902iシリーズはSymbianも“v8”にアップ
Symbian OSを搭載した902iシリーズでは、OSのバージョンも上がっている。「リアルタイムカーネル」が初めて採用され、パフォーマンス向上につながっているという。
操作時の処理速度が全般的に向上したドコモの902iシリーズ(10月28日の記事参照)。各社のチューニングのほか、一部端末ではアプリケーションCPUが従来のOMAPから、ARM11コアを搭載した「OMAP2」に変わったことが影響している(11月1日の記事参照)。
「ARM11(を使ったOMAP2)で、3割アップ程度の速度向上が見られた」(P902iに携わったパナソニック モバイルコミュニケーションズの加宅田忠プロジェクトマネージャー)
さらに「F902i」「D902i」「SH902i」「SO902i」といったSymbian OS搭載端末では、OS自体のバージョンアップも速度に影響している。
FOMA初のSymbian OS v8搭載
シンビアンによると、FOMAは902iシリーズで初めてバージョン8.1bを採用した。この新バージョンでは「リアルタイムカーネル」が初めて採用され、パフォーマンス向上につながっているという。
これまでのSymbian OSは、マルチタスク/マルチスレッド対応だったが、実は各プロセスの優先度は設定できず、すべてのタスクが平等に動いていた。v8からのリアルタイムカーネル採用により、「一部のアプリケーションの速さを上げられる。例えば動画再生時に通信などの割り込みが発生しても、動画再生を優先させることでコマ落ちをなくすことができるようになった」(シンビアン)。
組み込みOSにおけるリアルタイムには、ソフトリアルタイムとハードリアルタイムの2種類があるが、v8ではハードリアルタイムに対応した。ソフトリアルタイムが“時間を守ることを努力するが、遅れても処理を継続できる”リアルタイムなのに対し、ハードリアルタイムは“絶対に時間を守る”ものとなる(1月12日の記事参照)。※ハードリアルタイムはv8.1bから対応しております。お詫びし、訂正させて頂きます
バージョン9では、ARM11コアに対応
2006年初頭には、Symbian OSはバージョン9(v9)に進化する予定だ(2月3日の記事参照)。
OMAP2が採用したARM11コアは、標準のSymbian OSではv9からサポートする。そのほか、v9ではドコモがチップベンダー各社と進めているシングルコアチップにも対応する(11月29日の記事参照)。
v9を搭載した最初の端末はNokiaのEseriesになりそうだ。Symbian OS v9とS60 3rd Editionはセットで提供される(2月17日の記事参照)。
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