ドコモは7月13日、国内で初めてとなる無線LANを内蔵した携帯電話「FOMA N900iL」を発表した。端末単体の価格は4万から5万円程度、秋頃を目処に発売される。一般向け販売は想定しておらず、ドコモの事務所コードレスシステム「PASSAGE DUPLE」とのセットが基本。当面10万台の販売を目指す。
無線LANとFOMAの同時待ち受けに対応しており、無線LANを使ったWebアクセスやVoIPを使ったIP電話として利用できる(7月13日の記事参照)。
基本的には、従来のPHSを使った事務所コードレスシステムの置き換え商品だ。IP化を促進したいビジネスホンユーザーやIPセントレックス利用ユーザーがターゲット。
VoIPを使い事務所内の内線として使うだけでなく、無線LANによる社内イントラネットへの高速アクセス、プレゼンス機能も備えたインスタントメッセージングなどの付加機能を付けることで企業に向けて訴求する。
社内ネットワークとの接続を基本とするN900iLだが、将来的には公衆無線LANでの利用も想定している。「今後(ドコモが展開する)Mzoneでも使える方向で、視野に入れている」(法人営業本部プロダクトビジネス部の安田準第一サービス推進担当部長)。
Mzoneは東京メトロ全駅にエリアを拡大するなど、急速に利用範囲を拡大している(6月7日の記事参照)。「Mzoneでの利用はあくまでデータ通信用。VoIP用ではない」(法人営業本部プロダクトビジネス部長の三木茂氏)としたが、公衆無線LANも含めたN900iLの利用用途拡大を模索していく考えだ。
N900iLのもう1つの着目点は「初めての法人向け端末」(三木氏)であること。法人向け市場で圧倒的なシェアを持つドコモだが、ソリューションと組み合わせたサービス提供では、KDDIなどに遅れをとっていた。
三木氏は、法人のモバイル利用はまだ十分でないと見ており、特に「イントラネットアクセスが大きい。ニーズは多い」ことがN900iLの武器になると考えている。
とはいえ、昨今話題になっているフルブラウザの搭載は見送られた。認証なども含めてiモード用と同等のブラウザを搭載したに過ぎず、イントラネットにアクセスできるといってもiモード向けのイントラネットシステムをあらかじめ構築しておく必要がある。
なお、FOMA端末への無線LANの組み込みについて、技術的な課題はクリアされたが、コストなどの市場性が問題だという。三木氏は「(N900iL)は高速なブラウジング利用ができる第1弾」と追加機種への意欲を示した。
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