最重要課題はスマホユーザー基盤の拡大――第3四半期増収減益のドコモ
2012年度第3四半期の業績が増収減益となったドコモ。番号ポータビリティのポートアウト増加で悪化する解約率の改善を図り、スマホユーザーの基盤を拡大することが最重要課題とした。
NTTドコモは1月30日、2012年度第3四半期の業績を発表した。売上高は前年同期比6.2%増の3兆3708億円、営業利益は5.6%減の7022億円で増収減益となった。
営業利益については、Xi(LTE)およびスマートフォンへのシフトが進んでいることから、パケット収入や機器販売収入は順調に伸びており、子会社の売上等も増えているが、課金MOUの影響による音声収入の減少や、月々サポートの影響、営業費用の増加などによるマイナス分を補えなかった。
Xiの契約数、計画を上回るペースで増加
第3四半期には、日本の携帯市場でキラー端末となっているiPhoneの最新モデルが登場したため、同端末を扱っていないドコモは苦戦を強いられた。10月、11月は番号ポータビリティによるポートアウトの数が想定以上に悪化し、11月の契約数では純減を記録。冬モデルの投入効果で12月には復調の兆しが見え始めたが、ドコモの代表取締役社長を務める加藤薫氏は「望むレベルの回復ではなく、非常に厳しい状況」と振り返った。
しかし、通期目標に対する進ちょくは順調で、端末の総販売数が1757万台(通期目標2380万台)、スマートフォンの販売数が969万台(通期目標1400万台)に到達。Xi(LTE)に至っては、1月9日に900万契約を突破するなど、通期目標の1100万契約に向けて計画を上回るペースでユーザーが増えているという。スマートフォンユーザーの増加に伴ってパケット収入も増加しており、四半期単位で初めて5000億を突破した。
さらに、dマーケットやドコモクラウドなど、新たな事業領域の成長指標となるスマートARPUも、前年同期比で60円増加。前年同期比の増加分は四半期ごとに増えているといい、加藤氏は「dマーケットを初めとする新領域のサービスの成果が現れ始めている」と自信を見せた。
最重要課題はスマホユーザー基盤の拡大
NTTドコモはスマートフォンのユーザー基盤を拡大し、その上でクラウドを軸としたさまざまなサービスを展開することで、収益の拡大を目指している。現状、新たな事業領域の拡大は順調に推移しているものの、番号ポータビリティによる顧客流出で解約率が0.8%と悪化していることが課題だと加藤氏。今後、端末、ネットワーク、サービスを磨き直して解約率の低減を図るとした。「低減して0.5%に近づけたいが、まずは0.6%を達成したい」(加藤氏)
端末面では、高精細・高速通信・高速処理が特徴の春モデルを投入するとともに、AV家電とスマートデバイス、ドコモコンテンツの間をシームレスに連携するための仕組みとして「docomo Smart Home」を提供。今後のデバイス展開については(1)主力機種の積極訴求(2)ラインアップの絞り込み(3)魅力ある機種の先行投入(4)セグメントにマッチした特徴あるデバイス導入 の4本柱で選択と集中を進める。
ネットワーク面は、下り最大100Mbps/112.5Mbpsの高速Xiのエリア拡大を図るとともに、下り最大150MbpsのXiを2013年度内に提供する予定。サービスについては新たな事業領域の中でも、健康分野の取り組みを強化する方針だ。この分野は、2012年7月にオムロンヘルスケアとのジョイントベンチャーでドコモ・ヘルスケアを設立しており、健康維持に役立つサービスの提供を検討中。ほかにも、測定機器で収集した健康データの結果に応じて、子会社らでぃっしゅぼーやを通じた食材の販売、オークローンマーケティングによる健康機器販売、ドコモが扱う保険商品を連携させるなど、トータルな健康関連サービスの提供を目指す。
こうした競争力の強化策と、社内のコスト削減の取り組みで、通期目標の営業利益8200億円の達成を目指す。
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