「音楽携帯だけで生活できるか」を試す:携帯はオーディオプレーヤー替わりになれるか? V0l.1(2/2 ページ)
今年の携帯業界のトレンドの1つといえるのが、音楽機能の搭載。音楽携帯があれば、ポータブルオーディオプレーヤーなしで音楽生活を楽しめるのだろうか?
しかし、現在のポータブルオーディオプレーヤーの利用スタイルは、「その日に聴きたいCDをとりあえずminiSDに収納できればいい」などという単純なものではない。日常的に快適に使うには、iPod+iTunesに見られるような、ポータブルオーディオ本体とコンテンツ管理ソフトのスマートな連携が不可欠となる。「デバイスの完成度が高い=よい製品」ではなく、「デバイスとソフトウェアの完成度が高い=よい製品」だといっても過言ではないだろう。特にminiSDなどの容量の小さい記憶媒体を利用する場合には、大量に持っているコンテンツの中からそのとき聴きたいものをいかに“簡単に”プレーヤーに転送できるかがポイントだ。
前述のとおり筆者は、このコンテンツ管理と転送作業はすべてWindows Media Player 10を通じて行っている。普段使うポータブルオーディオプレーヤーを携帯電話に移行するとした場合、(1)これまで持っているコンテンツを携帯電話用に再利用できるか(2)iTunesやWindows Media Playerのように、コンテンツを管理・運用できるかどうか──の2点が非常に重要になってくる。果たしてSD-Jukeboxはこれらの条件をクリアできるだろうか?
まず(1)については“条件付きでイエス”だ。SD-Jukeboxには、フォルダまたは曲単位でのインポート機能が装備されており、MP3/WMA/WAVファイルをSD-Jukeboxのコンテンツリストに取り込める。その際、曲情報などのタグデータも同時にインポートしてくれる。ただし、DRM付きのWMAファイルには非対応なので、Windows Media Player 10経由で購入したコンテンツについては再利用できない。一部ネットで購入した曲がある筆者としては、ここが結構痛かったりする。
また、個人的には直接関係なかったが、AACファイルを扱えないあたりはiPod+iTunesユーザーには辛いところだろう。miniSDに出力するときにはWMA/MP3ファイルをAACに自動変換して出力できるが、取り込みは行えないのだ。
(2)については“やや難アリだがイエス”。前述したとおり、普段は5段階評価を利用した曲抽出と同期機能を組み合わせてプレーヤーに転送しているので、基本的にはプレーヤーをPCに接続するだけで転送完了──という楽な環境が構築されている。一方のSD-Jukeboxは、miniSDにデータを転送するには、
- miniSDをPCに接続(今回はP901iSをカードスロット代わりに使用)
- 転送したい曲のチェックボックスにチェックを入れる
- 転送ボタンをクリックしてしばし待つ
という作業がそれぞれ必要になる。1と3はともかくとして、2をいかに省力化するかが重要なわけだが、SD-Jukebox は評価機能を使って曲を抽出する方法を持たないため、従来筆者が使っていた方法が取れないのである。
また若干使いにくい部分としては、例えばアーティスト別に曲リストを表示した状態で、あるアーティストの曲に転送チェックを入れて、そのまま転送せずに別のアーティストの曲を選ぼうとすると、前にチェックしていた曲が「チェックされていない」ことになってしまう点が挙げられる。つまり、アーティスト(もしくはアルバム、ジャンル)を切り替えながら曲を選んでからまとめて転送することはできない。ライブラリ中の曲が数10曲程度なら全曲表示モードで作業すればいいが、数1000曲から選ぶとなると、ある程度分類された状態からでなければ、特定の曲を探すのは非常に大変。このあたりのインタフェースはぜひとも改善してほしいところだ。
これらの点を考えると、いったん手動でプレイリストを作成し、そのプレイリストの曲をまとめてminiSDに転送する、というのが一番楽そうではある。しかし正直なところ、それほど楽な作業ではない……。
なお、SD-Jukeboxには、曲のテンポやビートなどの特徴を元に「曲の印象」を判断して自動的に曲を抽出する「ミュージックソムリエ」という面白い機能がある。これを使えば、「今日はこんな気分の曲が聴きたいな」といった要望にある程度沿った曲をピックアップして自動的にプレイリストを作れる。これを評価機能ベースの自動プレイリスト作成の代りに使えないかとも思ったが、印象に沿って抽出された曲が必ずしも聴きたい曲とも限らないため(選択した印象には近くても「これは聴きたくない」と思う曲はどうしてもある)、代用にはちょっと難しいようだ。
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