モバイルが生活者に与える変化を展望するイベント「モバイルマーケティングカンファレンス2005」が6月6日、都内ホテルで開催された。メインセミナーには、NTTドコモプロダクト&サービス本部の夏野剛マルチメディアサービス部長、楽天の三木谷浩史社長、ビットワレットの川合成幸社長が登場し、「モバイルが変える生活の未来」について討論した。
「我々は大きな時代の流れを作っている。何かをダウンロードする……といったものとは違う次元のものだと思ってやっている」。ドコモの夏野氏は、冒頭、iモードFeliCa──おサイフケータイの意義をこう述べた。
2004年の7月に初のおサイフケータイが発売されてから約1年。昨年12月には100万台を超え(2004年12月15日の記事参照)、現在は370万台に達したと夏野氏は話す。
「iモードは1年で400万台まで普及した。(おサイフケータイは)それを上回るスピードで広がっている。今年度中に1000万台は確実にいく」
では、おサイフケータイというプラットフォームの上で動く、現在最もメジャーなアプリケーション、電子マネーEdyの状況はどうか。
Edy自体のスタートから約3年。カードなどの発行枚数は累計で1000万を突破。うち携帯電話は60万件に達したと、ビットワレットの川合氏は話す。
「今年に入って急拡大。毎月、前月比で2〜3割伸びている。その最大の理由は、利用できるお店が増えていることだ」
4月からはサークルKやサンクスといったコンビニでEdyが利用可能になり、利用者が急速に増加した。月間利用件数は930万件に達したという。仙台の食品スーパー「アサノ」ではEdy利用率が4割を超えており(5月31日の記事参照)、コーヒーショップ「PRONTO」でも15%を超えるユーザーがEdyを使って支払いを行っている。
「支払いは習慣だと思う」と川合氏。特に、おサイフケータイが出てから、流通の反応が変わってきたという。「『どうせ(Edy対応を)やるなら早く』という反応」。
1960年から始まった日本のクレジットカードは45年かけて26兆円市場に広がった。「Edyも時間はかかる。しかし45年はかからないだろう。100兆円市場くらいになる可能性が見えてきた」(川合氏)
傘下にある各インターネットサービスの会員データベースを統合し、共通のポイントプログラムを展開するというグループ戦略を採る楽天。三木谷氏は、「他社はポータルを重視しているが、我々は会員向けプログラムを基盤としていく」と話す。
モバイルへの取り組みもポイントプログラムを軸とする。「例えば携帯でポイントを貯めてもらう。ポイントとモバイルとイベントを組み合わせて、会員獲得に結びつけていきたい」
特に、即時性と空き時間に利用可能な点を三木谷氏は評価する。「モバイルなら、イーグルスが勝ったらその日は(楽天の)ポイント3倍など、リアルタイム性のある取り組みができる」
「PCのサービスが(ADSLなど)定額制の導入で伸びた以上に、モバイルには期待している。どちらかというとコアになってくる」(三木谷氏)
新規契約者獲得シェアで2年連続でKDDIに負けたドコモだが、方針は既に新規獲得ではなく既存顧客のロイヤリティアップだ(2004年8月26日の記事参照)。
「人口が増加している国では、新しいユーザーの獲得が重要。しかし日本では、顧客ロイヤリティを高めていく必要がある」(夏野氏)
iモードから、おサイフケータイへの流れも、ロイヤリティアップを1つの狙いとしている。
「各社がロイヤリティマネジメントをドコモのプラットフォームでやってもらうことで、ドコモもロイヤリティマネジメントをしていきたい。皆さんが(携帯を使った取り組みを)進めていくと、“風が吹くと桶屋が儲かる”みたいに、私のところに返ってくる」
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