Mobile:NEWS 2003年10月27日 01:35 PM 更新

コンテンツ配信、「転送」と「自由コピー」が起爆剤に

競争が激化しデフレが進む携帯コンテンツ業界。オープンウェーブはコンテンツ配信が次のフェーズに来ているといい、新しい配信方法を提案する。着メロや待ち受け画面の自由な転送を可能にするものだ。

 キャリアもコンテンツプロバイダもユーザーも「実はみんな困っているのではないか」──。オープンウェーブのシニア・ソリューションSEの富岡宏氏は、日本の携帯コンテンツ市場の問題点を指摘する。

 日本でコンテンツ配信の中核をなしているのは、各キャリアの公式サイト。課金体系が整備されていたことから参入が相次ぎ、サイト数は一気に増加した。着メロ、待ち受けといったキラーコンテンツが現れ、ユーザーのデータ通信利用も増加したが、競争の激化によるコンテンツ価格のデフレといった問題も浮上している。

 ユーザーは増え続けるサイトの中から欲しいコンテンツを見つけるのが難しい。コンテンツプロバイダは激化する競争の中、価格で差別化を図ろうとし、それがコンテンツ価格のデフレを引き起こしている。通信キャリアはARPU増減の平均化を危惧して新しいキラーコンテンツを探している──。これが富岡氏が「困っている」と考える部分だ。

 「携帯コンテンツの配信が始まって3年。新しいコンテンツ配信経路や使い勝手を取り入れた、これまでにないビジネスモデルを考える時期に来ているのではないか」

 そうした中で、オープンウェーブが提案するのが、コンテンツの「転送」と「お試し機能」。同社が開発するコンテンツの管理・配信システム「Openwave Download Manager」の最新版に、これらの機能を組み込んでいく計画だ。

 「転送」と「お試し」を可能にする鍵は、コンテンツ自身と使用する権利を分けて管理・配信するところにある。コンテンツ本体だけでは利用できないようにして、利用する権利を購入して初めて使えるようにするという仕組みになっている。

 メリットは、コンテンツの自由流通が可能になる点と、利用の仕方に幅を持たせられる点だ。

 利用する権利がいわば「鍵」のような役割を果たすため、ユーザーは気に入ったコンテンツを友達などに転送することができる。ここに無料の1回利用権が付いていれば、その友達はフル機能を1回だけ試すことができ、気に入った場合には利用する権利を別に購入する──という利用フローが成立することになる。

 この仕組みは、コンテンツプロバイダやユーザー、通信キャリアのいずれにもメリットをもたらすと富岡氏。コンテンツプロバイダは、期間や回数などさまざまな利用シーンを想定した利用権の設定が可能になり、機能を限定した試用版を別に作る必要がなくなる。

 ユーザーは、公式メニュー以外の口コミ的なコンテンツ入手経路を得られることになり、通信キャリアは新しい流通経路を通じたデータ通信ARPUの向上を見込める──といった格好だ。


「Openwave Download Manager」は、権利に守られたコンテンツを配信するための3つの要素が組み込まれている。「DELIVERY MANAGER」。きちんと認可されたユーザーであることの確認を行い、そのユーザーがアクセスした端末の機能をチェック、適切なコンテンツを配信する配信管理を担う。「PRODUCT MANAGER」はサプライヤーやデベロッパー、パブリッシャーがシステムに対してコンテンツ情報を提供する部分。「DIGITAL RIGHTS MANAGER」はコンテンツの権利を管理し、デバイスに適切なフォーマットにコード変換する部分

 コンテンツの転送やお試しを可能にするための三つの仕様「Combined Delivery」「Separate Delivery」「Super Distribution」は、国内外の主要キャリアや端末メーカーも参加する標準化団体「OMA」(用語参照)が策定を進めている。オープンウェーブでは、仕様が策定され次第「Openwave Download Manager」に組み込む予定。2004年初頭には、これらの仕様をサポートした製品を提供するという。



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[後藤祥子, ITmedia]

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