Symbian OSは、なぜ端末メーカーに選ばれるのか──シンビアンの久社長に聞く(3/3 ページ)
番号ポータビリティの開始に向け、日本では各キャリアが次々と多彩な新端末を市場に投入している。端末の高機能化が進み、開発コストが高騰する中、なぜ端末メーカーはこれだけの端末をリリースできるのか。その鍵を握るのがSymbian OSだ。
シンビアンのココが知りたい!
Symbianの名前の由来は、Symbiosis(共生)という言葉に由来しています。人間の細胞の現在の構成要素(核やミトコンドリアなど)は、もともと別々な生物であったものが共生し細胞として発達していったといわれており、それが共同出資という共生をもとに発展するSymbian OSのイメージと重なるわけです。
Symbian OSは、英PSIONが同社のキーボード付きPDA用に開発したEPOCというOSがベースの携帯電話用のOSです。シンビアンは1998年にNokia、Ericsson、PSION、Motorolaの出資により設立された企業。携帯電話にもPDAのような多機能さが求められると予想されたことからSymbian OSの開発が始まったのです。
OSには携帯電話に必要とされるさまざまな機能が用意され、端末開発メーカーはその中から必要な機能を選び、その機能をより使いやすくするユーザーインタフェースを乗せて携帯電話を開発できます。ビジネス携帯からゲーム携帯、音楽携帯などさまざまなジャンルのSymbian OS携帯が登場しているのは、ベースとなるOSが携帯電話に必要な各種機能をしっかりサポートしているからなのです。
世界で最初のSymbian OS搭載機は、2000年に登場したEricsson製の「Ericsson R380」です。フリップを開くと大画面が現れるPDAライクな端末でした。日本で最初の搭載機は2003年に登場した富士通製のFOMA「F2051」。富士通は同社初のFOMA端末から一貫してSymbian OSを採用しており、すべての富士通製FOMAに搭載されています。
日本国内のSymbian OS搭載機は2006年9月11日時点で39機種。「M1000」のようなビジネス携帯、ドコモの90xiシリーズのようなハイエンド携帯、らくらくホン、らくらくホンシンプルのようなユニバーサル携帯まで、多様化する携帯の利用シーンに合った携帯を開発できるのがSymbian OSの特徴なのです。世界市場でも100機種以上の携帯電話にSymbian OSが搭載されています。
Symbian OS搭載機を開発しているのはどんなメーカー?
富士通、三菱電機、シャープ、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズといった日本でもおなじみの端末メーカーに加え、Nokia、Motorola、Samsung、LG、Lenovo、BenQ、ArimaといったメーカーがSymbian OS搭載機を開発しています。またパナソニック モバイルコミュニケーションズも海外向けのGSM端末にSymbian OSを採用しています。
携帯電話の3G化が進むのに伴い、端末メーカーはオープンな汎用OSを採用するようになりました。汎用OSにはSymbianを始め、Linux、Palm、Windows MobileなどのOSがありますが、Symbian OSは世界のスマートフォン市場で69.7%のシェアを獲得しています(2006年第2四半期、カナリス調べ)。
シンビアンの日本法人では、給料日には毎月、社員にフルーツを振る舞う習慣があり、社内にはマッサージチェア、フットマッサージャー、ロデオマシン風健康器具が用意されています。世界で最も進んでいる日本の携帯市場をリードするには、まず“健康から”ということのようです。
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提供:シンビアン 株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年11月15日
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