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ケータイ用燃料電池の商用化、1~2年以内めどに──ドコモの歌野氏FC EXPO 2007(1/2 ページ)

数年前から試作化・業務向けなどに製品化されてはいた燃料電池。一般ユーザーにはまだなじみが薄いが、携帯用として1~2年以内をめどに商用化される見込みが高い。NTTドコモ 取締役常務執行役員の歌野氏は「電池は携帯の“最重要戦略部品”」と位置付け、携帯用燃料電池への期待を述べた。

登壇したNTTドコモ 取締役常務執行役員 研究開発本部長の歌野孝法氏

 携帯向けの燃料電池はごく近いうちに民間商用化されるだろう。我々は電池開発メーカーではないので、あくまで通信事業者としての希望だが──NTTドコモ 取締役常務執行役員 研究開発本部長の歌野孝法氏は2月7日に開催されたFC EXPO 2007の基調講演で、携帯電話機能の発展を含めた燃料電池への期待を総じてこう述べた。

 1839年に発電実験が成功し、1965年にNASAの有人宇宙船 ジェミニ5号で初めて実用化された燃料電池。昨今は、

  • 炭酸ガスの削減につながり、熱利用率がよい
  • 有害な排出物質が少なく、環境への負荷が低い
  • 既存の石油系燃料や天然ガスなど、エネルギー供給源が多様
  • 自動車エンジン出力並みまで燃料電池セルの性能が向上
  • 将来、目される水素エネルギー社会の実現に向け、新規産業が創出

 などの現状から、その普及に大きな期待が寄せられている。なお、コンシューマ向けとして商用化される燃料電池製品でもっとも早く一般化するのは、数kワットほどの出力で済む携帯電話をはじめとする携帯機器向けと言われている。

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 携帯電話は通話機能のみが求められた時代から大きく変化し、多様な機能や通信手段を搭載するようになった。最近はインターネット通信やカメラ、GPSをはじめ、ワンセグやデジタルラジオなどの放送受信、ゲーム、音楽再生、非接触IC(電子マネー)なども、携帯に欠かせない機能の1つとしてニーズが高まっている。

 これら多機能化 イコール 使用電力の増加に伴い、携帯電話メーカーや通信キャリアは本体サイズの小型化や無線回路の低消費電力化、通信制御技術(間欠受信など)の向上、そして電池そのものの大容量化を図り、ニーズに対応してきた。現在発売される携帯のほとんどに搭載するリチウムイオン電池も、登場当初のそれと比較し、同体積比で4、5倍も容量が増えたという。しかし、さらなる市場の拡大や機能の多様化に加え、HSDPA/HSUPA(最大3.6Mbps~)・スーパー3G(100Mbps~)・4G(100M~1Gbps)などの次世代高速通信規格のシナリオもすでにできており、よりいっそうの電池容量の増加が望まれるのは想像に難くない。

第4世代(4G)までのロードマップ。携帯は2010年代に最大1Gbpsで通信が行えるようになる
これら携帯の進化とともに、電池への負荷も高くなり、より高出力・高効率・高信頼性・小型化が望まれる
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