「番号ポータビリティは静かな船出」──ドコモの中村社長
ドコモの中村社長が定例会見で番号ポータビリティに言及。予約段階では「静かな船出」だとし、3Gのカバーエリア拡大や端末の投入で開始に備えると話した。
番号ポータビリティの開始に向けて、HSDPAの導入やFOMAカバーエリアの拡大、多数の新端末投入などで準備を進めてきたドコモ。同社の中村維夫社長が定例会見で、各種サービスの推移や取り組みの進捗状況、開始目前の番号ポータビリティに対する施策などについて説明した。
MNPは静かな船出、3Gのカバレッジと端末投入で備える
10月24日の開始まで1カ月を切った番号ポータビリティ(MNP)について中村社長は、現状を「静かな船出」と表現した。同社は9月10日からMNPの転入予約受付キャンペーン(8月29日の記事参照)を展開しているが、「ドコモショップや量販などから話を聞いたところでは、どっと列をなして……という感じではない」といい、現状では転入について大きな動きが出ていないことを示唆した。また8月の解約率が0.60%とこれまでになく低かったことにも触れ、この数字は番号ポータビリティの影響と分析。最終的には年間で0.85%程度になると予測している。
ドコモでは、番号ポータビリティに向けていくつかの施策を行っており、その1つがFOMAのカバーエリアの拡大だ(7月12日の記事参照)。「番号ポータビリティ開始までにmova(PDC)を超えるカバレッジを実現する」とした施策は順調に推移しているという。「本年度の(基地局設置の)目標は、屋外が1万800局、屋内が3000局。今の時点で屋内外合わせて50%を超える進捗で予定通り推移している」(中村社長)
カバーエリアの拡大策としてはほかにも2つの施策を実施しているという。1つは、ユーザーからつながらないエリアを教えてもらい、対応するというものだ。「新聞広告で告知したところ、7000件くらいの情報が寄せられた。その中の6割は既に(基地局を)作る予定がある。今後もお客様の声を聞きながらエリアを充実させる」
もう1つは全国のJRの駅前や大学、短大、高校、高専などの学校、パーキングエリアなどの3Gエリア化で、今月末までにはおおむねカバーできる見込みだと説明した。
またauが12機種(8月28日の記事参照)、ソフトバンクが13機種(9月28日の記事参照)を発表するなど、各キャリア間の競争が激化している新端末の投入については、ハイエンドモデルの903iシリーズ6機種を冬モデルとして準備中だとし(記事1、記事2参照)、来年3月末までにはミッドレンジモデルやビジネスケータイ、ワンセグ対応機など20機種以上の新モデルをリリースする予定であることも明かした(9月28日の記事参照)。「今年度は(投入する端末の数が)50機種になる見込みで、1年間で導入する端末としては最大」
903iシリーズはゲームを強化するとともに(9月15日の記事参照)、着うたフルの開始で「やっとキャッチアップできた」という音楽機能を強化するという(9月14日の記事参照)。
番号ポータビリティについては、「この2年間、ここに向けてやってきた」と説明。「これまで提供してきたサービスを棚卸しして、料金、端末、ネットワークなどがお客様の方に向いているのかをもう一度見直してみようと。そういった意味ではとてもいい機会だった」と振り返った。
HSDPAは順調に推移、エリア拡大も
8月末にサービスを開始したHSDPAサービスも、順調に推移しているという。対応端末「N902iX HIGH-SPEED」の販売実績は、1カ月で3万4000台。「東京23区内でしかサービスを開始していないことを考えると、そこそこ推移している」という見方だ。
カバーエリアについては10月末までに、県庁所在地クラスの全国主要都市をハイスピードエリア化し、都内も国道16号線内までエリアを拡大する。
リーダー/ライターの共用化で普及に弾み──おサイフケータイ
ドコモが先行するサービスの1つがおサイフケータイ。対応端末の契約数は8月末で1550万契約に達し、ドコモのクレジットサービス「DCMX」(4月5日の記事参照)は9月27日時点で約80万会員を獲得した。
9月27日には「Suica」「iD」「QUICPay」「Edy」のリーダー/ライターを共通化すると発表しており(9月27日の記事参照)、来年早々にも導入する予定であると話した。
「ファミリーマートやローソンも全店に入れていただくということで進めている。リーダー/ライターが増えることでクレジットやプリペイド、ポストペイドを合わせていろいろな形での発展が見込める。順調に動き始めたといえるだろう」
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