Mobile:NEWS 2003年11月20日 01:29 PM 更新

どうなる? ナンバーポータビリティ

キャリアを変えても同じ電話番号を使えるようにしよう──というのが、このところ話題になっているナンバーポータビリティ。一見、魅力的な施策に思えるが、それを望んでいる人は果たしてどれだけいるのだろうか。

 このところ各キャリアから、続々と魅力的なサービスや端末が登場している。デザインや色に凝った端末も増え、サービス面でも着うたやFlashアニメを使ったコンテンツ、海外からの写メールなど面白そうなものが目白押しだ。

 「この端末を使いたい」「このサービスを使いたい」と思ったとき、同じキャリアのものならいいのだが、他キャリア端末だと面倒なことになる。キャリアが変わると電話番号も変わってしまうからだ。

 新しい番号を覚えるのは面倒だし、何より知り合いに伝えるのも面倒。そうしたわずらわしさを考えて「なんとなくそのまま」になってしまう人も多いだろう。

 そこで登場するのが「ナンバーポータビリティ」(用語参照)。キャリアを変えても、電話番号は引き継いで使えるようにしようというものだ。欧州ではEU加盟国を中心に導入が進んでおり、米国でも導入に向けた動きが活発になっている(11月14日の記事参照)。日本でも、総務省が研究会を作って検討を進めている最中だ。

 この研究会には携帯キャリア4社によるナンバーポータビリティのニーズに関する調査結果が提出された。実はここから分かることも多い。

 調査によれば、キャリアを変更したいという意向があるのは12%で、意向がないのは70.3%。意向がないユーザーの約40%がキャリアを変えたくない理由に「電話番号の変更」を挙げている。そして電話番号の変更を嫌う理由の90%を占めるのが「新番号の通知が面倒」というものだ。これだけ見ると、うまい通知方法があれば何も、多額のコストをかけてナンバーポータビリティを導入する必要はないのかもしれないとも考えられる。

 番号変更案内サービスがナンバーポータビリティの代わりになるかを問う質問では、69%が代わりになると答えている。ただし費用がかかっても代わりになると思うのは41%と若干減る。

 意外なのが、キャリア変更時の負担を経験者がどう捉えているかだ。キャリアを変更したユーザーの中で、「大変支障を感じた」と答えたのはわずか8%。メールアドレス変更などの経験者についても「大変支障を感じた」のは3%と少ないのだ。

 こうした結果を見ると、実は世間が思うほど番号やメールアドレスが変わることをユーザーは気にしていないのかもしれないとすら思えてくる。

キャリアが打ち出した対応策。もうナンバーポータビリティはいらない?

 とはいっても、番号やメールアドレスが変わった際に、何らかの策があるに越したことはない。

 そんな中で注目なのが、auが11月からサービスを開始した「お知らせメール」(11月7日の記事参照)。他キャリアからauに乗り換えた場合、乗り換え前に使っていた端末内のアドレス帳データを「お知らせメールサーバ」に一時的に預かり、乗り換えたユーザーはEZweb経由で新しい番号やアドレスを通知したい相手を選び、メールの一斉送信を行えるというものだ。

 これなら、ひとりひとりに連絡先を知らせる手間が省けてわずらわしさを軽減できる。唯一の難点は、通知がメールのみでしか行えず、通話を中心に使っているユーザー向けではないということだ。

 またドコモは携帯電話を解約した後でも90日間は移転先の電話番号を案内するという固定電話同様のサービスを既に提供している。基本的には移転先の電話がドコモ携帯か固定電話の場合に限られているが、アナウンスする番号についてはユーザーが申告した番号になるため、事実上ドコモの携帯電話に限らない。

21日付記:昨年まではユーザーが申告した番号がそのまま通知されていたため、ドコモの携帯電話に限らず利用できる場合もあった。しかし2003年1月からは、「通知できるのがドコモ携帯か固定電話のみ」ということの周知を徹底させている。ドコモの立川敬二社長がナンバーポータビリティについて「番号通知をもっと簡単にできる方法があるのではないか。携帯も固定電話のように通知したらどうか」と話しているのを考えると、矛盾しているようにも思える

 この両方の施策を各キャリアが提供してくれれば、少なくとも「通知が面倒だからキャリアを変えたくない」という問題は解決されそうだ。

日本独特の事情も影響

 仮にナンバーポータビリティが導入された場合、ユーザーにはどのような影響が出るのだろう。

 総務省の調査によればナンバーポータビリティ導入には、交換機ソフトの改修、加入者データベースや課金システムの改修、サーバ設置などで1000億−1500億円のコストがかかるという。これを仮に、携帯電話加入者全員で負担した場合、一人当たり約2000円の負担が必要という計算だ。

 一方、携帯キャリア4社が行ったニーズ調査を見ると、ナンバーポータビリティが実現されるならキャリア変更を検討したいというユーザーは37%いるものの、有料でも利用したいユーザーはうち10%程度。議論が盛り上っているわりには少ない印象を受ける。

 ここで問題なのは導入が決まった場合、誰が導入コストを負担するのかという点。ナンバーポータビリティ利用者がわずかな場合、利用を望まない人までも負担を強いられる可能性があるということだ。仮にキャリアが全額負担したとしても、負担したコスト分がサービスに影響しないとはいいきれない。

 また日本独特のインセンティブ販売に影響する可能性もある。日本では、ある一定期間解約しないことを前提にした価格で端末が販売され、キャリアが小売業者にインセンティブを支払うことでそれが成立している。日本のユーザーがほかの国よりもかなり安い価格で高機能な端末を入手できるのはこのためだ。

 これは、契約者が「頻繁にキャリアを変えない」という前提で成り立っている仕組み。もしナンバーポータビリティが実現して、多くのユーザーがこぞって買い換えた場合には、事業者が小売業者に支払うインセンティブが増大し、このモデルが崩壊しないとも限らない。そうなると、ほかの国のように端末が高価なものになり、おいそれとは手が出せない価格になってしまうことも考えられるのだ。

 日本の場合、ナンバーポータビリティ導入にはさまざまな問題が付いて回る。重要なのは「データ通信時代ならではのナンバーポータビリティ」を世界に先駆けて考案し導入することなのかもしれない。



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[後藤祥子, ITmedia]

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