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NTT東西が70歳以上限定で「ナンバー・ディスプレイ」を無償化――特殊詐欺から身を守るには「固定電話を使わない」のが一番石川温のスマホ業界新聞

携帯電話では無料の基本サービスである「発信者番号通知」だが、NTT東日本・西日本の固定電話では有料のオプションサービス「ナンバー・ディスプレイ」として提供されている。しかし、いわゆる「特殊詐欺」対策として、70歳以上の契約者に限りナンバー・ディスプレイを無料で提供する取り組みを始めるという。ここまでやるなら、お年寄りにも携帯電話を持たせた方がいいのではないだろうか。

 NTT東日本とNTT西日本は70歳以上の契約者や70歳以上のユーザーと同居している契約者に対して「ナンバー・ディスプレイ」ならびに「ナンバー・リクエスト」の利用料金と工事費を5月1日から無償化すると発表した。

 ただし、契約者や同居人が70歳以上であることが確認できる書面を提出する必要があるという。

 わざわざ書面を提出するというのはとても面倒くさい。被害額が360億円以上にもなるという特殊詐欺被害の防止に向けた取り組みというのであれば、いっそ「ナンバー・ディスプレイ」はすべてのユーザーに無料開放してもいいのではないか。

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 そもそも、携帯電話ではナンバー・ディスプレイなんて有償サービスは提供されておらず、着信時に相手の番号が出るのは標準的な機能と言える。なぜ、固定回線はナンバー・ディスプレイに対して、オプション料金を支払う必要があるのか。

 個人的には、実家には70歳を超えた両親がいるが、もう固定電話は廃止にしたいくらいだ。親との普段のやりとりは基本的にはLINEで済ませており、テキストメッセージだけで無く、孫の様子を伝えるため、写真や動画を送っている。

 時々、こみいった話になるときは音声電話を利用するが、それもスマホだ。

 子どもが生まれた6年前、親にスマホデビューさせたときには自分が昔使っていたAndroidスマートフォン、最近はiPhone SEを持たせている。「いきなりスマホでは不安だろう」ということで、はじめはすでに持っているケータイと自分が渡したスマホの2台持ちにさせていた。スマホで音声通話はしないということで、MVNOのかなり安いプラン(月額500円でデータ通信のみ)を契約。

 昨年、時間があったので、実家に帰った際、これまで使用していたケータイの回線をスマホプランに切り替えて、MVNOは解約した。

 親はスマホに一本化したことになるが、何ら不自由なく、様々なひとと連絡を取り合っている。実際、親族の不幸で親戚が集まることが増えているが、別の家族の60~70代も「サブブランドにした」なんて話をしている位なので、それぞれLINEでのやりとりが成立しているようだ。

 自分自身、固定電話を自宅から撤去して20年以上が経過するが、何の不自由も感じない。おそらく、親の世代も、そのうち、固定電話なんて使わなくなる。

 長電話する人からすれば、話し放題プランのない固定電話なんて使い物にならないはずだ。

 特殊詐欺に合わない一番の得策は固定電話を使わないことであり、「ナンバー・ディスプレイ無償化は70歳以上限定」なんてケチくさいことを言っていると、あっと言う間に固定電話なんて淘汰されていくことになるだろう。

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