次のように説明する。「(ソフト音源は)PCMとほとんど変わらないが、パワーの不足や音色の違いなど、問題が発生してくる。CPUのスピードに依存しているので、ほかの仕事にパワーを取られている場合、十分な仕事(発音)ができない」

 音源のソフト化は、単にコスト削減というだけでもないようだ。これまで日本で採用された音源が、1、2年遅れで欧州などに伝わっていくという流れだったが、「音源のトレンドが、日本からGSMサイドに移行している」と中西氏。理由として三つを挙げた。

 一つはGSMで圧倒的なシェアを持つ、Nokiaの動き。「独自の路線を走るメーカーだ。独自音源を作って3GPPに提案するなど、今後の動きが注目される」(同氏)

 二つ目は中国マーケットの動き。中国の人々はハイスペックなものを求め、メーカーも最低限のスペックとして64和音を出してくるという。そうなると各端末メーカーは「欧州にも64和音を提案せざるを得ない」。

三つ目は、端末の内部デザインを行うデザインメーカーの動きだ。台湾や韓国に多いこうしたメーカーは、複数の端末メーカーからデザインを請け負っていることが多く、「(音源を)どれかに決めると、いろいろな端末に載ることになる。その影響力がけっこう強い」。

CDMA陣営に注意。ロケットスタートも

 中西氏が注目するのが、CDMA陣営の動きだ。例えば米国のVerizonなどは、着メロを含めたコンテンツサービスが改善されてきており、若者層を含めて浸透し始めているという。「Qualcommが仕様のかなりの部分を握っているため、コンテンツサイドにとっては(標準化された)いい環境ができあがる可能性がある。ロケットスタート的に伸びる可能性もある」(同氏)

 また、注目する端末メーカーとしてはSumsungの名を挙げた。「リッチコンテンツを展開できるハイレベルの移動機を出してきている。勢いがある」



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▼ フェイス

[斎藤健二, ITmedia]

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