VGA撮影して送信──に適した「F900i」:ケータイカメラ画質研究ラボ(2/2 ページ)
“本気のFOMA”のトップを切って登場した「F900i」。操作性は工夫されているが、メガピクセル撮影時の保存の遅さが課題だ。画質はバランスよくまとまっている。
晴天下での画質をチェック
まず晴れた日の公園で撮影した写真から、カシオの「EXILIM S20」を130万画素モードで撮影したものと比べながら見ていこう。
恒例の象のすべり台は、EXILIMの方はコントラストの高さに負けないでしっかり色が出ているが、やや青みが強い。でもその分晴れた日特有の青さや鮮やかさが出ており、専門機に一日の長があったというところ。F900iも晴れていてコントラストが強かったためにちょっとアンダー気味ではあるが、すべり台の黄色が白トビすることもなく、ディテールもカメラ付きケータイにしてはしっかり出ている。地面や背景を見ると、ちょっと赤みが強く出てしまったのが気になるくらいだ。
続いてあずまやと松だ。
こちらも同様にF900iの方が赤みが強く青が足りなくなってしまった。冬なのでそう青々とはしないものだが、真っ昼間に撮れる絵としてはちょっと寂しい。松の木などディテールはなかなかしっかりしているだけに惜しいところだ。
もっともこうしたややこしい撮影対象ではなく、爽やかでシンプルな構図ならF900iも爽やかにすっきりと撮れる。
ホワイトバランスのばらつきもなく、黄色もヘンに白トビせずに保っており、空も自然な色が出ている。
続いてマクロ撮影も試してみた。ちょうどいい距離でマクロでとるとディテールも鮮やかで色もきれい。なかなか申し分ない写りをしてくれる。
室内で撮る
続いて室内の作例だ。まず蛍光灯の下で撮った画像を今回は2種類用意してみた。
蛍光灯の色かぶりも適度に補正されていい感じである。撮影距離が中途半端(50~80センチくらい)なのでディテールは少しボケ気味だがバランスはいい。
色の濃さを上げたものを見ると、全体に派手になっていていい雰囲気だが、その分ノイズも増えている。このあたりは使いこなしに注意が必要。なお、2つの写真で微妙にホワイトバランスがずれているが、それはおそらく構図が微妙にずれたせいだろう。
次は白熱灯下での撮影だ。
白熱灯の赤みはきれいに補正されているが、ペリエの瓶を見るとよく分かるように、緑の発色が落ちてる。ちょっと残念な点だ。
さらにロウソクでの撮影である。
通常モードだとシャッタースピードの下限が1/8秒になる(と思われる)ので、ロウソクの光だと暗く写るが、これはこれで雰囲気があっていい。暗部にノイズは載るがロウソクの雰囲気は出ていて悪くない出来。暗い場所でも破綻せずきちんと撮ってくれるのは評価したい。
ライトを点灯すると、ロウソクに比べてライトが青すぎるために手前だけ不自然に青くなる。ライトはフラッシュのようには使えないということだ。
夜景モードにすると1/2秒までシャッタースピードが落ちるため、かなり明るく撮れる。
最後に室内のマクロ例を見てみよう。
これは外光が多少入る喫茶店でマクロモードで撮影した角砂糖。照明が自然で撮影距離がほどよければけっこういい感じで撮れるのである。
VGAモードで使うのが一番良さを発揮できる
F900iの画質自体はメガピクセルケータイとしてはそう悪くない出来。最新端末としてはちょっと見劣りするが、これだけあれば日常のちょっとした記録写真にはいい。明るくても暗くても室内でもそこそこ撮れるのも評価できる。ホワイトバランスがずれることもあるが、極端な逆光やコントラストが非常に強いときなど条件が過酷でない限り大きな不得手は感じなかった。
ただ、動作が遅いのは使っていて気になる。撮影時の速度については前述したが、再生も速いとはいえない。mniSD上にある960×1280ピクセルでFINE画質の画像を表示させると、画像表示までに約6秒かかる。VGAサイズでも3秒弱。これはちょっとキツい。
100Kバイトまでなら手軽にメールに添付して送信できるというFOMAの良さも考えると、無理にメガピクセルモードで撮らず、VGAサイズで100Kバイト以下の制限をオンにして、気軽に撮って送りたいものは送り、必要に応じて縦位置でも横位置でもOKという使い方のほうが向いている気がする。無理にメガピクセルで撮らねばならない理由もないと思えば、よくまとまってて悪くないし楽しめるはずだ。
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