NTTドコモが年末駆け込みで「ギガホ60GB」キャンペーンを発表――5Gで「ゼロレーティング規制」は無用の長物になるか:石川温のスマホ業界新聞
世間が「仕事納め」に入ろうとしていたであろう12月27日、NTTドコモが「ギガホ」の通信容量を倍増するキャンペーンを告知した。他キャリアの追従をしづらくする「奇襲攻撃」ともいえるやり方だ。
世間では仕事納めで缶ビールを開けているのではないかというタイミングで、LINEが鳴った。NTTドコモから「ギガホ増量キャンペーン!月60GB使える!」という告知メッセージが届いたのだった。まさか、メディア向けの案内より前に、LINEでこんなキャンペーンを知らされるとは思わなかった。まさに年末ギリギリの奇襲攻撃と言える。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年12月29日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
今回、30GBから倍増した60GBということもあり、相当なインパクトだといえる。条件も「ギガホを契約していればいい」ということで、すべてのギガホユーザーが適用になるという大盤振る舞いだ。
NTTドコモでは、2020年3月末までにギガホ・ギガライトの契約数を1700万回線という目標を掲げており、目標達成のためのテコ入れという見方もできそうだ。
一方、ソフトバンクやKDDIにとってみれば、仕事納めの12月27日に突然、発表されたキャペーンに空いた口が塞がらないだろう。しかも、キャンペーンの開始日は1月1日。通常、用意周到で、キャンペーンを告知し、展開するNTTドコモではありえないタイムスケジュールだ。年末年始を挟むとなると、月間50GBの「ウルトラギガモンスター+」を手掛けるソフトバンクがすぐに対抗策を打ち出すのは難しいのではないか。
5G時代を前にして、各キャリアとも大容量プランを展開してきた。現状、NTTドコモとソフトバンクにはデータ容量に制限があり、「auデータMAXpro」を展開するKDDIも、テザリングのデータ容量に制限があるが、5G時代にはいずれも制限がなく、完全使い放題になっていくのではないか。
今週、総務省ではゼロレーティングに規制をかけ、動画見放題などのサービスに対して、データ容量が超過した際には、対象となる動画サービスも速度制限をすべきとした。
しかし、4Gで、すべてのコンテンツに対して、使い放題にできないために、一部の動画やSNSをゼロレーティングにするという苦肉の策であったが、5Gになり、すべてのコンテンツを使い放題にできれば、ゼロレーティング規制も意味をなさなくなってくる。
各キャリアは、年明け早々の早いタイミングで5G向けの料金プランを発表し、総務省の規制がすでに時代遅れでユーザーのニーズを無視した、意味のないものであるという現実を早く突きつけてほしいものだ。
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