「PANTONE® 5 SoftBank 107SH」の放射線測定機能に開発者が込めた“技”と“思い”(1/2 ページ)

多彩なカラーと充実機能が特長のスマートフォン「PANTONE® 5 SoftBank 107SH」は、携帯電話として初めて放射線測定機能を搭載したことも注目を集めている。他社に先駆けて登場したこの機能に込められた思いや工夫を、シャープ開発陣に聞いた。

» 2012年07月30日 09時45分 公開
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photo 「PANTONE® 5 SoftBank 107SH」

 ソフトバンクモバイルのシャープ製Android™スマートフォン「PANTONE® 5 SoftBank 107SH」が7月14日、ついに登場した。PANTONEシリーズならではのデザイン性を引き継ぎ、スタンダードモデルながら充実した機能を備える同モデルは、「放射線測定」という時代のニーズに則した機能も兼ね備え、注目を集めている。

 ただ、放射線測定機能については、ソフトバンクの孫正義社長でさえ即座に「やりましょう」とは言えなかったと新製品発表会で話していた。福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、人々の放射線に対する不安が高まっていることは明白だが、一方で放射線測定機能を携帯電話に搭載するためには、さまざまな課題があった。

 しかし、そんなソフトバンクの思いにシャープの企画・開発者たちが応え、107SHは誕生した。今回は、放射線測定機能をスマートフォンに搭載するに至った経緯や開発時の苦労などを、シャープの通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 係長 河本幸生氏、通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 開発部 係長 長沢忠郎氏に聞いた。

放射線測定機能を“携帯電話”に搭載する意義

photo 107SHの商品企画全体をまとめた、シャープ通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 係長の河本幸生氏

 107SHは、発表と同時に日本中の注目を浴びたスマートフォンだ。ケータイで人気のあったPANTONEシリーズがスマートフォンとして登場したことはもちろんだが、やはり世界初の「放射線測定機能」を搭載したことが注目された最大の理由だろう。

 この「スマートフォン×放射線測定機能」という斬新な企画は、東日本大震災以降に動き出したそうだ。元々デバイス事業の一環として小型の放射線測定モジュールを作ろうとしていたシャープと、原発事故後の不安に対してアクションを起こしたかったソフトバンクの「両社の思いが一致」(河本氏)したことから、“放射線測定機能付きスマートフォン”の開発がスタートした。「2011年の夏前くらい」(河本氏)にソフトバンクから相談を受け、企画開発は急ピッチで進んでいった。

 そもそも、スマートフォンにこの機能を搭載したのは「震災以降の漠然とした不安を“見える化”することで解消してもらえれば」(河本氏)という思いが発端となっている。今の時代、携帯電話は“誰もが常に持ち歩くデジタル機器”の代表格だ。これに放射線測定機能を搭載すれば、いつどこにいても計測ができ、ユーザーの安心につながると彼らは考えた。


photo 測定結果を位置情報とともに確認できるのはスマートフォンらしい魅力の1つだ

 放射線測定の専用機器も比較的安価に出回っている昨今だが、情報端末であるスマートフォンに搭載するからこそ生まれる利便性があるという。測定した数字を表示するだけのガイガーカウンターとは違い、「スマートフォンならGPS機能を使って測定場所を地図上で表示できますし、測定履歴の管理なども可能になります」(河本氏)。スマートフォンが元々持っている機能を駆使して放射線量をより分かりやすく“見える化”できるのが、大きな魅力というわけだ。

 また、日常的に誰もが使っているスマートフォンに機能を搭載することで、専用機よりも目立たずに放射線を計測できるのも特筆すべき点だろう。公園や駅のホーム、飲食店と、自分が気になったときにスマートフォンなら気兼ねなく操作ができる。これまでガイガーカウンターを使ってきたユーザーにとっても、ありがたいポイントといえるのではないか。


誰でも使える分かりやすさと正確さの両立を目指して

 107SHは「しっかり測定」と「常時測定」という2つの放射線測定モードを搭載している。一般の利用者が迷わず使える手軽さと、測定結果に対する信頼性の両立を考え抜いた上で、これら2つの機能を用意した。


photophotophoto 「しっかり測定」はユーザーが任意にアプリを起動させ、測定を行う機能(写真=左)。このほか、107SHでは「常時測定」機能が初期設定からオンになっており、ウィジェットやインフォエリアで測定値を簡単に確認できる(写真=中央/右)

photo 放射線測定アプリの開発を担当した、シャープ通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 開発部 係長の長沢忠郎氏

 しっかり測定は、ユーザーが任意に今いる場所の放射線を測定できる機能だ。GPSと連動して測定場所と測定値を記録でき、測定は最長40分まで継続できる。測定精度を星の数で教えてくれるのもポイントで、精度を高めたい場合は40分間測り続ければいいが、「3、4個の星が表示されていれば、それなりの誤差に収まっている」(長沢氏)と考えてよいそうだ。

 一方、常時測定はその名の通り常に放射線を測定をしつづける機能。初期設定から有効になっており、ユーザーが特に何かを設定しなくても自動的に測定を実施し、端末のウェルカムシート(ロック画面)の下にあるインフォエリアやウィジェットに測定値を表示する。この値は常時測定中データから過去5分の線量を取り出して算出しているもので、10秒ごとに更新される。

 常時測定機能があれば、天気をウィジェットで確認するのと同じような手軽さで、いつでも測定値を確認できる。日常的には、これだけで十分に安心感が得られるだろう。一方、自宅など特にきちんと測定したい場所や、常時測定の結果に気になることがあった場合では、しっかり測定を使ってより精度の高い測定を行う――そんな使い分けができるようになっている。

photophoto アプリでは常時測定の結果を元に、累積の放射線量を予測する「累積予測」も提供。どの程度の放射線を受けたのかの目安として活用できる。表示は日別/月別/年別などに切り替えられる

 また、測定する際の操作も極力簡単にしている。「スマホを使い慣れていない人でも簡単に測定できるように、本体のクイック起動キーだけで測定が開始できるようにしました」(長沢氏)。端末を利用している際にクイック起動キーを押せば放射線測定アプリが立ち上がり、その後もクイック起動キーを押すことで画面が遷移し、測定を始められるようになっている。これは「バッグを持ったままの状態でも片手で簡単に操作ができる」(長沢氏)ような手軽さを意識しての工夫だ。

 さらに、端末のロック画面にあたるウェルカムシートを表示している状態からも、クイック起動キーの長押しで放射線測定を開始できるようにした。「これはソフトバンクさんとの話し合いのなかで決めたことです。通常ならはロックを解除してから測定アプリを立ち上げることになると思いますが、その動作をスキップすることで、より手軽に使えるよう配慮しています」(河本氏)。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2012年8月12日