DMFCの“膜”に新技術~「微細孔フッ素樹脂シート」
NTT-ATとNTT-ATナノファブリケーションは、燃料電池(DMFC方式)向けの電解質膜「微細孔フッ素樹脂シート」を開発した。化学的に安定した上、プロトン伝導性も高く、メタノールクロスオーバーも抑えた膜を実現できるという。
NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)とNTT-ATナノファブリケーションは6月9日、燃料電池(DMFC方式)向けの電解質膜「微細孔フッ素樹脂シート」を開発したと発表した。均一な微細孔を規則的に加工形成した膜で、メタノールの使用効率・発電効率を向上させることが期待できるという。NTT-ATが7月から販売を開始する。
燃料電池とは、水素と酸素を化学反応させる過程で電気を取り出すシステム。モバイル機器向けには、燃料としてメタノールを用いる「ダイレクト・メタノール方式」(DMFC方式:Direct Methanol Fuel Cells)が有望といわれている。負電極と正電極の間には、両者を隔てる“電解質膜”が存在するが、この膜が燃料電池のカギを握る。
今回両社が開発した膜では、米Du Pontの開発した“テフロン”と呼ばれる素材を用いた。「材料としては、もっともポピュラーなもの」(NTTナノファブリケーション)。化学的に安定しているものの、加工が難しいという特徴があるが、今回これに微細な加工を施すことに成功した点が新しい。
半導体技術の工夫に加え、一部X線を用いるなどして「ミクロンレベルからサブミクロンレベルの均一な寸法の微細孔を規則的に配置、加工形成した」(同社)。微細孔にプロトン(水素イオン)伝導性材を充填すれば、「化学的に安定した上、プロトン伝導性も高く、メタノールクロスオーバーも抑えた膜」を実現できるという。
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