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» 2004年07月22日 21時41分 公開

WIRELESS JAPAN 2004:どこよりも早く地デジ携帯を出したい〜三洋電機

FMケータイで“放送と通信の融合”の手法を会得した三洋が、次に目指すのが地上デジタルテレビ放送対応の端末。現在開発を進めており「2005年度のサービス開始に合わせて対応端末を発売したい」と、他社に先駆けての端末投入を宣言した。

[斎藤健二,ITmedia]

 携帯に搭載されるマルチメディア機能で、カメラの次は何か? 「これからはラジオやテレビなど放送機能との融合が有望になってくる」と話すのは、三洋電機の壽英司専務だ。

 ワイヤレス ジャパン 2004の講演で7月22日、壽氏は地上デジタルテレビ放送に対応した携帯電話について、「ぜひ国内向けに、地上デジタルテレビ対応端末の出荷を、業界初として達成したい」と意気込みを述べた。

 三洋は既に地上デジタルテレビ放送に対応した携帯電話の試作機を開発済み(2003年10月7日の記事参照)。「このモデルをベースに、実用化に向けて取り組んでいる」(壽氏)。

同社ブースには、CDMA 1X(左)とW-CDMA(右)に対応する2種類の端末が展示されている。昨年CEATECで披露したものと同一

「放送と通信の融合は間違いない」

 FMラジオチューナーを内蔵したau端末「A5503SA」を開発した三洋が、本命と目するのが地上デジタルテレビだ。壽氏は「(携帯と)放送の融合は間違いない」と言い切る。

 携帯がテレビ受像器に向く理由は、大きく4つある。

  • 8000万を超えた高い普及率
  • 絶えず持ち歩いていること。携帯率は91.8%に上る
  • 携帯とテレビで部品が共用できること。安く作れる
  • 通信機能を始めから搭載していること

 同社が行ったアンケートでも、63%が携帯でテレビを見たいとし、その場合の1日の視聴時間は1時間弱だったという。特にテレビの視聴率が落ち込む日中の時間、「アウトドアの視聴者を取り込んで、視聴率の底上げになれば素晴らしい」(壽氏)。

 とはいえ壽氏はアナログテレビの搭載には否定的だ。「韓国では成功しなかった。携帯にはデジタルのテレビが最適だ」。

 理由の1つは消費電力だ。アナログテレビが500〜600ミリワットの電力を消費するのに対し、「デジタルテレビチューナーは、150ミリワット以下。将来は100ミリワット以下」に減らせるという。

地デジ対応携帯、課題は?

 固定テレビ向けの地上デジタル放送が既にスタートしているなか、ワンセグ放送といわれるモバイル向けの放送はなかなかスケジュールが見えなかった。懸念だった映像符号化方式が、今年3月にやっとH.264に決定(3月24日の記事参照)。2005年度中の放送開始に目処が立った。

 同日に地上デジタル放送について講演を行ったNHKのデジタル放送推進局長 竹中一夫氏は「2006年の早い段階で電波出しを開始したい」と述べている。

 「ようやく規格も決まり、サービスも2005年度から。サービス開始に合わせて(対応端末を)発売したい」と壽氏は意気込むが、課題も残っている。

 固定テレビ向けの放送と違い、モバイル向け放送では屋内や地下での視聴も考えられる。ビル陰など電波が届きにくい場所を補完する必要も出てくる。試験端末を開発済みのNECも「思ったよりも電波が届きにくい」と試験放送時の様子を話しており、モバイル環境での電波状況には不安が残る。

東京タワーからの試験放送時に、24キロ離れた横浜・みなとみらいでテストを行った様子。三洋は2本のアンテナを使ったダイバーシティ受信を特徴としており(2003年8月8日の記事参照)、左側の2つのグラフはそれぞれのアンテナを指す。講演ではアンテナ1つでは音が途切れるが、ダイバーシティ受信を行うとスムーズに受信が行われる様子がデモされた

 壽氏は「メーカーとして感度改善をやるが、理論的な限界もある。(電波状況の改善には)ギャップフィラーの設置や通信を使った補完などさまざまな方法がある。ユーザーの期待を裏切らないサービスの実現が必要だ」と、放送局側へ要望する。

 「何だ、こんなの使えない。となって、最初に失敗すれば立ち上がらない」──。地上デジタル放送に賭ける三洋は着実に端末の準備を進めている。

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