番号ポータビリティ前に“先手”で仕掛けるKDDIの勝算(2/2 ページ)
10月24日の番号ポータビリティ開始に先駆け、9月1日から「新規加入仮予約サービス」を開始するKDDI。先手を打って12機種もの新端末を発表した狙いはどこにあるのか。
全機種のデザインを「HEXAGON」「MACHINA」の坂井直樹氏が監修
もう1本の重要な柱となる、デザイン面での新たな取り組みとしては、多様化するユーザーのデザインに対するニーズに応えるため、ウォーターデザインスコープの代表、坂井直樹氏に全モデルのトータルプロデュースを依頼したことを明らかにした。
従来、デザイン面では「“au design project”の端末と一般の端末にレベルの差があった」と小野寺氏は話す。全体的なデザインのレベルをさらに上げていくため、今後はコンセプトの開発からデザインのディレクションまで、auの全モデルを坂井氏がトータルにプロデュースすることになるという。
坂井氏はオリンパスのデジカメ「CAMEDIA C21」、日産の「RASHEEN」や「Be-1」などの開発に携わってきたコンセプターだ。オリンパスの銀塩カメラ「O-Product」や「Ecru」、セイコーの腕時計「アスタリスク」など、ウィルコムの「W-SIM」や「TT」「DD」の開発に深く関わったことで知られる、山中俊治氏とともに手がけたプロダクトも多い。au design projectのコンセプトモデル、「HEXAGON」や「MACHINA」を田村奈穂氏とともにデザインしたのも坂井氏だ。
坂井氏は秋冬モデルのデザインについて“Mature”というキーワードを挙げた。Matureとは「成熟した」という意味を持つ言葉。この言葉にはDelicate(デリケート)、Profound(奥深さ)、Temptation(誘惑)、Audacity(大胆さ)、Chic(上品)、Complex(複雑さ)、Individual(個性)、Classic(伝統的)という8つの要素が含まれており、これらの条件を満たすデザインを考えたという。
「デザインのauを坂井直樹なりに作っていきたい」(坂井氏)
他キャリアのユーザーが入ってきても違和感がない新サービスを用意
3本目の柱であるサービス面では、この秋一気に8種の新サービスを導入し、既存のユーザーだけでなく、他キャリアのユーザーにもアピールする(8月29日の記事参照)。
一斉情報配信機能「BCMCS」を利用した番組配信サービス「EZチャンネルプラス」では、高画質な動画を含む音楽番組などを配信。各ユーザーに100Mバイトのオンラインストレージを提供し、メールや写真などが保存できる個人ポータルサイト「au My Page」や、ドコモの「iチャネル」を彷彿とさせる、ニュースや天気情報を待受画面に無料配信する「EZニュースフラッシュ」も開始する。
携帯の待受画面からアイコン、着信音まで一括してカスタマイズできる「EZケータイアレンジ」が一部対応機種で利用できるようになるほか、写真やイラストに音声を合成し、まるで話をしているかのようなムービーを作成できる「絵しゃべりメール」も提供予定だ。
そのほか、「音楽」と「デザイン」という、auならではの魅力に惹かれてキャリアを変更したユーザーが、今まで利用していたサービスが使えなくなり不自由な思いをしなくてすむよう、すでに他社でも提供されているようなサービスも取りそろえた。その1つが「デコレーションメール」だ。これはドコモの「デコメール」と同等のサービスで、対応機種でHTMLメールの送受信が可能になる。もちろんドコモの端末ともやり取りできる。
また端末のアドレス帳を簡単にバックアップしておける「アドレス帳預けて安心サービス」や、12月のCDMA 1x EV-DO Rev.A導入以降の開始になるが(8月22日の記事参照)、ドコモのFOMAやボーダフォン(ソフトバンク)の3G携帯とも通話ができる「テレビ電話サービス」も始める。
「音楽や携帯でのネット利用など、auに期待されている分野でさらに一歩先を行くサービスを提供すると同時に、ほかのキャリアからauに移行して来たユーザーが、今までと同じように変わりなく携帯が使えるようにする」(井上氏)
9月1日の「新規加入仮予約サービス」開始と同時に、積極的に他キャリアのユーザーを獲得していく構えを打ち出すKDDI。Xデーはもうすぐそこまで迫っている。
関連記事
“穴”を埋めてMNPに臨む――auの新サービス8種
テレビ電話、デコレーションメール、待受画面へのニュース配信、アドレス帳やメール、写真の無料バックアップサービス……auが秋冬モデルで打ち出した新機能は、かなりMNPを意識したものだ。8つの新機能の詳細について、詳しく紹介しよう。Rev.A対応、デザインケータイなど総勢12機種──auの秋冬モデル
KDDIが12機種の秋冬モデルを発表。EV-DO Rev.A対応機やデザイナーズ携帯など多彩な端末をラインアップしており、初のシャープ製携帯もお目見えした。デコレーションメールやテレビ電話などの新サービスも登場する。まもなく対応端末も登場──“EV-DO Rev.A”でアップロードを12倍高速に
KDDIは、WINの通信速度をさらに高速化する「EV-DO Rev.A」を12月に導入する。上りの通信速度が12倍以上速い1.8Mbpsに向上し、速度アップを生かしたテレビ電話サービスや情報配信サービスなどを拡充する。番号ポータビリティ、ドコモも転入時手数料無料に
10月24日に開始する番号ポータビリティ。NTTドコモもKDDIに続き、番号ポータビリティ利用時の転入手数料を無料にすると発表した。- auへの転入時手数料、無料に──番号ポータビリティ
KDDIは番号ポータビリティ開始にあたり、au携帯電話への切り替え時における手数料を無料にすると発表した。 番号ポータビリティの開始日、10月24日に決定
携帯電話会社を変えても電話番号を引き継げる番号ポータビリティ制度が、10月24日から開始されることが決定した。「番号ポータビリティにはいくらかかるのか」を予想する
10月24日からの開始が決まった番号ポータビリティ制度。ドコモとボーダフォンはまだ詳細を明らかにしていないが、KDDIが他社に先駆けて手数料体系を発表した。この情報を元に結局いくらかかるのか予想してみた。「官能という罠」──au designのHEXAGON公開
au design projectの新コンセプトモデル3機種のうち、「MACHINA」(マキーナ)、「HEXAGON」(ヘキサゴン)がプレス向けに公開された。「iPod+iTunesに対抗できるサービスだ」──auのLISMO
PC向けの楽曲管理ソフトを無償提供し、楽曲データをケータイとUSBケーブルで同期可能にする。PC向けの楽曲販売サービスも開始し、KDDIは「PC向けサービス」へと進出する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.