決済+ポイントの処理を同時に行える「.pay」 加盟店が導入するメリットは?:モバイル決済で店舗改革(2/2 ページ)
決済ソリューション「.pay(ドットペイ)」は、乱立するコード決済サービスの中で、既存のサービスとは異なる目的で開発された。コード決済の機能に加えて、ポイントやクーポンを自社サービスとして提供できる。手数料を抑えられるのもメリットだ。
“カードレス”も特徴、最短1分でオンライン発行できる
.payのもう1つの特徴が「カードレス」だという。松藤氏は、決済にクレジットカードをひも付けると「かなりコストが高くなってしまう」と指摘する。東急グループの東急カードが発行するクレジットカードを東急百貨店で使っても、当然国際ブランドへの手数料は発生する。そうした点に対して、カードレスだと国際ブランドがないハウスカードのような仕組みのため、審査はあるもののその場で最短1分でオンライン発行でき、手数料も発生しない。会員も完全にその店の会員になる。
これを.payでは「共通クレジットサービス」と呼んでいる。通常、クレジットカードは国際ブランドがVisaやMastercardでもイシュアとしてさまざまなカード会社が発行している。楽天、Amazon、ANAといった具合に各種あるが、それぞれ会員申し込みが必要で、カード番号で管理されている。
共通クレジットサービスでは、一度個人情報を登録してカードレス発行をすれば、他の店が.payのサービスを取り入れた際に、新たにカードレス発行をする必要はなく、その店の決済サービスに登録ができる、というものだ。
共通ポイントとは異なり、ポイントの設計も店の目的に合わせて柔軟に設定できるので、「有効期限を短くしてすぐに使ってもらえるようにする」といったこともできる。
.payは、共通クレジットサービスとして集約しつつ、個別の施設の会員として集められるため、それぞれが販促を打ち出しやすくする、というのが狙いだった。
こうした決済、ポイントの仕組みを個別に開発するのはかなりのコストがかかる。POSの改修なども発生するため、小規模店舗では導入しづらい。.payはこの部分をソリューションとして提供。アプリもSDKとして提供されるため、自社アプリに組み込めばすぐに利用できる点がメリットだとしている。アプリ自体もひな型が用意されているので、開発も比較的安価に行える。
もちろん、全て自社会員なので、提供するサービスもそれぞれの店舗が決められる。アプリなのでカスタマイズも自由で、来店スタンプのようなものを提供しても、原価論に基づきいくらでもポイントを付与できる。そうした柔軟な特典が提供できるのが.payだという。
手数料はクレカの2~4%よりも安くする
この.payの背景の仕組みは、NTTデータが提供する決済ソリューションCAFIS Pittとポイントソリューションを組み合わせている。.pay自体は個別の店舗や施設ごとに完結した決済ソリューションだが、複数の施設などで連携したい、という場合もシームレスに接続できるという。.payは東急らの開発だが、広く展開することを想定しており、加盟店から手数料を徴収するビジネスモデルだ。
クレジットカードの決済手数料はおおむね2~4%とされているが、.payではこれよりも安くする、というのが前提だ。ここで重要なのは、.payは自社で会員を管理するため、会員管理、ポイント・クーポン管理といった仕組みも含まれ、コストがかからないこと。同様の仕組みを別途導入しようとすると、これらのコストが追加されてしまう。全体としてはローコストになる、というのも.payのアピール点だ。
仕組みとしては、個店のような小規模店でも導入できるのが特徴だと松藤氏は言う。SDKは無料で提供し、手数料によるビジネスモデルのため、店舗側はアプリとタブレットが用意できれば、無料で始められる。NTTデータの西山氏もCAFISなどのネットワーク手数料も抑えられ、会員獲得をせずに物理カードもないためコストが低いという.payのメリットを挙げる。
とはいえ、松藤氏は「現在、危機感を感じているのはショッピングセンターやアパレルで、ECサイトとの競合」と指摘し、そういったジャンルをターゲットとしているようだ。
「東急は“街を作る”ビジネス。東急だけでなく、街全体が活性化することに意味がある」と松藤氏。今回の.payは、街の店が顧客に対してサービスを提供することで、店にも客にもメリットがある形で活性化すればいい、という考え方を示している。
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